4-21
中学校時代の話です。
主人公は昔はこんな感じです。
実は大和武蔵という男には、兄がいる。
歳が離れた兄だ。
常に武蔵より、高い空を飛んでいた男であった。
「――――――っ」
武蔵は眩い空を見上げる。
人工の空、地場と大気に濾過された天然核融合の光ではなく、電力から変換された作り物の自然光。
この空は、武蔵が追い続けた男の空とは繋がっていない。
所詮は天井付きの、作り物の空だ。
もっとも、その天蓋に未だ辿り着けていない彼には、詮無いことであったが。
「ちょっと、何してるのよ」
声に振り返ると、長い黒髪の少女が訝しげに武蔵を見ていた。
「何をと言われても困る。ぼうっとしていただけだ」
「ふうん」
少女が隣に立って、武蔵と同じように空を見た。
武蔵は無言で踵を返した。
「えーっ、それ失礼じゃない?」
「勝手に隣に来るのも大概失礼だ」
「いいじゃない。別に貴方の場所でもないでしょ」
「そうだな。だから俺はもういい、帰る」
立ち去ろうとする武蔵の手を、少女が掴んで止めた。
「なんだ」
「なに貴方、つまんない顔して。変な奴」
「暴言を言い残す為に引き止めたのか。変な奴」
「うわ失礼っ」
自分のことを棚に上げる少女の手を振り払い、武蔵はその場を今度こそ立ち去った。
「俺達は割と真剣に練習してる空部でぇー、だから練習は厳しいから覚悟しておけよー!」
部長の言葉を、武蔵は黙って聞いていた。
幼い頃から操縦桿を握っていていた武蔵だが、別に中学校をわざわざ空部の強さで選んではいない。
とはいえエアレースはチーム競技だ。他のメンツがそれなりに『使える』のは、率直に言って有り難かった。
「一年はまず基本から復習してもらう! 経験者も初心者もまとめて練習してもらうから、ライセンス持ってる奴も復習としてちゃんと真剣にやれよ!」
「「「はい!」」」
1年生が唱和で返事をした。
それに合わせるくらいの処世術は、武蔵も持ち合わせていた。
本格的に部活動が始まり、共通のトレーニングが始まる。
武蔵にとっては随分と懐かしい訓練であった。
単純なランニングによる体力作りに始まり、航法教育、巨大なシーソーを使っての平衡感覚を保つ訓練。
「ちょっと貴方、さっきから乗ってないじゃない」
他の1年生が訓練している傍らで、シーソーを動かす側に回っていた武蔵は同じ1年生に注意された。
「苦手だからって、避けてたらいつまでも飛行機に乗せてもらえないわよ」
「バカを言うな。俺はもうライセンスを持っている。この程度の訓練であれば、むしろ初心者に多く経験させるべきだ」
「この程度って、基本を馬鹿にしちゃ駄目でしょ」
「基本を否定するつもりはないが、これは基本以前に基礎だ。さすがに今更過ぎる」
武蔵は知っていた。
このシーソーで体感する加速度はせいぜい1,3G程度。一般人は耐性がないと目を回すこともあるが、パイロットならば眠って目も醒まさない程度のゆりかごでしかない。
こんなお遊戯レベルの訓練をするくらいなら、動かす側の仕事をして筋トレを兼ねた方がまだ有意義だった。
「ふーん……貴方、選手、レギュラー狙ってるの?」
「狙ってはいない」
「そうなんだ。実力があるみたいな雰囲気出してるのに意外ね」
「狙わずとも、俺の実力なら自然とレギュラー入りすることになる。狙う必要はない」
黒髪の少女は、残念な人を見る目で武蔵を見た。
「痛い奴」
「妥当な自己評価だ」
答える武蔵の声色は、どこか憮然としていた。
中学枠の強豪校と聞いていた武蔵の入学先だが、その練度はお粗末なものだった。
「すっげーっ!」
「かっけーっ!」
「ウケケケケッ!」
「今なんかいた」
部内の模擬空戦を見上げる1年生達。
容易く巴戦に応じる先輩達に、武蔵は苛立ちを覚える。
