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3-8 カッチョさんとダイリーちゃん

ここから、一話完結物語をちょっとやれればいいかなって。


新キャラ課長さんです。

   カッチョさんとダイリーちゃん



 とある平日の頃、今日も今日とて我々社会人はめまぐるしく働く。ただ俺自身は社畜とまで思わないので全然まし。というか、給料上がっているからウハウハですよもー。


 調子こきました。


 はい、頑張って働きます。


 昼過ぎからからうちの課はみんな出動中で社に残っているのはわずかな事務員と課長と、俺。


 ぶっちゃけ暇。


 夏なんですよ。こんな中で外に出ずにエアコンの効いた部屋で書類整理や顧客管理するくらいで済むなんて至福だ。


 窓からは大量の光線が室内を照らすが、そろそろ室内は冷え込んでくるころ。


 そうすると、決まって声をかける人が居る。



「ハヤトくんハヤトくん、ちょっとね。ちょっとね」



 課長さんだ。


 50代の人当たりのよさそうな顔をしてる少しやせ気味なおじさんは俺の直属の上司の課長。この支社ではナンバー2に偉い人。


 なのに、俺のことをこういう風に呼んでくる。聞く人が聞けばなんか気持ち悪いだろう。


 だが、これは恒例行事なのだ。



「課長さん、あれですか」


「うん、あれ。早く早く」



 あれとはつまり、あれだ。


 さぼるんだ。


 いや待て、幻滅するのはまだ早い。効率のいい仕事というのは休憩が大事だろう?そうこれはトータルで見れば仕事なのだ。



「さて、課長さん。もういいですか?行きますよ」


「よし、誰も来ないうちに行くよ」



 こそっと、社を出る。



「ていうか、毎回毎回課長さん大丈夫なんですか?」


「うん、問題ない。お金はあるかねぇ」


「そりゃ課長さんは俺よりもらっているからそこはいいでしょうけど。仮にもこうして部下を引き連れてこそこそしているわけで…」


「えぇ、それはあれかい?ハヤトくん、もう私をあそこへ連れていってはくれないというのかい!?」


「そういうわけでは」


「いや、ならいいんだよ。みんな幸せならいいんだよ。なによりハヤトくんのおかげで会社に来るのも楽しくなったしねぇ」


「それは……、ありがとうございます。それじゃ、手早く済ませちゃいましょう」


「おっけい!」



 こっそりと社に戻る。



―――その日のとある事務員さん―――



「キャ―――!みんな来てちょうだい!」



 一人の悲鳴で夕暮れ社に残る人たちがあつまる。


 そこは休憩室。



「今日はカッチョさんとダイリーちゃんの日よ――――!」


「やぁあぁぁああ、そこのシュークリーム!それはあたしが頼んだ奴!」


「モンブラン!モンブラン!」


「おおおお、イチゴのショートケーキがホールである。なんてことだ」


「き―――た―――!ドーナツ!」



 男女入り乱れて休憩室の


 冷蔵庫をあさっていた。




 ある時から不思議な日が始まった。頑張っているみんなへというメッセージと共に大量のお菓子が冷蔵庫にたまっていることがあるのだ。


 最初はどこかの取引先の御土産かと思ったが、質が違った。めっちゃうまい。


 まるで作り立てのように、ケーキは新鮮。


 見つけたものは当初独占も考えたという。しかしそれをあざ笑うかのように大量のケーキが日々冷蔵庫にたまっていったと彼女は言う。


 そうして社内にケーキの噂と実食が広まっていく。


 目ざとい人たち、まぁ全員気が付いているが、その犯人は捕まらない。寧ろ捕まえる必要はない。言いたいことは大丈夫かということくらいだ。


 社員たちは敬意を込めてこのお菓子を配ってくれた人たちを、こう呼ぶ。


 カッチョさんとダイリーちゃんの日と。




 時間は戻ってとあるお菓子屋の店内。



 「いやぁ、今日も来てもらって助かります。お二人が作るお菓子は評判良いですかねー。お客さんにも当たりの日なんて言われてますよ」


「いやいや、こちらこそ、場所とか材料とか格安で貸してもらって大変ありがたいです。ねぇ課長さん」


「全くだよ、ハヤトくんがまさかこんな方法で休憩場所を作っていたなんて知ったときはびっくりしたものだ」


「はっきり言ってくださいよ、僕が仕事中にここでサボってたの見つかったのは課長が初めてなんですから。店長さんに頼んで手伝う代わりに裏側に居させてもらったのに」


「まぁまぁ、今ではこうして一緒にお菓子作っている仲なんだから。昔の趣味が役立っちゃったよ。たのしいねぇもう」


「お二人とも、初めて顔を合わせたときは、どうなるのか店長としても怖かったですよ。今ではいい思い出ですがね。さぁ今日もたくさん持って帰ってください」


「よぉし、疲れもとれたし、そろそろ帰りますか。ハヤトくんお菓子はもう十分持ったかな?」


「オッケーです課長さん」



 こうして始まった課長さんと代理さんのお菓子作り休憩は社内で人気のイベント、カッチョさんとダイリーちゃんとなった。


 ちなみに、みんなが休憩室で大量のお菓子を消費するころ、課長とハヤトは帰宅し、誰があれだけのお菓子を食べているのか、なんと呼ばれているのか、自分たちのサボりが黙認されている理由が実はあるということは全く知らない。


良い上司いいなー

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