2-21お義父さん
お義父さん
今日、私はハヤトくんと直接話をした。
彼のことは嫌いではない。みんなの前では見栄を張って頑固おやじのような装いをしてしまうが、彼は誠実なのを知っている。がんばっている。
私はアカネの父親として彼女の幸せのみを願っている。ハヤトくんならそうしてくれるだろうと思っている。
先ほど、彼の家に行き、送り出したのだが。彼にも伸し掛かる物があるのが見てわかった。それもそうだ。まだ若い。余計なことに、嫁の両親にさえ気を働かせる男のようだからな。自分の家族のことだけ考えればいいものを。
それはそうと、久しぶりに居酒屋にいる。本当に久しぶりだ。家内の体調を考えて、いつでも病院に行けるようにお酒は控えめにしていたし、外にのみに出ることはしなかった。
車を貸してくれた元部下をいたわってやらなければな。
「部長が車を貸してくれといってきたときには驚きましたよ。あの事故の後はもう乗れないかと思ってましたから」
「うむ、それは間違ってない。私はもう乗れないかもしれないからな」
それにこの足だ。できることも限られてくる。
「突然辞めてしまって悪かったな。君にも迷惑が買っただろう」
「いやいや、警部に比べたらそんな……」
まだ暗くならない内にお開きとした。
車はまた今度取りに来るそうだ。何かお礼もしないとな。
少しばかり歩くのが遅くなっただろうか。何、もともとでかい体だ。歩幅が小さくなったとて、周りの人たちと大して変わらん。思うようにならないからだとはつらいものだな。家内はこんな思いだったのだろうか。
家に帰ると、アカネたちはいなかった。中には私の帰りを待っていた家内が笑顔で迎えてくれる。
「お帰りなさい」
「ああ、ただいま」
「もう、無理しちゃって、体は大丈夫なの?」
「ちょっと、つらいな。まだまだリハビリが足らないか」
「アカネは帰ったわ。次に来るときはもうおじいちゃんになってるかもね」
「何!?」
もうそこまで話が進んだのか!もやもやする……もやもやする!
しかし良い方向に動いたのだろうか。あの子たちがどうか幸せになるように祈ろう。
父として、義父として。




