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『まあ、なんだかんだ言ってうまくいったんじゃないの。澄の森の知識や青猫の迷子を見つける能力とかはさ、どこかで必要になってくるかも知れないし、それに森の中で澄が一緒にいてくれることは、……まあ、心強いことは確かだからね』

 そんなことを黒い魚は言う。

「あら? 澄くんとの出会いは良い結果にはならないんじゃなかったの?」

 星は言う。

『その言葉を撤回するつもりはないよ。一人でいたほうがいいという考えは、変えていないからね。でも、この旅の主人公は君だからね。君がそうしたいっていうのなら、そうすればいいよ』

 魚は言う。

 その魚の言葉を聞いて、ふふっと星は笑う。

『なに? なにがおかしいの?』

「魚。あなたって、本当に素直じゃないのね。そういうの、可愛くないよ」

 そう言って星は楽しそうな声で笑い出した。

 星に笑われてふてくされたのか、それとも本当に自分が笑われている理由が理解できないのか、魚はなんの返事もリアクションも、星に返してはこなかった。


 少しして、澄くんが部屋の中に戻ってきた。今度は青猫も一緒だ。

 青猫の後ろ右足には真っ白な包帯が巻かれている。(なにか短い棒のようなもので固定もされているようだ)

 澄くんによると、青猫の足は折れているかもしれないのだから、当然といえば当然だ。

 それだけでなく(驚いたことに)青猫の首には紫色の首輪が巻かれており、そこからは首輪と同じ色をした紫色のリードが伸びている。その先っぽは、つねに澄くんが握っていた。

 澄くんの言っていた青猫の準備とは、青猫の首に首輪とリードを付けることだったようだ。

 ……猫に首輪とリードをつける。

 それはなんとなく、孤独と自由を愛する? (束縛を嫌う?)澄くんっぽくない行為だと星は思った。

 最初は猫嫌いの星のためかと思ったが、よく考えると違うということがわかった。

 なぜ、そんな澄くんらしくないことを澄くんがしているかというと、それは青猫は怪我をしていても関係なく走ったり、暴れたりしてしまうかもしれないから、その動きを抑制するためなのだ。

(青猫と追いかけっこをした経験から、星にはそれがわかった)

 なので怪我が完治するまでは目の届くところに青猫を置いておく必要があるのだろう。首輪とリードはそのためのものであって、決して青猫の自由を根本から奪うものではない。

 つまり、治療行為の延長なのだ。

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