10話 母の写真を見た―どちらの少女を想像しましたか?―
それは可愛らしく、笑顔の愛くるしい少女だった。
カメラに向かって手を広げ満面の笑みを浮かべている。
私は、その写真を見て、こんな時代もあったのかと、ちょっと笑った。
他にも小さな手で風船を握りしめ、俯いたままの表情の女の子。
後ろには、昔の木造建ての旧家が映っていた。
私はこの写真を見て――
「こんな顔をしていたのか……」
と呟いた。
少しだけ見える横顔は、ぎこちない笑顔で綺麗な着物で着飾っていた。
髪は綺麗に結われているのに、何か気に入らない様子に見て取れる。
「似合っているわよ」と、声を掛けられているようにも感じた。
次の写真は、真っ赤な靴を履いて、誇らしげに立っている。
ひらひらと長いピンク色のリボンが、風にそよいでいた。
その姿を見て、貧しかった時代でも元気だったのだと、少し安心した。
女の子の笑った三日月のような目が、優しく愛嬌があって好き。
ふと見た鏡に映った私の笑顔も、写真と同じだと気がついた。
それが少し嬉しくもあり、恥ずかしくもあった。
終わり。
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さて、この短編を読んだあなたは、どっちの女の子を想像しましたか?
物語に登場する女の子は――
母の子供時代でしょうか?
語り手自身の子供時代でしょうか?
それとも……




