3-14 テレビのヒーロー
そういえば、前回なんとなく「続」とか書いた気がしますが、忘れました。なかったことにしましょう。
テレビのヒーロー
「パパ―起きて―!始まる始まる」
「ぬおぉ、娘よ、今日も早いな…」
「なにいってるの、テレビ、テレビつけて!」
そうか、今日は日曜日か。
ハルカの好きなヒーローが出るんだったな。
ハルカがせわしなく俺の布団をめくり上げるでの俺はまだ寒い布団の外へと繰り出す。まだ、テレビが始まるまでは時間があったので、とりあえずハルカを連れてリビングへと向かう。その間俺の周りをピョンピョンと飛び跳ねながら小さい手が鈍い俺の足を押し上げる。
そしてテレビをつけてやると「うおぉぉー」と正座して、CMにくぎ付けとなった。朝のヒーロー番組に係るようなCMばかりだからちょうどよくハルカの興味を引くし気分も盛り上げてくれるのだ。
俺はというと、ハルカをリビングへ貼り付けることに成功したところで、自分の身支度へと向かう。顔を洗いに洗面所だ。うーん、しわってほどじゃないけど、なんか堀が深くなって来たなと、自分の顔に感想を持つ。
髭を剃って、歯を磨いて。それくらいの時間はある。ハルカはちょっと早めに起こしてくれるのだ。はやめなんだよ。子供ってあんなに早起きだったっけか?
水をタオルでふき取って、鏡で剃り残しがないかを確認してから洗面所を出た。
そこでちょうど、「いひゃ―――!」と甲高い喜声が轟く。
ハルカの遠慮のないテレビのヒーローへの応援が目覚ましとなり、アカネがそれ起きてきた。眠そうではある。大人は大体そうだよな?朝は弱いよな?
「おはようアカネ」
「うーん、はよう」
「食事作っておくから顔洗ってきなさい」
「う、ふん。ありがとうハヤトー。大好き―」
「はいはい。大好き大好き。行ってこーい」
寝ぼけたアカネは顔さえ洗って来れば大体目を覚ましてくるから、ハルカがテレビに夢中でこっちに邪魔が入らないうちにぱぱっと調理する。
オーブントースターにフランスパンをカットしたものを少し焦げ目がつく程度に焼きあげる。オーブンはそれでしばらく放置。
昨日の夜ごはんに作っていたビーフシチューを温め直して、冷蔵庫から卵を5個取り出す。カンカンとボウル全部割入れて、手早くかき混ぜたら味を調えてバターを溶かしたフライパンに。オムレツ中とオムレツ小を作った。そのころにはフランスパンにも焦げ目はついて、シチューも温まった。
リビングから聞こえるテレビではクライマックスのシーンだろうか。盛大なBGMが聞こえる。
食卓へ配膳する。アカネはすでにいつもの席でコーヒーを片手にのんびりと構えていた。
「おぉぉ――――!かっこいい―――!」
「どうだハルカ、今日も面白かったか」
「うん、すごかったよ―!」
「さあ、ママの隣に座りなさい。パパがご飯作ってくれたよー」
「うわぁお、おいしそう!パパありがとう」
ああ、いい子だ。きちんとお礼を言える。パパ感動。
そして、何気にアカネのいいサポートをしながら手を抜くという珍しい技術が目を引く。それはいいか。アカネには平日頑張ってもらっているからな。
「じゃ、いただきます」
「「いただきます」」
「うーん、オムレツおいしい。ハルカはどう?」
「おいしいよ!」
「そうか、そうか。アカネ、今日は何もなかったよな」
「そうだね。予定はないし、天気もいいね」
「それじゃあどこか車でお出かけしようか」
「ん!パパのクルマ!」
「そうだよー、パパのクルマでお出かけだ―」
「やったーまたヒーローだ」
「ハルカはパパがいてよかったね!」
ハルカが言うのはこういうことだ。
俺は今ちょっとばかしいい車に乗っている。ルノーのメガーヌRS。輸入車のマニュアル車。
そして、今やっているヒーロー番組ではヒーローがスポーツカーで登場してくる。
つまり、パパはヒーローってこと。
こんなにうれしいことはないさ。
娘と奥さん連れて、パパは行く。
「君の膵臓を食べたい」を二回読んで二回泣きました。
小説版漫画版どっち読んでも内容知ってても泣きます。
もう話題の時期ではないですけどね。
そういえば、「学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで」という岡田磨里先生の作品を読みました。タイトルを見たとき、これは私が今一番読まないといけない作品だとすぐに手を取り、その日のうちに読み切りました。
みなさんもぜひ読んでください。自分の弱さに名前を付けて形がつけられたような気持になりました。




