マジでか
【人物紹介】
直人 なおと。19歳。大学1年。根が真面目。初デートは焼肉でテンパる。
聡志 さとし。52歳。係長。美人局の経験あり。ガラケー打ち。頬にキスで満足。ハラスメントを恐れる。老いを感じる。
ソラ そら。33歳。アプリで知り合う。甘えたい。カールな髪。
義人 よしと。24歳。社会人2年目。現在休職中。精神疾患。
部下 ぶか。28歳。聡志の部下。アプリを紹介した。ツッコミ役。
海鮮を得意とした居酒屋である。鮮魚から焼き魚など魚であればなんでもイケる。
らっしゃいやっせー
店員「おふたりですか?お好きな席へどうぞ」
ソラ「とりあえず生2つ。それと刺身の盛り合わせ3人前で」
店内の明るさで顔の陰影が無くなる。帽子を取り、ようやくソラの顔が見えた。
聡志「。。。まじか」
ソラ「聡志さん。乾杯しましょ」
聡志「空お前な。なんでお前がここにいるんだよ」
笑顔の空。
空「さーとーしーさーん。乾杯。しましょ」
甘えた猫なで声。
首をかたむけ話しかける。
聡志「完敗だ」
カンパーイ
空「うーん。おいし。ね?暑い日にピッタリだね。聡志さん」
聡志「うるせえな。少し黙ってくれ。なんなんだ。なんで気づかないんだよ俺は」
空「ビールぬるくなっちゃうよ。ほら。聡志さん。そんな怖い顔しないでよー」
聡志「ああ。もう。なんなんだ。空。お前いつから分かってた」
突出しの枝豆を手に取り、聡志の目を見ながらプリッと実を取り出し、唇を尖らせながらチュルんと口に入れ指で出したり入れたり。
空「んー?ふふ。最初からだよ。ほら。プロフィールと顔写真で。お兄ちゃんだと思って声掛けたんだ。いつ気づくかなと思ったけどまさか、店に入るまで分からないなんて思わなかった。おっちょこちょいなんだから」
聡志「いや思わないだろ普通。義弟がこういうのやってると思わないし。大体お前本気のコレなのか?」
指で合図。
空「そうだよ。ゲイだよ。兄ちゃん知らなかったの?」
あざとさを前面に押し出し、首をくねくねとさせながら話す。左手を添えて。
聡志「父さんが再婚したときからやたらと俺にベッタリだっただろ。義弟にしては珍しいとは思ってたけどさ。だからって、こういう出会いは最悪だな。ああああ!ビールがまずい」
振り向く店員。
店員「入れ直しますか?」
結構と右手でストップの仕草。
空「ひどぅーい。もう!聡志さんったら」
聡志「その呼び方やめろ。空。いつも通りに兄さんって呼べ」
空「聡志さんがいい。なんか恋人みたいで」
聡志「兄さんと呼べないなら俺はこれで帰る。支払いは俺がするから追ってくるな」
荷物をもってそのまま支払いし退店。
空「あーあ。帰っちゃった。仕方ないからぜーんぶ食べちゃお」
もぐもぐ
空「失敗しちゃった。次はどうしようかな。作戦練り直そ」
直人「あれは。聡志さん?なんか不機嫌そう」
またみてね