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7.努力する事とは。

[今日だからね、ライブ!5時からだから遅れないように]


そう、今日はあの結衣梨音のライブがある日

ライブのチケットを渡された時から毎日のようには連絡がくる


しかも送られてくる内容といえばほとんど同じ

もはや僕を洗脳しようとしてるんじゃないかと思うくらいだ


流石の僕もこれだけ連絡が送られてきて行かないという選択を取るほど冷たい人間ではない



しかしこの僕がこんなにも人と関わるとは


「茜、あんた今日どこか行くの?」


家の親は本当に世話焼きだな‥


「ああ、ちょっと出掛けてくる」

「ふふ、もしかしてアイドルのライブ??」


は、何故…


「机の上にチケットあったから、もしかしてと思ってね~」


僕としたことがこんな実態を…


「まぁ、、そんなとこ」


「あんたちょっと変わったわね~、まあ楽しんでおいで」 


…………この野郎


「うん、行ってくる」 


ガチャ。




そうか変わったのか、僕は

というより無理やり感は否めないが、、、

確かに面倒くさい事や面倒くさい事が前より多くはなったが、まあいいか




しかし暑い……


季節は7月となって、太陽の熱さが身体に伝わってくる、少し歩いただけで運動をしてない茜は

フラフラと倒れそうに汗が身体から落ちる


「暑い…やっぱり夏は外に出るもんじゃないだろ」


こんなんで本当にライブ生き残れるのか心配になってきた…



愚痴をこぼしながらも電車に乗り会場に着くと

そこには大勢の人がいた



ガヤガヤガヤ…ガヤガヤガヤ…


「ここからは一方通行でーす!」


「グッズの販売はこちらとなっておりまーす」




…何て数だ、あいつ本当にこんな人気あったんだな、しかし多すぎて迷いそうだ


くそ先頭が見えない、死んでしまう



飲み物を買い忘れた茜は暑さと人の多いムンムンとした熱気で今にもぶっ倒れそうになっていた



「おーい、茜、来てたなら連絡くれよー、って死にそうじゃないか!!」


そこに駆け寄ってきたのが同じクラスメイトの近藤だった、救世主現る



「おう、近藤か。よかった何か飲み物を、死にそうだ」

「おお、ちょっとまて、ほら飲めよ」


渡された飲料水をグビグビと飲み干し、顔に浴びたい衝動を抑え、持ってきたタオルで汗を拭く


「助かった…後10分でも遅ければ僕は脱水症状になってたとこだ、そうだ、お前も見に来たのか?」

「ははっ、茜は昔から暑さに弱いな、そうそう手伝ってくれたからってなんかチケットもらったんだよ」


あぁ、何となく想像出来た



「それよりなんつー人の多さだ、茜には不向きだな(笑)まぁでも珍しいな茜が誰かの見にくるなんて、結衣さんと何かあったのか?」


こいつはやっぱり昔から鋭いよな…


「まぁ、そんなとこだ」

「ははっ、そっか、何か懐かしいな茜と二人で休みの日に一緒に居るなんて」

「そうだな……」

「まぁ、今日は楽しもうや」


そう言って近藤は後ろの列に戻っていった

チケットを見せ終え会場に入った僕は書かれていた番号のとこに向かう


「えーと…Aー5、ここか」



そこは最前列の真ん中の席で一番彼女から近く

しかも真ん中ということで、ファンからしたら最も座りたい席なんだろうということが、話し声から分かる


「めっちゃいいなぁ、あいつ」


「変わってもらえないかな、」


「無理だろ、すげー運だな」



そんなに凄い事なんだな、全くあいつは、

携帯の時刻を見ると午後4時35分、それと連絡が一件入っている


[もう着いた?驚くでしょ!!特等席よ、ぞんぶんに楽しんでね]



はぁ。。変わらないな



時間が近付くにつれて会場の熱気が高くなっていく大勢の人が結衣の事を待ちわびている事が分かる


五分前にもなるとファンが一斉に彼女の名前を叫び始めた、それはもう今まで体験したことなく、会場全体が声で揺れている感覚だ、自然と僕の気持ちも高まっていく



午後5時00分


曲が流れ始めたと同時に結衣梨音が会場に出てきた、それは今まで話してきた、見てきた結衣梨音ではなく一人の”アイドル“だった



「梨音ちゃんーーー!!!!」


「愛してるよーーっっつ!!」



様々な歓声が力強く鳴り響く中、結衣梨音がマイク片手に話し始めた



「はいっ!皆静かにー!今日は来てくれて本当にありがとっ、これから全力で頑張るから皆も全力で応援よろしくねー!!」


ウォオオオオオ…ウォオオオオオ!!!!




…それから何曲もの歌を唄い、踊り、会場全体が一体感に包まれていく、皆必死に応援して、それに答えようと彼女も必死に全力でパフォーマンスしているのが見ていて分かる


「凄いな………。」



時間が立つのが早いと言うのはこういうことだろう、ボルテージも自然に上がっていき、皆もアドレナリンがでまくってる



「ハァ、ハア、えーと、次が最後の曲となります」



「えーー、!!!」

「イヤだよーーっっつ!」



「もうそんな事言わないで!!この曲は自分で作詞して作った曲、皆に聴いてほしくて、少しでも伝わったらいいな、聞いて下さい…”輝きたくて“」



曲が流れると同時にウィンクする彼女に会場も盛り上がり、一瞬僕にしたんじゃないかと思い顔が少し赤くなる、そう思わせる位彼女はアイドルなんだと思った



「輝きたくて、全力で走り出す~あの日理解したそれから後ろを向くのをやめたら目の前に色んな光が光っている、手で掴もうとしても掴めない光もあって~今あなたに写る私は何色ですか?」




茜の目から涙がスーっと流れる

自然に涙がでた、目の前に居るあの結衣梨音が汗をかぎながら全力で踊って歌っている、伝わってくる気持ちに耐えれなかった



「今日はありがとう、感謝の気持ちしかないです、こうやってここに立ててるのは皆のおかげでもあって私に前を向かせてくれた人のお陰です

頑張っても上手くいかない事が多かったけど、目標を見つけて、そこに向かって努力してる日々が私にとってのキラキラなんだって、辞めなくて良かったです、逃げ出さなくて良かったです

意味がない頑張りなんて一つもないよって皆に伝えたいです、これからも応援よろしくね!」



そう言って彼女はステージを後にした

今でもライブの余韻が残る、皆が席を後にしていく中、少しの間座りんだまま目を閉じて、数分後に茜も席を立った



「充分輝いてたよ。」

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