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2-1そして輝く

自己紹介




「こんにちは!お久しぶりです、アカネです」


「こんにちは!初めまして、ハヤトです」


「ん?」


「ああ〝?」


「なんで〝初めまして″なのよ、ハヤト」


「いやいや、お久しぶりは傲慢じゃないの?アカネ」


「馬鹿ね、前の話を見ているかどうかは問題じゃないの。前があるということは、たとえ見ていた期間に差はなくても〝お久しぶり″というのが筋じゃなくて?」


「くっ!いやしかし、ここは謙虚に初めましてのほうが好感度高くなるものじゃないのか」


「考えてみなさいハヤト。仮にこのページを先に開いたとする。前作があると知る。するとどうなる?当然前に戻るでしょう。そのあとまたここに来る。その時言う言葉は?」


「……お久しぶりです」


「フフッ……(ハヤトに言い合いで勝った!すっごい優越感)」


「……(アカネに言い負かされる時が来るなんて、屈辱だ)」


「じゃあハヤト。もう一度挨拶しましょうか」


「……くっ。お久しぶりです。ハヤトです。去年結婚式を終えて、バタバタといろいろとありましたが、落ち着いてまいりました。クリスマスとか、正月とかそれはそれで面白いことがいっぱいあったけど、またいつかのことにさせてください。


 ということで、俺たちの二年目の生活。新婚一年目の生活が始まります。どうかほのぼのと温かい目で見ていってください」


「はーい。よく言えましたねー。ハヤトくん。えらいですよぉー」


「くっ!屈辱だ」



 こんな二人が主役の短編です。温かい心で眺めてください。


 そして輝く



 四月になった。いわゆる新生活の始まりというやつだ。わかりやすく言うと、俺の仕事に後輩ができた。俺の所の支店にも新入社員が来たということだ。


 まぁ、だからといって、俺の生活が大きく変わることはないんだけどね。


 今まで通り、朝起きて、アカネと準備してご飯食べて、夜までにかえって、一緒に過ごして、ご飯食べて、寝る。休みの日は一緒に出掛けて、たまに二人の両親のところへ顔を出すような生活。もう慣れた生活。


 さて、社会はそんな新生活という空気だけど、すでに社会人の俺にはたいして変化はないのだよ。


 だから、この日。日曜日も俺とアカネは昼まで家でゆっくりしていた。


 変わらないなぁと思うよ。



「ハヤトぉ」


「何よ」



 俺はクッションに肘を置いて横になる。アカネは俺のと同じクッションを抱きしめてテーブル前に座っている。なんてことない部屋着のまま、だらだらと過ごすのは俺もアカネも慣れてしまっているからか。



「つまんない」


「そうか、昼から出かけようなぁ」


「いやいや、そういうことじゃなくて」


「ん?」


「いいとも終わったから」


「ああ、そうか」



 アカネは仕事はしていないから、昼は家にいることが多い。いつもはいいともを見ているんだっけか。あれか?ヒルナンデスのせいなのか?俺は結構好きなんだが。



   へーベール、ハウス-


 テレビのCMか。お、確かそういえば。


 俺はスマホを取り出して左手で操作する。右は相変わらず肘をついたままだ。


 アカネはクッションに顔を埋めてうーうー言っている。どうした?生理か?



「あった。見つけた。なるほどね、そうか」


「何?何があったの」


「いや別に」


「隠さなくていいじゃん」



   へーベール、ハウス-



 よしつぎだな。



「……」


「……」



ちょっと、静かになりすぎたかな。ここでいきなり言ったらどうなるんだろう。



   ちゃら~



 来た!ヘーベルハウスのCMだ!



「ウルトラソウッ!」


「‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」



   ハーイ。へーベール、ハウス-



 やばい。外したか?そりゃそうだよな。いきなりウルトラソウル!とかいうやつじゃないもん俺。



「い、いやな。これは俺が考えたんじゃなくてな……」


「あっ!なるほど、ウルトラソウルの歌詞とCMをかけたんだ」


「うん。まぁ、ね」



 やるんじゃなかったぁぁぁ!めっちゃ恥ずかしいじゃんこれ!うわぁぁぁぁぁあ。


 たぶん、俺の顔は真っ赤だろう。そしてどんどん体は縮こまっていくだろう。俺は黒歴史を作ったのか。



「……」


「……」



 き、気まずい。俺の作った空気はこんなに重たいのか。



「……、ゆーめーじゃない~。あれもこれも~」



 あ、アカネ?お前、俺のために。



「……、そのてーでドアを~。あけましょーおー」



 アカネの次に俺は歌った。応えるように。アカネの救いに応えるように。



「しゅーくーふくーがー、ほしいのなら~♪」



 アカネ、乗ってきたな。



「かなしーみをしりー、ひとーりーで、なーきましょー♪」



 俺もか。


 いいだろう、ここからは全力だ!



「「そしてー、かーがやーく、ウルト……」」



   ハーイ。



「タイミング、合わなかったな」


「うん。これ難しいね」



 やばい。にやけてくる。


 アカネのほうを見ると、もうクッションで隠しきれないくらい笑い声が漏れていた。



「くひっ。くひゅふふふ」


「おい、どんな笑い声だよ。気持ちわりぃよ」


「そんな、ハヤトだって、キモイにやけ面じゃん、ふひひひひ」


「そ、そうか?ふふふ、はははは!そうだな!はっはははは」





「ああ、疲れたよ。笑いつかれた。はぁー」


「俺もだよ。はらいてぇー」


 気が付けば、もう12時になっている。お昼は外で食べる予定だったからお腹が減ってもう行かなければならない。


 アカネはいろいろ準備を始めていてもうそろそろで出かけられそうだ。かという俺は着替えるだけだからな。すぐだ。


 今年の冬はちょっと長かった。全国で雪もたくさん降ったし、桜の開花は遅れたみたいだ。河川敷行けばまだ残っているのかな?わからん。帰りによってもいいかもしれない。


 よし、着替えも終わったし鞄も持った。アカネはまだかな。



「アカネー。もう行けるー?」


「おっけーおっけー。よっし!行こうか」



 俺はすでに玄関にいて、その前でアカネは靴に足を入れる。



「帰りにさ、河川敷よってみない?まだ桜が残ってるかもしれないしさ」


「お!いいね。今年はお花見できてなかったし行きたい!」



   ハーイ。



 なぜだろう。アカネのその後の言葉があのCMに聞こえてしまった。


 明日。仕事に行ったら、叱ってやろう。


 そう思い。俺の新生活は始まったのかな。



「あ、アカネ。俺そば喰いたい」


「だめ!今日はイタリアンって決めたでしょ」


「……。はい」


はい、ここから2章です。


ゆっくり更新していこうかと思います。


次回は明日19:00です。

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