2-2これこそが新生活
二人物語なのにまさかのニューキャラ。
これこそが新生活
「先輩と私はどこがゴールになるんでしょうかねぇ」
「は?何言ってんの。俺はお前とどこに行くつもりもないし」
「あれー?先輩この間私と飲みに行ってくれましたよねー。あれは違うんですかー?」
「お前が言ってんのはそういう意味じゃないでしょ」
「ばれてーら。にひひ。で、話を戻しますけど、どこがゴールだと思います?あるいはどこが着地点になると思いますか?」
俺は今営業に出ている。今月から配属された後輩を連れて仕事を教えるのが俺の今の仕事。指導係みたいなものになっている。
ちょうど、取引先を一通り回り終えて、職場に帰る道だ。その帰り道でこの後輩。俺は彼女をシズクと呼んでいた。……そう呼べってうるさくてな。
「だからさ、ゴールも何も俺たちは何も始まらないし、ただの同僚で俺の後輩なんだよ」
「いやいや、その通りですよ。もうスタートしているんです。私と先輩は同じ仕事の先輩と後輩って形でスタートしているんですよ。だからどこか必ずゴールがあるんですよ」
「そういうことか、ならそれも違う。やっぱりゴールはないんじゃないか」
シズクはかわいい顔をむすっと膨れさせて俺を睨む。はっきりってかわいい。いやもちろんアカネが世界で一番かわいいし美しいし。話がそれた。なんて言うか小悪魔的なかわいい人間という感じ。
俺の支店の営業部で一番年の近いのが俺だ。だから俺に担当させられているんだが、俺も既婚者。正直面倒だ。
「じゃあ、先輩。トンネルと洞穴の違いわかります」
「しらね」
「ちゃんと答えてくださいよ」
「じゃあ、あれだ。コンクリートと天然の違い」
「……ちゃんと考えてほしいですよ」
「わかった。先にゴールがあるかどうかだろう」
「さっすが先輩!その通りです」
そういって、シズクは再び目を輝かせて話し始める。
「洞穴にはゴールはなくてトンネルにはゴールがあります。トンネルには入口と出口がありますからね。この際どちらが入口かとかは置いておきましょう。洞穴の場合はゴールがありません。それどころかスタートがあるかも怪しいです。
スタートしたなら必ずゴールがあるって事じゃないですか?」
「うーん。かなり強引な感じだが、わからんわけでもない」
「だから、私たちの関係も先輩後輩というスタートからどこかにゴールするのでは?ということです」
なるほど。
「よしじゃあ、答えてやろう。ゴールも先輩後輩だ」
「むう。先輩夢がないですねぇ。男ですか?」
「男だよ。お前がおかしいんだ」
「ゴールを愛人にしてみたいとかないんですかぁ」
にやけんな気持ち悪い。
「ない」
「じゃあ私のゴールを言いますね」
「お、おい」
「私のゴールは部下と上司です」
「お、ん?」
ん?どっちが上司だ?
「もちろん私が上司で先輩が部下です」
シズクはにひひと笑いながら俺をしたから見上げてくる。こいつめちゃくちゃ野心家じゃないか。俺よりもずっと小さいくせにでかいことを言う。
なんだ。面白いやつだな。
「面白い。なら俺もゴールを一つ提示してやろう。やっぱり、部下と上司だ」
「じゃあ、勝負ですね」
「勝負だな」
俺はここで初めて思いっきりシズクを見つめる。対等に見てやれる気がしてきた。気が付かなかったが、すでに支店に戻ってこれていた。
「じゃあ、先輩。仕事教えてください」
「おいおい、俺の上司になるんだろう?そんなのでいいのか」
「いづれですよ。いづれ―。今は先輩に教えてもらいます」
俺とシズクは階段をのぼって自分たちのデスクを目指す。
これは俺の新生活の話。俺に可愛くて面白い後輩ができた話かもしれない。
これは予感だ。今年はシズクに振り回される予感がする。
相性はシズク
シズシズって読んでね♪
「…うわぁ、いい歳して……」
良いじゃん!
次回は明日19:00




