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「星の探している人ってどんな人なの?」
「山田海っていう人。私と同い年の女の人で、黒髪のストレートがとてもよく似合っている、背が高くて、すごく美人な子」
澄くんは顎に手を当てながらうーん、となにやら考え込んでいる。
「その海って人がこの森のどこかにいるってことに星は確証があるんだよね」
「ある。海は絶対この森の奥にいる」
うーん、とまた考え込む澄くん。
「どうかしたの?」
「いや、実は僕の仕事はこの門を見張ることなんだ。つまり門番だね」
「門番? じゃあ澄くんはさっきみたいに毎日この場所で、この門の見張りをしているの?」
「うん。まあ、大体そうしてる」
「大体?」
「たまに違うところで遊んでいるときもある」
「それって、いいの?」
「いや、よくはないって、……違う。そうじゃない。僕の話はどうでもいいでしょ? 今は海さんの話をしているの」と澄くんは言う。
「その話と海に、なにか関係があるの?」
星には澄の言おうとしていることがよく理解できない。
「あるよ。大有りさ。だって森の奥に進むためには絶対にこの門をくぐらなければならないんだからね。ここのほかに森に入るための道はないんだからさ。それが森のルールなんだよ」と澄くんは言った。
澄の話に星は首をひねった。
……森のルール? よくわからない。それっていったいなんのことだろう?
「だから不思議なんだ。海さんはいったいいつの間に森の奥に迷い込んだんだろう?」そう言って、澄くんは腕組みをして考える。