3-17 平日の日常「昼」ハヤト
あけましておめでとうございます。
平日の日常「昼」ハヤト
保育園までハルカを手を繋いで歩く、歩を進めるたびにすれ違う人たちに朝の挨拶を交わしていく。俺と同じようにハルカくらいの子供を連れたお父さんらしき人もお母さんらしき人もいる。名前までちゃんと知っている、同じ保育園の知人もたくさんいた。
さらに保育園に近づけばハルカの友だちも出てくる。
そうすると、ハルカは俺を離しその子の下へ駆け寄っていく。
そうして、俺はハルカをちゃんと見失わないように後ろに陣取りながら、保育園まで届ける役目だ。
ハルカは俺の前で女の子3人グループと仲良く話をしている。
見上げれば青い空。
胸いっぱいに空気を吸い込むと、春の匂いが体にしみこむ。
「パパ、パパ!」
「ん、おう」
ハルカがグループから抜け出して俺の下に戻ってきていた。
「パパ、ついたよ」
「そうか。じゃあまた夜にな。」
「うん、パパいってらっしゃい」
「行ってきます」
俺は膝を折り、ハルカと顔を付け合わせて別れをかわす。
髪をクシャっと撫であげたらみんなを迎えている保育園の保育士さんのほうへハルカを押し出した。
手を振りながら俺に背中を見せて、走っていった。
駅までは俺と同じような人たちが連れ立って歩を進めていく。会社の始業が早いのか足早に人だかりを抜けていく人もいた。
ワイワイガヤガヤ。
駅が近くなると当然多種多様な人々が集う。雑多な会話が流れ、俺はスマホでニュースを流し読みしながら駅構内で電車を待つ。
新党設立、新政権の下で与野党の合意はあるのか…
日経平均、震災後過去最高を記録…
東京科研、新エネルギー実用化をめどに特許申請…
A市での殺人事件、いまだ犯人捕まらず…
新型リハビリ施設で運用開始…
おっと、電車が着いたようだ。
「おはようございます。先輩」
「おう早いな。おはよう」
すでにデスクで書類をまとめ終えるかのような彼女はシズク。もう背詰めするまでもないか。
そうシズクだが、俺より早くに来て今日一日のスケジュールをまとめていた。
いつものこと。
いつの間にやら俺よりシズクはうまく仕事をするようになっていた。
だから、こういうことが起こると、仕事が楽になる。暇な時間ができる。気分が楽になる。
「シズク、ありがとうな。いつも助かっている」
デスクに上着をかけて腰を下ろす。駅で買ってきたコーヒーを一本シズクに投げてやる。
「お疲れさん、まだ始業には早いからちょっと付き合えよ」
「やだ、先輩コーヒー一本で私を釣ろうって言うんですか「んじゃ、あとで…」いいですよ行きましょう」
こいつ、……いいやつだな。
屋上に上って二人ベンチに座った。
もう15分もすればみんな集まってくるだろう。それまでの暇つぶしだ。
「さて、先輩何か話でもあるんですか?」
「んーそうだな」
ないな。
「ないな」
「ですよねー」
「だって毎朝のことだからな。もう話すことなんてそうないだろう」
「昔は結婚してどうだとか、子供が生まれてどうだとか言ってましたけどね」
「確かに。実は年頃の女の子に足してする話じゃないかと思ってやめたんだ」
「それはあってます」
「あってんのか。済まなかったな」
「いえいえ、別に先輩のこと嫌いになったりしませんよ」
「……」
「なんで、そこで無言になるんですか!恥ずかしいじゃないですか!」
「いや、ちょっと昔のお前を思い出してな」
「あー、ちょっと恥ずかしいっすね…」
「ハヤにぃハヤにぃってくっついてたなーって」
「そんな昔のことを思い出してたんですか!?やめてください!殴りますよ」
「力技に出るな!冗談だから」
「もう、せめてこの会社に来た頃のことくらいに考えてましたよ」
「うちのアパートに泊りに来たりな」
「…その節は、迷惑かけました」
「…こちらこそ、鈍くてすみません」
コーヒーが進む。
俺がシズクに手を出すとコーヒーの空き缶を渡す。俺は二つを屋上のごみ箱に突っ込んで二人で屋上を出た。
その後朝礼を迎え、課長からゆるーい仕事の指示をいただき、俺はシズクの作ったスケジュールの元、各部下に仕事の割り振りをしていく。部下の個性もばらばらで面白かった話もあればシャレにならないことをやらかすやつもいたりしちゃって。
それでも、俺は課長と同じくゆるーく指示していった。まぁなるようになるさと。
さてさて、これでまた社には俺と課長だけになった。
そうだな、普段の俺の仕事を教えよう。
まずスマホ。常時手元に置いて連絡があればすぐ対応している。
次にパソコン。これで書類を作っている。
以上だ。
やばいな。これが仕事なんだ。
パソコンで作っている書類というのはいわゆる本社に報告するものや会議で使用するもの、みんなが集めてきた情報を精査して使えるものを再度振り分けていったもの、etc
ああ、やっぱり雑用なんだよ。管理職ってさ基本なんでもできる様に対応はできるけど、暇なんだよな。帳簿とか会計的なことは別部署だし。国とか県市に出す書類も別部署だし。
俺最初に言ったじゃん?楽で融通の利く仕事を選んだって。
まさにそうなっちゃった。
お、電話来た。
「はいはい、お疲れ様です。どうしましたー。WW商事?ああ、あそこはね…」
はい、定時になりました。
5時にはみんな帰ってきて、それぞれ報告してもらった。途中で電話で個別に報告聞いてるから何も問題はない。俺はみんなの成果を本社にメールするだけだ。
だから今現在。全て終わった我が部署は明日に向けての話し合いをしている。そうしてまた明日も早く仕事が終わるのだろう。
ああ、幸せだ。
さて、ところ変わって駅です。電車は混んでませんでした。当然です。まだ帰宅ラッシュには早いです。そして改札を抜けてもいるのは学生さんばっかり。いつも思う、俺がハルカを迎えに行っても問題はないよな。
でも、万が一があるし、アカネも「私もハルカと触れ合いたいんだよ!」なんて言われてしまったからな。
帰ります。
「ただいまー」
「おかえりー」
「パパ―ねぇねぇ!」
「ハルカ、まずはおかえり!」
「おかえりなさい~!」
二人が出迎えてもらえるから全然不満ない。俺うれしい。今日も明日も頑張ります。
さぁアカネとハルカを愛でよう!
正月といえば親族の集まりがありますね。
姪が可愛いです。しかしなつかれません、ガン泣きです。