まるで遊戯だ。このようなつまらない戦いでは、弱小校には勝てても本物には勝てない。
それでは困る。空戦はチーム戦だ。数の優位は練度の不利を容易く覆す。
武蔵一人が奮戦したところで、本格的な連携を習得したチームには勝てない。
「せめてロッテならやりようもあるんだが」
それでも苦しいが、せめてもう一人くらいは実力者がほしかった。
このままでは中学3年間、大した試合も出来ない。
あるいは一年生に経験者がいないかと視線を巡らせるも、武蔵のように彼らの飛び方に疑問を抱いている者はいない様子だった。
「さて、どうしようか」
武蔵は腕組み考える。
多くのスポーツがそうであるように、エアレースの本番は高校だ。
プロとしての引き抜きがあるのも、実績の評価が大きいのも高校生の大会からとなる。
中学大会でも勿論、優秀な成績を残せば後からもその名声は役立つ。
かといって、高校1年生から頭角を表す選手だって珍しくはない。
高校こそを真剣に選び、中学は一人で鍛錬を積む。
そう考えるも、武蔵は首を横に振った。
一人での練習は限界がある。それならば、いっそ―――
「社会人チームに潜り込むか?」
学校外の活動となるが、連携の練習にはなる。
中学生で社会人チームへの加入は異例であろうが、そこはあえて気にしない。
むしろモータースポーツの常として、収入の安定した社会人の方が本格的に取り組む選手も多い。
そう考えると、割と現実的な手に思えた。
が、そんな思考を中断させる声がかかった。
「え、ちょっと貴方、もう辞めるの?」
以前の黒髪の少女だった。
「いや辞めないけど」
「でも、他のチームに入るって言ってなかった?」
「兼業だ。こちらへの参加は不定期になるが、機体整備などを考えればここにいるメリットもある」
飛行機の整備には設備が必要だ。
未だ学生である武蔵には、やはり中学校レベルとはいえ設備を使わせてもらえればありがたい。
「……それ、ずっこくない?」
少女の目が責めるような色を帯びる。
武蔵はそれを鼻で笑った。
「ずるいということは、逆説的にルール内だということだ。責められる謂れはない」
「ほら、スポーツマンシップとかあるでしょ?」
「手を抜くことがスポーツマンシップだとは思いたくないな」
武蔵はその日、部活動を適当な理由を付けて早退した。
口では簡単に言ったものの、複数のチームに同時加入など容易なことではない。
結論を急ぐべきではないと考えた武蔵は、学校の中庭でベンチ一つを占領して寝そべっていた。
単機、あるいは少人数で戦う場合、どうすれば勝てるか。
簡単だ。強くあればいい。
レシプロ戦闘機10機と超音速ジェット戦闘機1機が戦えばどちらが勝つか。
当然後者だ。数の有利があるとはいえ、絶対的な性能差を覆せるものではない。
それをプロペラ機でやればいい。
1機でルール上の上限である5機に勝つにはどうすればいいか。
「何か長所が必要だ」
デカスロンでは、5人のアスリートを出し抜けない。
ただ単純な戦闘機らしい発展では、数の暴力に押し負ける。
ある種反則的な、何かが必要だった。
放課後、武蔵はとある店に来ていた。
凄腕の店主が趣味で経営するような、道楽的な航空機専門工場。
その混沌としたラインナップはまさにスミソニアン博物館に等しい。
腕はいいが、気まぐれでやる気のない店主がいると噂の店。
絵に描いたような、個人経営の小さな工場兼中古機販売業者だった。
「あ、あの……なにか、お探しですか……?」
おずおずと現れた少女に、武蔵はリアクションを取りそこなった。
明らかに小学生に見える、幼げな容姿の店員だったのだ。
「……何歳だ?」
ひょっとしてこれは所謂合法、子供に見えるだけで成人なのだろうかと武蔵は思わず訊ねる。
「え、えっと、12歳です、けど……?」
武蔵と同い年だった。
それでも小さく見えるが、決してありえない見た目ではなかった。
「いや、不躾にすまない。失礼な発言だった」
あまりに非常識な第一声だったと、素直に頭を下げる武蔵。
小学生か中学生か判らないが、子供なら子供で店員をすることもあるだろうと考え直す。
「おか、お構いなく……!」
赤面して、商品に隠れてしまう子供店員。
これは嫌われてしまったかと、武蔵は嘆息して店の中を再度探索することにした。
「あの、何か探しているなら、教えていただければ……」
「ん……そうか」
子供店員には、まだ職務を遂行する意思があったらしい。
武蔵はそれを無下にするのもなんだと思い、訊ねることにした。
「航空機を探している。レジェンドクラスを単独で戦い抜けるような機体……なんて聞き方をされても困るな」
我ながら馬鹿みたいな注文だと武蔵は苦笑した。
「ええっと……雷電があります。これになんとか8000馬力級のターボシャフトエンジンを積んで、遷音速対応のペラを付ければ一撃離脱を繰り返すくらいは出来るかもしれません……」
「…………。」
「あ、の……? す、すいません素人が適当なことを言って……!」
「いや、思ったより具体的な解答がもらえて驚いた。雷電、見せてもらえるか?」
「は、はい……!」
案内され、武蔵は倉庫の奥へと進む。
雷電は見た目だけならば、それなりに綺麗なままに残っていた。
日本軍機らしからぬ太い胴体、小さな主翼、胴体に描かれたヒロイックな稲妻マーク。
現役時代は『殺人機』と謗られ、戦後においては『傑作機』と讃えられた数奇な機体だ。
「部品取りにされたようで、残ってるのはガワだけです……ただ、純正パーツにこだわらないのなら機体体積も大きいので、組み上げるのも難しくないと思います……」
「機首を大胆に改造すれば、かなり大きなエンジンも積めるかな」
「雷電の機首は冷却タービンですから、カウルを作り直せば収まることは収まります……ただ、重心がかなり狂います……」
「解決策は?」
「バラストを積んでは、せっかくの高速機を殺してしまうので……燃料タンクのレイアウトを見直して、バッテリーも後部に積んで……あとは、残存燃料によってエレベータに補正が入るように調節すれば、一応の形にはなると思います……」
「うーむ」
かなり強引な解決策だが、雷電に最大級の大出力エンジンを載せるのだ。それくらいの力技が必要だとは、武蔵にも判っていた。
バラスト、重りを積んでも問題そのものは解決出来る。
というより、実は多くの飛行機は重りを積んでいる。
軽ければ軽いほど良いのが飛行機だが、それでバランスを崩しては意味がない。
よって設計者はバランスを維持したまま軽量化を突き詰めるのだが、実際作ってみるとやはりどこかバランスは崩れてしまっているのだ。
最終調節として、少量の重りを載せるのは普通のことなのである。
だからといってここを妥協してバラストだけで解決しようとすると、ツケは一気に性能低下に直結する。
ドイツ軍の急造戦闘機He162フォルクスイェーガー(ザラマンダー)などがいい例だ。時間がないからと設計を妥協してバラストに頼れば、結局使い物にならないスペックだけの機体になってしまう。
「この場合だと、重量が分散されるので……運動性能は、それなりに落ちると思います……ただ、本当に一撃離脱に徹するのであれば、さして問題とはならないかと……?」
「まあな」
「いっそ、主翼を移動させるということも可能ですが……さすがに、大手術になるので……お試しでやるのは、リスキーです……」
理路整然と説明されると、いかにも最適解に思えるのが素晴らしい。
だが、と武蔵は自分の感情を押し殺す。
この手の安直な結論は、大体どこかで破綻するものだ。
「一撃離脱というなら、それこそ超音速プロペラってのも一応あるからな……」
