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212 第十一幕 奇跡を見せてよ。

 第十一幕


 開演 奇跡を見せてよ。 


 海が小屋に戻るとそこには二人の人物が海の帰りを待っていた。

 そのころにはもう、森は暗くなり始めていた。天気もだんだん不安定になり、真っ白な空からは、また雪が降り出しそうな空模様になった。

「ただいま」海は言った。

「おかえり」と渚が言った。

「お帰りなさい」と背の高い(星と一緒にいた)少年が言った。

 少年はとても優しい声をしていた。

 少年は海と一緒に小屋に帰ってこなかった星について、なにも海に質問しなかった。きっと二人が森の中で追いかけっこをしている間に、渚からある程度の事情を説明されていたのだろうと海は推測した。

「……星はどうだった?」

 でも少年はついに我慢できなくなったと言うような表情で、小屋に入る玄関のドアのところで、そんなことを海に聞いた。

「すごく、頑張ってた」

 と海は少年に言った。

 三人は小屋の中に移動した。

 暖炉の中に新しい薪を入れて、火をつけて、それからお互いの自己紹介をきちんとして、三人は夕食の準備を始めた。

 夕食は澄が作ってくれると言った。

 海はその言葉に甘えて、渚に頼んで一緒にお風呂場に移動して、お風呂で頭を洗って、それから軽く体の汗を渚にタオルで拭いてもらった。

 それから海は、渚と一緒に自分の部屋に移動して、体の包帯を新しいものに取替えをして、それから久しびりに上下白いジャージ姿から、学院の制服をクローゼットの中から引っ張り出して、それに着替えをした。(同じように靴も運動靴から黒の革靴に取替えをした)

 着替えが終わると海と渚はリビングに戻った。

「おかえり」と戻ってきた二人を見て澄は笑顔で言った。

 テーブルの上には、すでに三人分の夕食の準備が終わっていた。

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