表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

205/447

202

 ……私たちはいつも追いかけっこをしてたね。一秒を競ってた。大切な私たちの一秒。

 それは今も変わらないよね。だから、あなたは今も走っているよね。私と一秒を競っているんだよね。大切な時間を、本当に大切に扱っているんだよね。

 走りながら、そんなことを海は思う。

 ねえ、星。

 私たちの競争は、まだ終わってはいないよね。私たちはまだあの輝くような、透明な、清らなか風が吹いているコースの中を走っている最中だよね。

 ……どんなに願っても、どんなに苦しくっても、時間は絶対に巻き戻ったりはしない。過去をやり直すことなんて、絶対にできない。

 ……でも、だからこそ私たちは今を一生懸命に生きることができるんだよね。……そうだよね、星。

 海の前に分かれ道がある。

 左の道と右の道。

 初めて見るその道はどちらも同じただの森の中にある道にしか、海の目には見えない。

 ねえ、星。教えて? 私はどっちに進めばいいの? 海は頭の中で星に問いかける。でも、星はなにも海に語ってはくれない。(答えは自分で見つけろ、ということだと海は解釈する)

 海は右に曲がった。

 右の道を選択したのだ。その選択に根拠はない。ただの勘であり、運任せの選択であった。

(そもそも、この選択に意味があるのか、あるいは答えなどあるのか、という問題もある。海はただ、とりあえず前に進まなければいけなかった。だからどちらかの道を選択するしかなかった。本当に、ただそれだけの話なのだ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