6.もう一人の美女
キーン…コーン…カーン…コーン
午前12時、お昼を知らせるチャイムが鳴り響く
あれから結衣梨音は学校へあまりこなくなった
それは多分ライブが近付いてきたから色々と忙しいのだろう、メディア活動にレッスン、
普通の人にはあまり分からないしんどさだろう
それに至って、僕は平和な毎日を今過ごせてる
今度のコンクールが夏にあるのみ、あとは自分のペースで出来る事ばかりなのだから
まあでも少しうるさい奴が居なくなると思うと
この教室も寂しくはなる、、
「ってそんなわけあるか、これで僕の楽な学生Lifeが少しの間戻ってくる」
そんな事を独りで考えながら独りでツッコミをいれている僕に一人の女の子が話しかけてきた
「…伊藤君、ご飯食べましょう」
そう言って僕の目の前に居る女の子は
”梨田命“ナシダミコト
スラリとしたスタイルに長い髪の毛を後ろでとめポニーテールにしている、顔は少しきつめの可愛いよりかは綺麗という言葉が合っている
彼女は今、同世代に物凄く人気があり周りからはカリスマと呼ばれるほどの“モデル”だそうだ
流石の僕でも彼女の事は知っていた、テレビや雑誌で見ない事はない位、有名なのだから
そんな彼女が僕に何の用なのか、僕の横に座り込み、コンビニで買ったんだろうお弁当を食べ始めた
「そういや、お前学校来るの久しぶりだな」
茜は無言の空気に耐えられず、とっさに会話を振った
「うん、忙しくて最近は学校に来れなくて…そういや最近梨音ちゃんと仲良いのね」
…何故彼女が結衣の事を、というか仲良くはないが
「お前、結衣と仲良いのか?」
彼女の箸が止まると同時に僕を見てきた
何だこの空気は……
「連絡は取り合ってるよ、というか伊藤君が女の子を名前で呼ぶのって珍しいね」
ちょ、、
少し寒気がした…こいつは僕にとって何なんだ
カリスマモデルという事だけは分かるが、虎視眈々と話す彼女がちょっと怖い…
「そ、そうか、普通だぞ、」
「そう…。あの…今度、、今度ね映画の主役が決まったの、恋愛物の話しらしいんだけど…」
いきなり何故僕にそんな事を言ったのかは今の僕には分からなかった
「凄いな映画の主役なんて、頑張らないとな」
会話が止まり少しの間沈黙が続く…
「………うん。」
そう言って彼女は溜め息を吐きながら席を立ち
お昼が終わると同時に帰っていった
溜め息を吐きたいのはこっちなんだが
いきなり何だったんだ
そしてチラチラ遠くの席からこっちを見てるあの女も何なんだ
「あー、うざい…」
考える事をやめて深く茜は眠りについた。
バシっ…パンパン…
「起きろよー、終わったぞ」
「……ん、そんな時間か」
「そんな時間か、じゃねーよ!何時間ねんだよ」
どうやらあれから今まで寝ていたようだ
優雅に昼寝をしていたらしい
携帯を見ると午後4時、それと一件の連絡、
[あんた今日みーちゃんが学校来てたんじゃない?私の友達だから意味不な事言わないでよね、それと日曜日だからねライブ!]
あいつか、みーちゃんって梨田命の事か
何だよめっちゃ仲良いじゃねーか、
……みーちゃんかぁ、何か聞き覚えあるような無いような
「…あー、思い出せねぇ」
「何だ夢の話しか?」
「あほか、」
モヤモヤが残りながらも思い出せず
しょうがなく学校を後にする茜
「誰だっけなぁ…」
まぁいっか。