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2-11宿泊

宿泊



 シズクを家に連れてきた。


 道中あんなに飲んでいたはずだが、意識も足取りもしっかりしていた。終電逃す時間まで計算して動いてたんじゃないかと疑う。


 どっちにしろ、どうでもいい。


 このあほな後輩を説教するため、俺は。ハヤトは自宅に招き入れた。



「うわぁー。流石先輩。家きれいですね。でも処どころは生活感ありますね」


「まぁな。俺一人ではないし」



 シズクは俺の性格をよくわかっている。もともとそういう面に気が付きやすく考慮する性格なのだろう。


 会社でそうしているようにこの家でも、几帳面にふるまう。これでは説教はしづらい。……なるほど、こうやって、俺の説教を回避しているのかもしれないな。


 靴をそろえて上がったシズクをとりあえずはお茶を出して迎える。梅こぶ茶だ。お酒にはこれが効くのだよ。



「さて、シズク……」


「あ、その前に」


「なんだ」


「今日は無理を言ってすみませんでした。お仕事を手伝っていただいた上、食事をおごってもらい、あまつさえお宅にまで邪魔してしまい申し訳ありません」



 彼女は正座したまま、俺に向かって頭を下げる。


 驚いた。


 根は真面目だと思っていたが、こうされると、俺も面喰ってしまう。



「気にするな。俺の責任も半分くらいあるわけだし」


「……、ですよねー!よかった。じゃ、くつろがせてもらいますね」


「切り替え速すぎだろ!もうちょっと、なんかあってもいいんじゃないか!?」


「え……?だってもう謝ったしよくないですか?時間は少ないんだから有効活用しないと。ね?せーんぱい?」



 手のひらの上ってやつだわー。


 足も崩して、急須から湯呑にお代わりを注いでいる。あれ?いつの間に飲んだの!?


 こいつと居ると、調子が狂う。



「で、説教ってなにするんですか?あれですか!?体に直接教えてやるよーってやつですか!?警察呼びますよー」


「てめぇが警察呼ばれてろや!いちいち冗談言うたびに服はだけさせてんじゃねーよ。お子様ボディーが」


「何をおっしゃいますか先輩様よ。この悩殺ボディーがなんですと?」


「ふっ」


「うわー、傷つくわー」


「それでちっとはましになれ」


「うー。物足りないですねー。さっき寝過ごして締めを食べてないんですよ。何かないですか?」


「作れと……。まぁいいけど。お茶漬けな」


「うーいえー」



 すでにくつろぐシズクに応じてお茶漬けを準備する。ご飯は朝炊いたのが保温で残っていたので冷蔵庫から食材を探す。



「ほれ、持ってきたぞ」


「なんですか?期待値高いですよ?」


「そんな期待すんな普通だよ。サケフレークと、きざみ海苔と、あられ。さっきの梅こぶ茶をかけて出来上がりだ」


「あー。もう流石ですね。永谷園とか想像してました」


「?お茶漬けだろ。こんなもんじゃねーのか」



 いただきまーすと、もう食べ始めていた。俺の分も食べよう。



「それで、先輩。説教は?」


「あー、そうだな。まぁわかっているだろうしいいかと思ってきた」


「あれ?私信頼されてます?」


「まぁな。うざいけど、頭はいいからわかっているだろ。あ、色仕掛けだけはやめろ。見るに堪えん」


「女の子に言う言葉じゃないですよね」


「そうだな」


「奥さんに言ったりしてると良くないですよー」


「いうわけ……どうかな、言っているのかも」


「最悪ですねー」



 しばらく、お茶漬けをすする音のみ聞こえた。



「先輩。不躾ですが、そろそろもう」


「……、そうだな。始発まではまだ時間もあるし、寝てもいいぞ。お客様用の布団は家にはないから、適当になるが、それでもいいか?」


「はい。泊めさせてもらうわけですから文句は言葉にしません」


「あるにはあるんだな」


「そりゃありますよ」



 シズクには掛布団と枕代わりのクッションを渡した。床にはタオルケットを敷いた。俺はというと、もちろん自分の布団をだす。


 もうあまり優しくしない方がいい気がしていた。アカネの布団を貸すとか俺の布団を貸すとか考えたが、それはしたくなかった。


 アカネのことが頭にずっと引っかかる。シズクには悪いけど、もうこれ以上は優しくしない方が、俺のためであった。


 流れで電気を消して、この日を終わる。


概略

アカネさんの知らない女がアカネさんの知らないところでハヤトくんと寝てますよ。

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