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1-7寝てる時にビクッ!てなるアレ

学生時代、よく寝てました。めっちゃ寝てました。





 寝てる時にビクッ!てなるアレ



 本日も晴天で、気持ちのいい昼寝日和です。


 テーブルに突っ伏して寝ているのになぜが熟睡できているハヤト。今朝は寝起きがすっきりしていたためあまり眠くはない私こと、アカネ。


 今日は何をしよう。


 ベランダを眺めているとカーテンが揺らめくその先に洗濯物がはためいている。部屋の電気はつけていないのにこの明るさ、よく乾きそうだ。


 お昼はさっき済ませたし、掃除も今は必要ない。


 手持無沙汰とはこのことでしょうね。


「お休みのハヤトは何の夢をみてるんでしょうねぇ」


 私もハヤトと同じようにテーブルに伏せてみる。でも夢の中までは入れないようだ。


 ぐりっと顔の向きを変えて、ハヤトのほうに向く。口を開けてすーすー言っていた。よだれがもう少しで落ちそうなのも少し気になる。


 寝ている時のハヤトはいつにもまして、顔が幼く見える。普段から割と童顔だ。



       ガタン‼



「!?…え?」


 突然、ハヤトの体が跳ね上がった。昔高校の時とかによく見た、寝てる人がビクッとなるあれだ。


 突発的な筋肉の収縮だそうだけど、確か名前は…ジャーキングって。無理に緊張した体勢で寝てるとなるらしいね。


 目の前で見て少しびっくりしたけど、なんだか久しぶりに見た気がして面白く思えた。


「まだ、寝てるよね?」


 私の中の小さな悪魔が動き出した。もう、…やるしかないぁ。









 とりあえず、部屋にあるものを持ってきてみた。


 リンゴ、ガムテープ、漫画、とりあえずこれくらいでいいかな。なにをするってそれは…、悪戯でしょ。えへへ。


 ハヤトの頭の上に乗せれるだけ乗せてみようと思う。


 なんでこんなことをしたいと思ったのかは問題じゃなくて、まずはガムテープを。何となくこういう悪ふざけはいつもの癖みたいになってきたんだよね。よし!安定した。次は…リンゴかな。ガムテープの上だから簡単にのっかるね。それにしてもよく眠るなぁ。これならまだまだ起きそうにないよ。次は漫画。リンゴの上だからなぁ、難易度高いぞぉ。おっ、乗るか?乗ったのか?乗ったあぁ!


「うん。何だろうこの達成感。一仕事してやったぜって気持ちだよ」


 高ぶる気持ちの私の前にはハヤトがいまだグッスリとしていてその頭の上に不思議に安定したタワーが出来上がっている。


 そういえば、暑くなってきていた。室温もいつの間にか数度高くなっている。何かないかな。冷蔵庫までとりあえず…


「飲み物がほとんど切れている状況は、なんだ。鬼か」



 まともに考えてもまずいでしょう。



 冷凍庫を見ると氷はしっかりあった。今思い出したけど、この間この夏に備えてかき氷器を出したんだった。少し早いけど、いただこうかな。


 シャリシャリシャリシャリ…いやぁ、夏を感じますね。


 テーブルまで戻ってきて、削りあがった氷を器に盛って、練乳をかけて頂きます。


「ああ、頭がキーンってする。でもおいしいぃ。にひひ、ほらハヤトぉ。先にいただいちゃってますよぉ」

「なんだか今日はとっても好き放題できているな。そろそろ天罰が…いやいやそんなまさか。あれ?ハヤトの様子が…」


 またジャーキングだ。そんなになるなそうやって寝なければいいのに。ほらきたビクンって。あ、あれ?タワーが…。


 崩れてきた、漫画もリンゴもガムテープも。落ちてきてそして、私のかき氷をめがけて…


「させるかぁ!」


 このまま素直にこのかき氷を渡しはしないさ。あ、あれ?練乳のふたが開いたままで、あれ?私のケータイってそんなところにあったっけ?








「ん、ん~。あれ。俺ずっと寝てたの。うわぁ!めっちゃ時間たってんじゃん。アカネ、かき氷?これ。俺の分ないの?ねぇ、さっきから何ケータイ拭いてんだよ」

「ごめんね、ハヤト。何も聞かないで。それとごめんね」

「?」


 うう、まだ甘い。匂いが甘い。


「ねぇ、アカネ。俺のカキ氷は?ねぇ」

「うるせぇ!」


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