直線番長にセッティングした挙げ句、更なる韋駄天に食い物にされては堪らない。
「あの……流石に、雷電を超音速機に改造するのは、色々と難しいかと……」
そこまでいくと、大戦機の改造では機体が耐えられない。
フルスクラッチか相当の魔改造でなければ、プロペラでの超音速は不可能だ。
武蔵にそこまでの予算はない。出来るとすれば、大きな後援を持つチームなどだろう。
かつてはF-104スターファイターのエンジンを推進式超音速プロペラに換装するという気の狂ったチームまで存在した。
全国を目指すとなれば、超音速機は避けては通れないタイプの敵だ。
「地区予選優勝くらいはいけるかもしれない。だが、最強には至れない」
地区予選とて競技者として十二分な勲章だが、武蔵はそれで満足するタイプではない。
「最強、最強……」
一緒に悩んでくれていた子供店員が、ふらふらと店の奥へと消える。
すぐに、一人の男性を連れて戻ってきた。
「おう、どした。客か」
とても接客態度がひどいが、彼こそはこの店にして工場の店長たる男であった。
「はじめまして。俺は、大和武蔵と申します」
いかにもな不審者の店長に名乗っていいものか若干迷ったものの、買うなら大きな買い物なのでどうせ名前も知られると考えて名を明かす。
「大和―――?」
男は、武蔵の家名に顕著に反応して見せた。
「かっけえ名字だな!」
「……どうも」
「俺はまあ、店長なり親方なり博士なり呼んでくれ。ちなみに博士号は持ってない」
「そうですか。では店長」
「店長なり親方なり博士なり呼んでくれ。ちなみに博士号は持ってない」
武蔵は直感した。
RPGの、正しい選択肢を選ばないと進まないやつだと。
好きに呼んでいい、みたいなことを言っておきながら選択肢はないらしい。
「……親方?」
「博士号は持ってない」
「博士」
「ああ、注文はなんだ?」
博士が正解であった。
ただどうにも胡散臭いので、武蔵は脳内表記としてはカタガナのハカセで済ませようと決めた。
彼を博士扱いするのは、本物の博士に失礼だと思ったのだ。
「最強の戦闘機とは、なんだと思いますか?」
そんな心情もあって、質問も割と雑だった。
一通り話を聞いたハカセは、うむうむと頷く。
「無理じゃね?」
武蔵は長々と説明した時間を後悔した。
「いいか少年。そもそも、なんで雷電はF―15イーグルに勝てない?」
「それは、根本的な性能が桁違いだから当然では?」
「そうじゃない。同じ工業製品だ、飛行機って点も同じだ。だが、根本的に違う点は厳密に存在する」
厳密も何も、何もかもが違う両機。
それでもそれらを区別する違いがあるとすれば、それは―――
「エンジンだ。いいか、飛行機ってのはエンジンに翼を付けたものだ。翼にエンジンを付けたものじゃない」
「さすがに暴論では?」
「だが真理だよ。あらゆるパーツを最先端技術で組み上げた最新鋭機に欠陥があったとして、機体の何かを削ることは出来ても、エンジンのどこかを削ることなんて出来ない。エンジンを削れば、結局出力不足に陥って機体も削ることになる。飛行機というのはエンジンから逆算して設計されるものだ」
「……だとして、最強の戦闘機に必要なのは最強のエンジンと?」
それは、間違いではないのは武蔵にも分かっていた。
エンジン出力があれば、大抵のことは力ずくで解決出来る。
そんな都合のいい最強のエンジンが、手元にあるのならば、だが。
「レジェンドクラスのルールは、エンジンの種類は問わないがプロペラによる推進に限るって制限がある。お前だって知ってるだろうが、プロペラ機の性能なんて2000馬力で頭打ちだ。それ以上はあるに越したことはないが、過剰な出力に対して得られるメリットは小さい。だから、2000馬力で何が出来るかを考えろ」
