幻の館~たった5日の物語~第7話「霧雨村」
この話は第7話です。まだ前の話を読んでいない方は先にお読みください。
前の話の終わりとこの話の始めは続けて読むことをおすすめします。
もしかしたら関西弁が入っているかもしれません。ご指摘いただけると幸いです。
by霧崎刀
3週目 2日目
俺は南千夜。今ちょうど起きたところだ。横では夢都がぐっすり眠ってる。
もう6時だったので、夢都を起こすことにした。
千夜「おい夢都。朝だぞ?」
夢都「もう朝か。さあ今日も探索するか。」
千夜「あと行ってないところは1階中央ホールカウンターの鍵で開く奥の扉、2階作業員室2だな。どっちから行く?でもカウンターは藤井さんがいるといけないだろ?」
夢都「ならせっかくだし別行動しようぜ!おまえはカウンターを調べる。その間俺はチケットを使ってぶどうを食べる。どうだ?さすがに藤井さんがついてくるだろ。」
千夜「あとでぶどう食べさせろよな。」
夢都「大丈夫!ちゃんと買ってくるから。」
千夜「頼んだぞ?」そうして俺らは別行動をすることにした。
まず千夜がチケットをつかい、ぶどう畑に案内してもらう。その間に俺はカウンターをを調べる。そういう作戦だ。そして様子を廊下から伺っていると無事夢都は連れて行ってもらえてようだ。玄関から2人が外に出るのを確認し、俺はカウンターの奥の扉を開けると、そこには小さい部屋があり、そこには小さい神棚があった。真ん中には銅像があり、その像はまるで小さい地蔵のような姿をしていた。そして横に本があった。内容は村と遺言についての昔話だった。
本のタイトル「白い仮面」
内容
ここには昔村があった。名を霧雨村と言った。ここには立派なお屋敷があった。そこには代々この村長を受け継いでいる霧雨家の血筋の者がおった。もう霧雨家は3代目当主となった。ただ、3代目当主は村のために存続しようとしたが、男は生まれなかった。代々霧雨家当主は男がなるものだった。だが、何回やっても男の子どころか子供すら生まれなくなってしまった。なので初めての女の人の当主が誕生し、村は大賑わいだった。だが、25年後、娘および4代目当主は屋敷を新しく建てた。その新しいお屋敷になってから3年目の春、何者かによって殺害された。3代目当主はひどく衰弱し、寝込んでしまった。だが、4代目当主は子供を産んでいた。5代目当主は3代目当主のもとで生活し、何とかしていたが、ある日館で2人の執事が刀で切り殺された。そして3人ともに共通点があった。それは夜に出歩いていたこと。これを機に、夜の出歩きを禁止すると被害は一切出なかった。ただ、3人のうち執事の2人が「白い仮面をつけた鬼に遭遇した」と言い残したそう。ただ誰もそれを信用せず、無視した。私はそこでこの村の伝承について思い出した。この村には鬼神様からご利益をもらうために1年に1回鬼神様にものを捧げる儀式があった。その鬼神様は人を幻に落とす能力を持っていたといわれていたが、鬼神様が祭られていた場所に3代目当主が幼いころにその儀式はやらなくなってしまった。その後祠も破壊し、ご利益なしで生活できるようになった。その鬼神様の祠の場所などもう覚えていない。ただ、儀式ははっきりと覚えている。銅像に向かい両方に、ご利益を得る時は「王者の風格」の意味を持つ牡丹の花、家族がなくなったりしたときは
悲しみから目覚めるという意味で「目覚め」の意味を持つユリワサビの花を添えてたはず…そして真ん中に砂糖水を置く。これで儀式が完了し、あとは水やりはして、砂糖水が蒸発したらお花と砂糖水が入っていたものは片づける。それだけだ。
話の内容は当主と村のこと、そして儀式について書かれていた。
千夜「なんだ?これ。儀式?よくわからないな。」そうして少し早かったがカウンター奥を出た。