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家族と婚約者の愛を諦めたらシルバームーンに幸せが届けられました  作者: ミカン♬


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13 モナと公爵の告白

 一か月が過ぎてレティーナは順調に回復していたがまだ時々悪夢にうなされた。すると隣の部屋からモナが来て手を握ってくれる。そうすると安心して眠れるのだ。姉のようなモナはレティーナの絶対的味方で最も信頼できる人だった。


 過保護な公爵はレティーナの外出を許さず、ルナフィスに会いには行けなかった。毎夜、月を見ては優しかった彼を思い出した。いつか会いたいと思い、手紙をジェルドに渡せば彼から短い返事が返ってきた。


 <約束した一緒に魔法の訓練をする約束は陛下からの許可は出なかった。残念だ>


 本当に残念だとレティーナは肩を落とした。だがルナフィスとの交流が切れるのを恐れて月に一度は彼に手紙を書き続けた。



 一方世間ではレティーナの噂が流れていた。

「王子妃教育が辛くてグナード公爵家に逃げ出した。その責任を取って王太子妃は謹慎を申し出た」

「癇癪を起こして魔力暴走を起こし王家の薔薇を全滅させた」

「王太子妃に反抗的で嫌われている」

「ラミネル王子の婚約者には相応しくないのでは?」などなど。


 またグナード公爵については「幼女趣味の変態」と陰口が囁かれている。どれも貴婦人達のお茶会でイザベルと王太子妃の側近が流したものだった。



 レティーナの耳には入らないが公爵の耳にはしっかり届いていた。


「女狐どもめ! 全く不愉快だ」

「父上が王宮で嬉しそうにレティーナを抱っこして歩いたからですよ」

「俺は何と言われてもいい。レティーナを貶める輩は切り捨ててやる!」


 レティーナを迎えてから養父の様子は明らかに異常だとジェルドは思う。時間を見つけてはレティーナに会いに行く。しつこいほどモナに彼女の様子を確かめている。


(まさか本当に幼女趣味?)


 昨日、ジェルドがレティーナとダンスの練習をしていても心配そうに見に来ていた。


『おいジェルド、まだダンスは無理なんじゃないのか?』

『短時間なら大丈夫だと医療師が言ってました。体力もつけなければ元気になりません』

『体力か……なら、庭園の散歩でも誘ってみようか。温室で休憩してお茶とお菓子の用意だ!』


 尊敬するソードマスターの養父が恋する少年のようで、ジェルドは可笑しくて口角が上がるのだった。



 ***



「お嬢様、ハンカチに何を刺繍しているのですか? 月ですか?」

「うん、出来上がったらルナフィス殿下にお礼の意味で差し上げたいの」

「シルバームーンですね」


 公爵に報告すればきっと嫉妬するだろう。20歳差の夫婦はいる。いっそ婚約を解消して公爵と婚姻を結べばレティーナは幸福になりそうだとモナは思った。


 そう考えていると、まさに20歳差の結婚話がモナに起こった。相手は43歳の男爵で再婚、モナの小指が欠けているのも気にしないとのこと。


「悪い話では無さそうだが、紹介者がテイラー侯爵夫人では信用できないな」


 執務室で公爵に相談するとモナと同意見だった。


(きっとお嬢様から自分を遠ざけて孤立させたいのだわ。今は公爵様や公子様がいるけどテイラー侯爵家に戻ればお嬢様は誰が守ってくれるのか)


「モナはどうしたい?」

「お断りしたいです。でも親が乗り気で相手には承諾の返事をしたようです」


「あの女、厄介な事をしてくれる」

「どうかお嬢様の支えになれる人を探して傍に置いてあげて下さい。私はお嬢様に話してきます」

「待て! 先に私が話してくる。いい考えがある」


 公爵はレティーナの元に行くと話を切り出した。


「レティーナ、私の娘にならないか? 君を養女にしようと思うんだ」


「公爵様、お父様が反対します。王家とテイラー家との婚姻が<神託>ですから」

「シオンが好きか?」

「好きですよ。お父様だもの」

「そうか、分かった」


「あの、公爵様もお父様と同じくらい大好きです」

「そうか、私も君が娘だったら嬉しいと思ったんだ」


 ガッカリして公爵は執務室に戻り、モナに「失敗した」と告げた。


「では私はこれで失礼致します」


「ちょっと待ってくれ。モナ私と婚約しないか?」

「は?」


「契約婚だ。私には生涯愛する人がいるから結婚はしない。君とは夫婦にはなれないが同志にはなれる」

「待ってください。無理です、第一私は男爵家の娘なんですよ?」


「関係ない。レティーナを守る同志になってくれないか。あの子には君が必要なんだ」

「どうしてそこまでお嬢様を?」


 公爵は少しだけ躊躇したがモナを信用することにした。


「あの子は私の子だ。私とレミアの子なんだ。君を信用して打ち明けるが、シオンは私の子を奪ったんだ」

「ほぇえ?」

 ヘンな声が出てモナは慌てて口を押えた。


「レミアが身籠っていたのをシオンは隠していた。レミアが亡くなって私はあの子が自分の子だと知った。シオンの奴、レティーナを自分の子として出生届を出したんだ」


「レミア様ってどなたですか? その話、もっと詳しく聞かせて下さい」


 モナに椅子を勧めて、グナード公爵はレミアと自分との複雑で不運な過去を説明した。




読んで頂いて有難うございました。

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