表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/65

29 魔王討伐、そして……

 私が結界でサイクロプス達を包み込み、気圧魔法を使った後、サイクロプス達の様子が変わった。サイクロプス達が突然倒れ始めたのだ。

 サイクロプス達が突然倒れ始めたのには、冒険者達も私も驚いた。私が気圧魔法をサイクロプスに使った直後でサイクロプス達は倒れ始めたから、私が気圧魔法で彼等を撃退、というか殲滅したのではないかと、自分で勘違いをしてしまった程だ。

 地面に倒れ、動かなくなるサイクロプス達を私、そして冒険者は呆然と眺めた。そして、どの冒険者かは知らないが「もしかして、彼奴らは死んでいるんじゃ無いのか?」と発言をした。


 サイクロプス達の異常を感じ取ったのは冒険者達だけではない。城壁の上で弓矢を構えていた兵士達も同様に異常を感じ取った。いや、むしろ、高い所にいる分、全体像が見えて、より正確に状況を掴めていたかもしれない。

 兵士も出てきた。そして、城壁から外へ出る際に威張って点呼をしていた兜に紫の羽根を付けた指揮官らしき人も、北門から外に出てきた。

「おい、そこのお前とお前、様子を見て来い」と兜に紫の羽根をつけた人が冒険者を指さす。適当に指名しているようにしか私には見えなかった。

「え? 俺」と指名された2人は周りを見渡す。なんで自分が指名されたのか分からないといった感じだ。おそらく、紫の羽根の人の目に留まってしまった運が悪い2人なのだろう。


「早く行って、サイクロプスの様子を見てこい」と紫の羽根の人が叫ぶ。

 指名された2人は渋るような仕草をする。誰だって、嫌だろう。罠かもしれないと思うのが普通だ。


「俺が行こう。俺なら目も良いし、素早い」とトクソさんが前に進みでる。

「誰でもいいのだ。早く行け!」と紫の羽根の人が叫ぶ。やっぱり誰でもよかったんじゃない、と私は内心思う。

「なら、俺も行こう」と、マカイラスさんも名乗り出た。

「さっさと行け」と、紫の羽根の人は、犬でも追い払うかのように手を動かす。


 ・


 サイクロプス達の様子を見に行き、マカイラスさんとトクソさんは帰ってきた。サイクロプス達と私達は目と鼻の先だから、私達は終始、2人の動きを固唾をのんで見守っていた。


「奴ら、皆、絶命しているようだ。しかし……」と戻って来たマカイラスさんが深刻そうに口を開き、トクソさんが首を縦にふってそれに同意する仕草をした。

「しかし、なんなのだ。もったいぶるな」と紫の羽根の人の怒号が飛ぶ。紫の羽根の人の言い方は悪いが、言っていることは私も理解できた。サイクロプス達が死に、街が襲われないのであるなら、それは喜ばしいことであるかのように思う。何故、2人は深刻そうな顔をするのか、という疑問は当然のごとく生まれるし、その理由を答えて欲しい。


「疫病かもしれん」とマカイラスが言った。

 その発言をした瞬間、マカイラスさんとトクソさんの周りからさっと人が引いていく。マカイラスさんとトクソさんから皆離れる。


「疫病でサイクロプスが?」などと冒険者達も口々に言っている。


 私には、状況がまったく理解できない。何がなんなのかさっぱりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