173
そのあとも星は何度か料理の手伝いを申し出たが、その度に澄くんに断られてしまった。(きっと澄くんにとっては星はお客様なのだから、と言う認識なのだろう)なので星は(自分にできることを探して)食事の際に必要になる二人分の食器を棚からテーブルの上に出して用意することにした。(そのことについては澄くんはいいよ、と言ってくれた)
星は食器類を流しで軽く洗ってから(そこには清潔な水の入った桶があった)布巾でそれらを拭いて、テーブルに食器を並べた。
キッチンにはきちんと水道があったが、澄くんは水道の水を最低限しか使用しなかった。やっぱり水は貴重品のようだ。
澄くんは近くの川(あの星と青猫が追いかけっこをして、最後に澄くんがどぼんと飛び込んだ小川のことだ)の水を桶で汲みに行っているからいない、と星が初めて澄くんの家のベットの中で起きたときに魚も言っていたし、森の中の生活では、水はとても大切なものなのだろう。
それなのに星は勝手にシャワーを使ってしまった。
澄くんはなにも言わなかったけど、そのことを星はとても申し訳ないと思った。
なので、そのことを澄くんに伝えると、「別に構わないよ」と笑顔で澄くんは星に答えた。確かに水は大切なものだけど、シャワーは僕も毎日浴びるし、それに水もそうだけど、星のことも大切だと澄くんは言った。
(……それはもしかして、澄くんなりのお世辞なのだろうか? と星は(自然とにやにやする)笑顔で思った)
それからしばらくの間、(その澄くんの言葉で)星の機嫌はとてもよくなって、その動きがさっきまでよりもきびきびしたものになった。その間、星の表情はずっと笑顔だった。




