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恐れていた事

作者: しろかえで

今日、2作目は悲しい物語……






朝はあんなに晴れていたのに


オフィスを出る頃には雨になっていた。


遠い昔、女子高時代の事が……

デジャヴの亡霊によって押し上げられる。


。。。。。。


その日、私は夏風邪を召された先輩のお見舞いに行く為に

午後の授業を抜け出し

花束を買い求めた。

ところが花屋を出た途端、不意の夕立に見舞われた。


せっかく誂えた花束を濡らしたくなくて

私は花束を抱きしめて駆け出した。

ようやく辿り着いた先輩の家の、庭に面する掃き出し窓に映ったシルエットは

抱き合う男女で……

レースのカーテンの合わせを割って突き出され、露わになった白い手首には

“成就”を願って私が編んだミサンガがあった。


やがて長い髪が

身悶えにのけぞって……


釘付けの私は花束と共に萎れ

制服のブラウスには

カサブランカが流したオレンジの血がベッタリ付いた。


私の心とファーストキスを奪った先輩とはそれきり。


。。。。。。



努めて男の子に恋しようとしたけれど

私はサークルでもバイト先でも、ただせわしなく動く消しゴムと化し

カラダも心も傷付くだけだった。


働き始めて

普通の恋は諦めた。

密かに胸にしまい込むのは同性への片想いばかり


それでも

少なくとも

カラダを傷つける事はないのだから


良しとしてた。



そんな事を繰り返した挙句に

あなたと出会えた。


私の恋心を

受け入れてくれたあなたは……


あんなにも清楚なのに

私の腕の中で花開く時は

カサブランカの様な

華やかさと芳しさで私を虜にする


あなたは……

何者にも代えがたいmistress


だから、あなたが臥せっていると知って


まんじりともしない夜を過ごし、

オフィスでも居ても立ってもいられなくて


終業と同時に飛び出した。


リストアップしていた物を買い整え

あなたのマンションの扉の前に辿り着くと


通気口から

私がプレゼントしたボディソープの香りに混じってタバコのニオイが……


足元に目を落とすと

濡れた男の大きな靴跡が


『KEEP OUT!!』


と判押しされていた。


冬なのに

私の目には夕立が降る。


その雨粒が

男の足跡にピリオドを打つ



もうおしまい!


THE END



私はオンナ


オトコではない!


こうなっては

身を引くしかない。


ドアノブに

雨除けのビニールが掛かったデパートの紙袋を引っ掛けて

私はその場を立ち去り

エレベーターのボタンを押した。


ああ、このまま

奈落の底へ落ちて行ければ

どんなにか楽だろう!!


しかしそんな奇跡は

起こるべくも無く


顔を隠した傘に落ちる雨音に任せて


私は

ただただ涙にくれた。





                          おしまい


私も雨模様です……(/_;)




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