「2000馬力……」
確かに2000馬力のエンジンを搭載すれば、あらゆる方向の目標性能は8割がた達成出来る。
高速性能を求めるか。否、それは金をかければ誰だって達成可能だ。
防御を固めるか。それでは、結局高出力のエンジンを搭載している方が勝つ。
火力を求めるか。一つの答えではあろうが、武蔵の得手とはいえない。
「俺の得手、か」
「へえ、得手ってことは不得手もあるのよね? せっかくだし、貴方の弱点教えてよ」
武蔵は飛び上がった。
予想外の声色が、存外近くから聞こえてきたのだ。
「わっ。びっくりして本当に飛び上がる人初めてみた」
「おっ、おっ、お前、か……!」
バクバク煩い心臓を宥めて、声の方を向けば。
そこにいたのは、同じ一年生の黒髪少女であった。
「何をしてるっ」
「何って、飛行機買いに来たんだけど」
「それは、まあ、そうだろうな」
落ち着いてきたので、武蔵は深呼吸としてから頷いた。
エアレースの初心者が機体を探しに中古業者を巡るなど珍しいことではない。
大きな買い物だが、親に資金援助をしてもらえば手が届く範囲なのだ。
「それで、貴方の弱点って?」
「言うか、バカ」
「はぁー。私達チームでしょ、お互いの得手不得手を把握しとかないと駄目じゃない?」
「レギュラー入ってから言え。というか、俺の弱点なんて大したことじゃない」
武蔵は渋面をしつつも答えた。
別段、極端に隠さねねばならないような特殊な弱点でもない。
「俺はオールマイティーに色々な飛び方が出来るが、強いていうなら―――耐G能力の低さだ」
「えー? だって、貴方シーソー訓練サボってたじゃない」
「あんな遊具レベルのGでどうこうなるか。俺が苦手としているのは、9Gを超えるような人体の限界を超えた加速度だ」
それを想像出来ない彼女には、武蔵の抱える壁の大きさは理解出来なかった。
人体はおおよそ、9G以上の加速度には耐えられない。
耐Gスーツを着込むなど対策はあるが、それでも脳の内部までもを保護出来るわけがない。
どうやっても、そこが有人機の運動性能限界なのだ。
―――だが、世の中にはそれを超えて往く者がいる。
平然と20Gに耐えたテストパイロットがいた。
10G以上の機動で機体を破壊するパイロットがいた。
曲芸飛行の後部座席で眠れるパイロットがいた。
そういう一線を超えたパイロット達に対して、平凡な能力しか持たない武蔵は勝つ手段がない。
「その耐G能力ってやつ、私はどうなの?」
「ちゃんとテストしてみないと判らないが、鍛えれば俺よりは高くなるんじゃないか」
「え、どうして? 私、Gに強そうな見た目してる?」
武蔵は少女の身体をジロジロと見た。
中学生なりたてにしては、女性らしさが目立っている四肢の持ち主だ。
「なんか視線がやらしい」
「俺より身長も低いし、華奢だ。こういう体格の奴は耐G能力が高い」
「だめじゃん、君。背高いほうじゃん」
その通りなのだ。
格闘技やスポーツでは大概大柄な方が有利だが、モータースポーツや乗馬であれば小柄な方が有利となる。
それは重量的な意味やコックピットの狭さが苦にならない、そしてGの影響を受けにくいからなのだ。
身長に関わらず血管の構造や強度は変わらない。キリンが首の長さ故に心臓に負担を抱えているように、重力由来の必要血圧要求は循環器系にとって厄介者なのだ。
1Gの地上なら、それでも身長が大きかろうと大柄だろうと大した差にはならない。
だが、10Gを超えた世界においては致命的となる。
「ブラックアウトしたら脳が働かなくなる、もうどうしようもない。なんとか弱点を克服したいところだが……」
「そんなことより、機体選び手伝ってよー」
店の中を少し進んだところで、武蔵を呼ぶように手を振る少女。
こいつどうしてくれようか、と武蔵は思った。




