パパ活男子
【人物紹介】
直人 なおと。19歳。大学1年。根が真面目。
聡志 さとし。52歳。係長。美人局の経験あり。ガラケー打ち。
義人 よしと。24歳。社会人2年目。現在休職中。
部下 ぶか。28歳。聡志の部下。アプリを紹介した。
ぴろん
着いたとメッセージ。まわりを見回す。しかし、それらしき人はいない。自分とさっきのおじさん。他に人はいない。近くにいるのだろうか。返信。
直人「今どの辺ですか?ぼくは、先に着いててベンチに座ってます」
児童公園は大体どこでも同じくらいの大きさ。藤棚の下のベンチに座って待つ。見渡してもそれらしいおじさんはいない。
直人「もしかして、トイレにいますか?」
トイレに向かって歩く。トイレからは水の音が聞こえる。手洗いの蛇口から勢いよく出てる音だ。
ぴろん
聡志「参ったな。蛇口から水出すぎだよ。股間のとこまで水が撥ねちゃったよ」
直人「あの。もしかして、聡志さんですか?」
名前を呼ばれ振り向くと。さっきの男の子。なぜ、彼に名前を呼ばれたのかはすぐに分かった。
聡志「ひょっとしてなおと君?」
直人は念のために、ひらがなで登録していた。
直人「あははは」
笑われたと思った聡志は
聡志「なんだ。そんなにおかしいか。これをダシになにかする気か」
咄嗟に身構え、キツい言葉で吐き捨てた。年甲斐もなく。
なおと「ごめんなさい。そういう訳じゃないんです。えっと。なんというか。その。すぐそこに居ててさっき話してたことに思わず笑ってしまっただけなんです。ごめんなさい。傷つきましたか?傷つきますよね。ごめんなさい。さっき顔を見合わせてたのに、気が付かないなんて。もう恥ずかしくて死にそうです!」
亀のように頭を甲羅にしまいそうなほど恐縮する。
聡志「悪かった。ちょっと疑心暗鬼だったんだ。すまない。その。なんというか。そうだ。そこのベンチで座って話さないか?」
なおと「あっハイ」
両者とも恥ずかしい部分をいきなり晒してしまった。出会いとしては最悪。というか。
なおと「それで、聡志さんでいいんですよね。さっきの詐欺がどうとかは大丈夫なんですか?」
聡志「あ。ああ。それな。それは、詐欺では今のところ無いようなんだ」
なおと「そうですか。よくわからないけどとりあえず良かったですね。詐欺でないなら」
聡志「そうだね。そう。なおと君に聞いた答えはまだ聞いてないんだけど」
なおと「それは、お金のことですか?」
聡志「それ。若いから色々買いたいだろうし旅行とか行きたいよね。せっかくの大人として初めての夏だからね。彼女と旅行かな」
なおと「あの。えっと。そういうのではないんです。ちょっと重いかもしれませんが」
聡志「うん。良ければ聞くよ。無理に話さなくてもいいけどね。今度は私の番だね」
さっき話を聞いてもらったことで「私の番」
なおと「うふふ。実は、兄と一緒に暮らしてるのですが、訳あって家賃が支払えないことが続いていて、大家さんから催促されても払えなくて困ってまして。それで、当分の家賃を支払うためになにか出来ないかなと思って」
聡志「。。。うん。分かった。それでいくら支払えてないの?」
なおと「ちょっと待ってください。兄のこと聞かないんですか?」
聡志「訳あってなんだろ?何かしらで支払えないからやりたくもないパパ活をしてるんじゃないのか?」
なおと「やりたくな。。ってことは。。」
聡志「素直に言っていいよ。50オーバーのおじさんなら金に余裕があるだろうし、性欲が落ちてる頃だろうと思って、パパ活をしようと思ったんじゃないかな。そこから考えたら、やりたくもないパパ活をしようとしてると考えられるよ。ね?」
なおと「す。すみません。全部その通りです。こんなすぐにバレちゃうなんて。やっぱり向いてないんだ。ぼくには向いてないんだ」
下を向き涙をこぼす。
そっとハンカチを手渡し涙をぬぐう。
聡志「よし。わかった。それじゃあ夕飯食べに行こうか。何食べたい?私は昼間さっぱりしたのを食べたから夜はコッテリでもいいかな。店一のこってりラーメンにでもする?いや、肉食う?焼肉?それともステーキ?でも野菜は食べないとダメだぞ」
なおと「。。いいんですか?ぼくなんかで」
聡志「なんで?ダメだと思うの? 私なんかで、なおと君を満足できる支援はできないかもしれないけれど。その辺は食べながらでも応相談と行こうよ」
なおと「じゃあ。焼肉がいいです」
聡志「ヨシ!決まった。焼肉屋に行こう!!」
聡志の股間の水撥ねは乾き消えていた。
またみてね