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7 チュートリアル

 巫女さんから、当面の生活資金ということで金貨を10枚もらった。銀貨10枚で金貨1枚という換算レートで、銀貨1枚で、平均的な暮らしが出来るということらしい。金貨10枚ということは、100日分の生活費か。まぁ、とりあえずは大丈夫であろう。それにしても、紙幣じゃなくて金貨などの貴金属を未だに通貨として使っているなんて、どんな国だよって思う。金本位制である以前に、国の信用がないのであろう。もしかしたら、いつ魔王に国が滅ぼされてもおかしくないという状況なのだろうか……。紙幣は、国が無くなればただの紙切れだ。国が不安定であれば、紙幣なんてものは発達しない。金貨などの貴金属は、国が無くなっても貴金属であるからねぇ……。


「ねぇ、そういえば、パスポートとかこの世界で要らないの?」と私は聞いた。


「パスポートですか? そんなのこの世界にはないですよ。強いて言うなら、冒険者ギルドが発行しているギルドカードが身分証明書の代わりというようなものでしょう」と言う。


「ギルドカード?」と私は聞いた。


「レベル、モンスター討伐数、クエスト成功率、冒険者ランクなどが記録されているカードです。こちらの世界では、強さの証明が、身分証明となります」


「そうなのね。でも、私は危険な冒険なんてするつもりなんてないから、冒険者ギルドなんてものとは無縁ね」


「いえ、そうとも限りません。冒険者ギルドの最高難易度のクエストはもちろん、魔王討伐ですが、しかし、それ以外にも、荷物運びや山菜採取など、戦いとは無縁の依頼もたくさんあるのです。モニカさんも、生活費を稼ぐのであれば、冒険者ギルドにお世話になると思いますよ」


「冒険者ギルドって、そんな機能もあるのね。つまりハローワークのようなものね。分かったわ。でも、一番良いのは、私が働く必要の無いくらい金貨をくれることなのだけど。ねぇ、金貨もうないの?」と私は言う。

「ごめんなさい。召喚者1人につき、金貨10枚までと規則で決まっているんです」と巫女は申し訳なさそうに言う。

 高校生くらいの女の子から、金貨をせびるって私、何をやっているのだろうかか……。

「あ、そうなの。ならいいわよ」と私はこの話を打ち切った。


 ぴろろん〜。ぴろぴろろ〜ん


 どこからか機械音が響く。


「あ、巫女巫女ミュニケーションの掲示板に1000件以上の書き込みがあったあったみたいですね。ちょっと見てみます」と巫女さんが言う。



「ほとんどが、冷やかしの書き込みですね」と巫女さんが言った。


 ほとんどが冷やかしって、巫女巫女ミュニケーションって、いったい何なのかしら。この娘のような人達が集うサイトだったら、はっきりいって、当てにできないわね、と私は思う。


「あ、1件だけまともな書き込みがありました。あぁ、なるほど、なるほど。発想の逆転というやつですね」と巫女さんは一人で騒いでいる。大丈夫なのだろうか?


「では、モニカさんに低気圧でも頭痛がしなくなる魔法を取得させますね。目を閉じていてください」と言われる。


「ちょっと待って! どういうものなのか、説明してくれないかしら?」と私は言う。危ない、危ない。いま、巫女は両手を高く挙げていた。私が止めなかったら私に怪しげなことをしていたわ、きっと。


「モニカさんは心配しょうですね。我々巫女の叡智を集めたのですよ。もっと信用してくださいよ〜」と笑いながら巫女さんは言った。

 いや、さっきほとんどが冷やかしの書き込みだって自分で言ってたじゃん……。


「説明しよう!」と、どや顔で巫女さん。「たしかに低気圧の際に発生するモニカさんの頭痛を治す魔法はありませんでした。認めましょう! しかし、同じ効果のある魔法を我々は開発したのです! それは、モニカさんの周りの気圧を通常の気圧となるように調整すれば、頭痛がそもそも発生しないですよね? 治療より予防が大事です。そうですよね?」


「確かに理屈は通っているわね」と私も同意する。


「ですので、モニカさんは、気圧を操る魔法を取得してもらおうと思っています。名付けて、気圧魔法です!」

 ぱちぱちぱち〜、と巫女さんは自分で言って自分で拍手している……。イタい子ねぇ……。


 とりあえず、聞いた限り安全そうだったので、私は気圧魔法を取得したのだった。

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