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3-11 そういえば家族

あの子が出てきます。

そういえば家族




 この家には新しい家族が増えた。ハルカという小さな女の子。


 部屋の模様替えも大胆に行われた。どこかぶつかってもいいように柔らかいゴムをあちこちの角につけている。


 居間にはハルカが遊ぶ用のおもちゃもあるし、アカネさんが目を離したすきに散らかした洗濯物もある。


 ハヤトくんも大変だけど、アカネさんもかなり大変。実は弁当屋さんのバイトは意外と息抜きになっていたんだろうか。当然、それも子育てを理由にやめてしまっているが。


 そうだ、家族の話をしていたんだったな。僕も家族さ。


 僕はなーこ。この家の飼い猫だ。




 最近の悩みはアカネさんがご飯をくれる時間がばらばらになっていること。


 自分のご飯も満足に食べられないのにネコの分まではしかたないなー。


 そうして、ハルカちゃん僕に襲い掛かってくること。


 これはひどい悩みだ!危険である。今日は尻尾を折られかねないところまで来ていた。


 油断できない。


 僕がひとたび「なー」となけばハヤトくんもアカネさんもたいがい僕の意図に気が付いてくれるが、この子は危険だ。まだ僕は賢い猫だにゃ。おっと、猫が表に出てきたなこれは失敬。


 僕はある程度賢い猫である。


 彼女が周りはおろか自分自身のことさえわかっていないことは僕も把握済みだ。


 怪我をお互いにしない様にかまってやることが肝心だ。


 例えばこんな風に、突進してきたなら、節度な距離をもって遊んであげればそのうちこてんと寝てしまうさ。そうすれば、アカネさんも疲れることはない。


 僕なりに、猫なりにできる事はあるんだよ。



「あーなーこ。またハルカ見ててくれたのか。ほんとありがとねー」


「なー」



 なんでもないさ、アカネさん。僕が君たちにできる事なんてこんなもんさよ。



「ねー、なーこ。なーこはいつまでもここにいてね。私たちと一緒にね」



 そうだよ、僕は一緒にいるよ。気が済むまで付き合うさ。


 アカネさんはそのまま眠りに入る。僕はブランケットを引っ張ってなんとかかけてあげた。


 さて、そろそろ夕暮れ。猫もお仕事。みんなに元気を分けてあげるのもあと少し頑張ろう。





「ただいまー。あれ皆寝てるのか。


 お、なーこ。元気にしてるか?ごめんなーあんまりかまってやれなくて。この禿はハルカにむしられたか?そうかそうか。ありがとうな」



 大丈夫にゃ。


 ハヤトくん。僕は君が大好きにゃ。みんな大好きにゃ。


 だから僕が最後までみんなは元気でいてね。



「なー」


「よし、なーこ、メシ食うか。俺が出してやる」


「なーご」



独りぼっちのクリスマス―…

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