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2-15またしても

またしても




 きっちりとかみ合ってしまった物があるとしよう。それは者でも同じことだ。


 強固に噛み合わさったものは、互いに離れまいと躍起になってくっついているに違いない。だからこそ、それを引きはがそうとする存在が現れ、外部より力が加わると、噛み合っているそれは、抵抗し、さらに力が加われば、予想外な破損があるだろう。


 予期していなかった場所へと、その力の負荷がかかり、当然予期していないのだから、余力もなく、すなわち、破れ去っているのだろう。


 皆も心すべきだ。


 そう言うときは落ち着いて、ゆっくり力を加えればいい。決して無理はしていけない。


 紙合っているこれを、無理に破ろうとはしていけなのだ。


 この、トイレットペーパーを。



「なぜだ、なぜこんなにも、きれいに接着されている」



 説明の必要もないだろうが、俺がいるのは自宅のトイレの中だ。


 ハヤトというのは、どうしてこうもトイレで苦しむのだろうかな。


いつぞやに比べれば大したことはないのだ。一応説明しておくとすれば、ただトイレにて用を足しているのみ。まぁ、お察しの通りトイレットペーパーが切れていて、しかし同じ轍は踏まない俺はきちんと予備を手の届く場所に用意している、ただただ、そのトイレットペーパーの初めの切れ目が何ともきれいに接着されているということが今の問題といえば正解だ。


 君ならどうする?


 びりびりになってもいいから、とにかく破ってしまうか?



「ふっ、それができれば苦労はしない」



 このトイレットペーパーがダブルだといえば賢い皆は理解できるかな?……、まだ難しいか。いいか、ダブルというのは、二枚重なっているもので……そこまで詳しくなくていいか、つまり表面に来る表側には柄が入っている。これをびりびりに破って裏と表が逆になってみろ、本来裏側に来るべき無地が表に来て、柄のある面が裏に来る。そして、柄が浮き出るような気味の悪いトイレットペーパーが出来上がるのだ。


 じゃあ、そのあと直るまで巻き取ればいい?


 それじゃあ紙がもったいない。第一高いんだ。ダブルは。



「だからこそ、今俺は必死に切れ目をきれいにはがそうとしている。わかったかい?」


「ハヤトー。何ぶつくさ言ってるのー?まだ血でもでたー?」


「出てないから!てか、ご近所に聞こえるからやめて!」



 全く、トイレの中に聞こえる大きさで話したら、漏れて聞こえるっての。


 さて、集中。


 肝心の切れ目はもう見つかっている。後は慎重にはがすだけだ。これが難しいのだがな。いい加減お尻も寒いし早くしないとな。


 カリカリピリピリカリカリピリピリ……。


 半分ほどはがれてきた。ここまでくれば気を付ければ一息に行けるだろう。


 俺は指先に集中し、力を込めた。その時!


 ガリッという音とともに、鋭い痛みが下から上へと駆け上がり、その時筋肉の硬直から腕は縮み上がり、すなわち、手に持っていたトイレットペーパーは無残な形に引き裂かれた。誰の手でもない。俺の手によって。


 しかし、俺の足はなーこの爪によって引き裂かれていた。



「はぁ!!なーこっ!?てか、いってぇぇぇ!!!」



 なんで?なんでなーこがトイレにいるの?てか、何で飼い主に爪立ててんの!?なにこれ。



「なにこれーー!?」



 後からわかったことだが、トイレのドアの下の隙間から俺の足が見えたようで、貧乏ゆすりでもしていたのか、そこに入ろうとしたなーこが何かに引っ掛かりを求めて俺の足へと爪を立てたのだろう。


 そんなことより無残なことは、あれだけ慎重にやっていたトイレットペーパーは汚く裂けてしまい、結局きれいな形にするまで無駄に紙を消費したことになった。


 いや、決して無駄にはしていない。なーこにより出血した箇所を抑えるのに役立った。無駄にはしなかった。


 それでも、無駄なことだとひきずった。


 今日一日は引きずったままだろうかな。そんな風に落ち込みながら、トイレをやっと抜け出す。


 その夜、アカネの後にトイレに入ると、またしてもトイレットペーパーに目を奪われる。



「なぜこんなにびりびりに破れているのだ!」



 俺はきっと明日までこれを引きずることになるだろう。


 普段はやらない、トイレットペーパーの三角折をして、俺は用を済ませた。




次回更新は明日19:00

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