夜空の下で
(なんで父上がこの世界にいたんだ?ずっと一緒に暮らしてたのに。)
「あのお父上は私が作り出した影です。お父上の配慮なんですよ。」
「そうですかぁ……」ほとんど放心状態の俺は部屋のベッドに寝転んだ。
「あのぉ、詳しく聞かせていただけませんか?貴女自身の事も。」
ヨミは頷き、場所を移した。
「まず、武器とはどういうことですか?」
「私はお話した通り彼のお父上の付き添いをしておりました。彼は魔法系の能力で、私をここに呼び出しました。私の素性は〈武器式神〉というものです。恐らくここの情報では噂程度で出回っていると思います。」
「改めて武器式神とはなんなんですか?」
「武器式神とは私の頭に記憶された形の武器に姿を変更出来る特別な式神の事です。
今は、カタナ、パルチザン、大剣、ツインライフル、ツインブレイド等に変身出来ます。出来るのは今彼だけなんですけどね・・・。」
「居たぞ、こんなとこに居やがったぞ。囲め!」
どうやら黄泉を捕らえに着た族のようだ。
「来なさい!蒼翼鎧!!」
美奈の周りに青い風が流れ、その背中から生える蒼い双翼が姿を現す。
「今なら助ける理由があるわ、だから!」
「ガキがでしゃばるな!」族の足元に青い風が漂う。彼女の手の動きに合わせて風が舞う。そして、襲いかかって来たと同時に手を上げると全身が凍った。
「氷の精霊、フラウ!そいつらを天に召しなさい!!」
その氷は粉々に砕けた。残った族共は恐れ逃げだした。
「パーツパージ、監視に戻れ。」蒼翼の鎧は姿を消した。
「お強いですね、見とれちゃいました。」
「そんなことないですよ。とりあえず戻りましょうか。」
二人が戻ると、宿が完全崩壊していた。そこには未だ戦闘をしているディスティニアの姿があった。
「あいつの息子をしてはつまらんな、こんなものとは。」
「勝手にがっかりすんなよ、まだ本気じゃないから安心しろ…」
「それは良かった。まだ2割程度しか出していないんでね。
(っ!マジかよ。)
〈ドウスル気ダ、コノマハマデハ体ガモタンゾ。〉
「任せろって。おいお前。」
「何かな?」
「後悔すんなよ。俺がガチになったら消し飛ぶからな!」
「来やがれぇ!火の精霊!エフリート!!そいつを業火で消し飛ばせぇ!!」
「ほう、エフリートとは。だか、まだしつけがなっていないらしいな。引かせて頂く。」
その直後彼は倒れた。美奈はすぐにフェニックスを召喚し、再生させた。
「あの人は恐らく私を捕らえようとした族の頂点だと思います。」
「お前のところにも来たのか、まだ弱いな俺は…」
今日の星空はいつもよりも遠く見えた。