3-5 手を伸ばしてみる
復帰してから読んでいらっしゃる方はわかると思いますが、今の時点はではキャラクター再紹介がメインであり、内容は希薄です。
もうしばらくお付き合いください。
「ベストショット!ベストショットですよ先輩!」
「はぁ、まぁありがとうございます」
シズクと二人、デスクで社内広報誌を見ていた。
特集は若き大黒柱期待の課長代理。要は俺が載っているのだ。
今は昔みたいに一人での営業はしていないむしろ、社内に残って7人の部下の営業管理をしているのがメインの仕事である。部下を持ったといっても上には課長も部長もいる。ぼけーっとしていられるわけはない。
それでも俺みたいに20代で課長代理まで昇進するのは珍しいことで、こうして広報部からの取材に付きあったのだ。
なぜそのサンプル記事を俺よりも興奮して部下であり、古い友人のシズクが見ているかといえば、またちょっと面倒な話になる。
昇進したとき一人補佐を付ける様に言われた。
今まで以上に厳しい仕事に年上の部下を抱えることになるのだからさもありなん。そこでなぜ白羽の矢が立つのがシズクかといえばそれしかいないと言わざるを得ないだろう。
これまで部下は一人。同期はいない。身近によく知った先輩もいない。
意外に使えるシズクが一人いたのだ。
もう一度言う。さもありなん。
こうして俺は課長代理シズクは営業部から外れて直属の補佐になった。
これは仕事が増えるぞーと思いきや、まさかの減少。
これまで俺が回っていたお得意はすでにシズクのテリトリーであり、それぞれの会社からも俺の昇進を祝ってもらう始末。中にはどこから漏れたか、第一子おめでとうといわれることも。
と、いうことで俺が昇進しても変わらず成績は落ちることなく、社内にいてもシズクが代わりに各社を回ってくることとなり、俺は他の部下の管理に集中できた。
おかげさまでもう絶好調ですわ。左団扇で暮らす用ですわ。
閑話休題。
そういう顛末からか、この広報誌をゆっくりと二人で眺めることもできるわけさ。
「先輩パパの顔と課長代理の顔を全然違いますねー、家ではあんなに子煩悩だというのに」
「あのさ、そう言うけど前からそうだったからね?でか君家に来過ぎじゃない?どうすんのよ、ハルカがシズクになついちゃったら。俺泣くぞ?」
「いいじゃないですか。ちゃんとアカネさんには許可貰ってますー。なんなら毎日夕食食べましょうとか言われてますー」
「それはお世辞ですー」
ちょっと真似してからかう。
「キモいですぅ。……もしかして少しおっさん脳になってきましたか?」
ハヤトくんちょっと傷つきますぅ……。
「ま、でも、それでも好きですよ……」
「よーし、行ってこーい」
「えー、もうですか。いいじゃないですかもう少しいちゃつかせてくださいよ」
「馬鹿か今仕事中の上、俺既婚者!君俺の部下、なんなら不倫未遂の相手だぞ。アカネに許してもらったとはいえ」
「わかってますとも。先輩が優しいのがダメなんですよ。もっと厳しくしないと。では行ってきます」
「はいはい。いってらっしゃい」
そう言ってシズクは一人でていき、部屋が俺だけになった。
「優しくか。優しくしてしまう理由くらいわかっているだろうに」
部下としてのシズクが社を出発し、俺は幼馴染として彼女に少し思いをはせる。
現実がなんであろうが、俺は俺の道を行く。彼女が自分の道をしっかりと作れるまでは、俺は見ていてやりたいと思う。
できる後輩ってのはなかなかいないんですよ?




