3-21 ゲーム
ゲ―――ム
我が家にはゲーム機がある。
なぜならば、俺が好きだから。
いやそれでは説明が足りないなぁ。
ハルカがいるかだ!
質問は受け付けない!
「何勝手に買ってきてるの、コラ!」
「へぇえ、すみません!」
うっす、すみません。冗談っす。
絶賛アカネに怒られてます。
今リビングには俺が正座している上にアカネが覆いかぶさるように俺を叱っています。右手は俺の頭をサスサス撫でながら、左手は大きな段ボールをポンポンたたきながら。
そんな中でもハルカは俺の横でにこにこしながら段ボールの開封を待っている。畜生、ハルカの笑顔が殺伐とした戦場に咲くひまわりのようだぜ。
なんて考えていると、アカネはぐわしっと頭をつかむ。
「ねぇ、ハヤト、もう一度聞くけど、これは、何?」
「ゲーム、です」
「へー、そうなんだ」
「そうです」
「何が入っているの?」
「…」
「答えなさい」
「ゲームと本体と」
「と?」
「ソフトと」
「と?」
「コントローラと」
「と?」
「ステアリングとペダルとVRモニターとシートチェアです」
「それよ!!!」
そっすよねー。だよねー。
ただのゲームで通すには無理があったわ。
俺が買ってきたのは車のレースゲーム。コントローラーは専用のハンドルとペダル、シフトなど。そしてゲーム機。さらには安定した姿勢で運転するための椅子。さらには、最新技術でVR機器がある。
総額20万だ。
怒るのはわかりますよ。
「まぁ、そう言ったって…」
「はぁ!?」
「しかたないじゃないかぁ」
「仕方ない!?私に、黙って!こんなに高いもの買ってきたのに!仕方ない?」
俺の首に手を回し、スーツ姿の俺のネクタイを持ち上げる。苦しいです。
「ゲームが好きで、買うのはいいけど!高すぎるのよ!何なのよこれ」
「ほら、ニュースとかでやってるだろ?」
「何よ」
アカネさん、口調が荒々しい。昔のようだ。
「最新技術でゲームの中に入れるとか。それが気になってさ」
「…で?」
「買っちゃった!」
アカネが手を離し、俺は尻もちをつく。あ、これは殴られますね。
ああ痛い。
でも紅葉腫れ一発で許してくれる。俺はアカネが大好きだよ。
さて、ゲームだ。
今回の黒幕だが、実はハルカである。まぁそんなもんだろうとはみんな思っていただろう。
ニュースでやっていたんだ。最近のVR技術はすごいと。
隣町で殺人犯逃亡被害者4人…違う。
特許出願許可…違う
VR技術の進歩リハビリにも利用可…これだ。
いやまぁ、ぶっちゃけ方便だけどね。
俺も久しぶりにゲームがしたかったのだ。それも最新だというと気にはなる。でもハルカは俺にゲームをねだったときめちゃくちゃ遠慮がちに安いゲームを提案してきた。
それではパパが廃るというもんだ。
そこで人肌脱いで、お店でクレジット一括払い最新機器をそろえてしまった。悔いはない。しかしここでソフトはレースゲームというのはちょっと問題だったかもしれない。
もっと女の子らしいゲームにしてあげればよかったと後悔はしている。
なぜ、俺は自分のやりたいゲームを買ってしまったんだ。
しかし、それももういいことだろう。
「おおおおおおおおおおお、速い速い速い!」
どうやら家の車好きの娘はレースゲームをちゃんと気に入ったらしい。
大きなヘッドギアを頭にかぶってハンドルと必死に操作しているハルカが俺の目の前にいる。
テレビの画面にはハルカが運転する車がふらふらしながらコースを走っているのが移された。
俺のさらに隣にはアカネがいる。
なんだかんだ言っても俺たちの世代はゲームが好きな世代だ。どんなゲームになっても楽しむ形は同じだ。
「おおおお、パパ凄い。これ速い!楽しい!」
「そうか、買ってよかったな」
「まぁ、ハルカのために折れたんだかねぇ」
「すまんすまん、アカネありがとう。さて、ハルカパパにもちょっとやらせてみてよ」
「うん!パパ運転して」
家族でこうしてゲームを囲んで遊ぶ。これもなんだか夢だったことの一つだ。これも正しい家族の形だろう。
「おおお、パパじょうず」
「ハヤトうまいじゃない」
やばい、このゲームめっちゃ楽しい。
ゲーム楽しいですよね。
それはそうと、そろそろ物語をまた一気に進めようと思います。
そうすると、日常話には戻れません。まだしばらく日常話を続けた方がいいですかね、物語を進めた方がいいですかね。
私にはわかりません。わからないので、まだ書けていません。




