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4-1



 闇を疾駆する影がいた。

 影は跳躍しベッドから飛び降り、スタイリッシュに窓の鍵を空け、両家に渡る橋を駆け抜け、野良猫の闇夜に光る目に驚いて地面に転げ落ち、玄関をドンドン叩いて妹を呼び出して鍵を開けてもらい、かといって信濃に知られるとまた刺殺エンドなので懸命に彼女を寝かしつけ、落ち着く為にラジオ体操第8を信長よろしく演舞した後にようやく隣人の部屋へと突入を果たす。


「我ながらゲームのリアルタイムアタック並に無駄のない再走だったぜ」


 クリアリング(安全確認)を済ませアリアの部屋に突入を果たした武蔵は、「むっ手榴弾!」とアリアの胸を弄り、その男性と大差ない虚しさに優しい気持ちになってから家探しを開始した。


「うっかり忘れてたが、アリアの部屋の内装確認しないと。アリアは……どうせ目覚めないからほっとけ」


 未来で仕入れた、過去の未知の情報。

 アリアの部屋が未来アリアの記憶通りだったならば、あの救いのない終末世界はこの世界の地続きということになる。

 仮想現実説や夢オチ説を否定する為の考察だが、実はもうあまり意味はない。


「前回の過去で双子や時雨が、これまでにない行動起こしてたからな」


 しかし、それでもあの未来を否定することはまだまだ不可能ではない。

 武蔵が荒探しをすることを想定して、一分の隙もない入念な調査の末に作られた仮想現実世界かもしれない。

 夢オチとてそうだ。武蔵は詳しくないが、脳に作用して集団幻覚を見せる装置があるかもしれない。

 どこまでいっても確信を持てないからこそ、武蔵はこうして調査を続けているのである。


「前に時雨が仕掛けた仮想現実ループのせいで、若干疑心暗鬼になってるな」


 いくら時雨が優秀なプログラマーであったとはいえ、嘘っぱちでもあれだけのループ世界を作れるのだ。

 大企業や国家が本気になれば、武蔵が経験してきた地球規模宇宙規模の仮想現実とて作れるのかもしれない。


「机の横の収納スペース……上から文房具、真ん中はノート、下は小さい頃に買ってもらったラジコンだったか」


 文房具とノートは偶然当たる可能性もそれなりにあるので、まず知らなければ当てられない下段の引き出しを開ける。

 中に収まっていたのは、巨大ロボットのラジコンだった。


「男の子か。……まあいいや、とにかくラジコンは入ってた」


 他に何かないかなと、更にアリアの部屋の家探しを続ける。


「子供っぽいプリントパンツが大半だな……信濃が不相応にアダルティなパンツを揃えてるから、それと交換しておこう。何事もバランスが大切だ」


 こういう気遣いが出来るのがイイ男たる所以だぜ、とそそくさとパンツを交換する武蔵。

 しかしふと我に返り、先にやらねばならないことがあったのを思い出す。

 武蔵はアダルトショーツをアリアの頭に被せて、急ぎ自宅へ戻った。







 スネアトラップ。

 あまり一般に聞かない単語だが、ようするに獲物の脚をロープで吊り上げて、上下逆さまの宙吊りにしてしまう罠だ。

 見た目からして罠にかかったのが解りやすいのでフィクションに多用されるが、実用技術としても獲物が脱出困難である点や、地面に置かれた輪の内が全て射程範囲という命中率の高さから、知名度通りの高い利便性を持つ優れたトラップである。

 そんなスネアトラップだが、さすがに人間相手となると扱いが難しい。

 捉えても知恵で脱出されるリスクも高く、捕獲が目的であってもその構造上、対象の頭を負傷させてしまう危険性がある。そもそも、人を持ち上げるほど強力なバネを用意するというハードルが高い。

 しかしそこは創意工夫次第。地面に設置する輪を小さくすれば、片足だけ捉えるように範囲を限定出来る。

 片足だけならばバネの力も小さくて済むし、人間は二足歩行なので片足立ちとなった獲物はほとんど行動不可能となるのだ。


「なんか、予想外にエッチな絵面になってしまった」


「…………は。はは。あはは」


 片足を上げたまま、焦点の合わない目で力なく笑い声のようなものを漏らす時雨。

 武蔵としても、罪悪感が半端ではなかった。


「パンツ見放題っていうのもスネアトラップの利点だな」


 時雨は寝間着姿、アダルティなナイトウェアだ。

 片足が上がった状態だと見放題である。


「なに夜中に騒いでるの、お兄ちゃん……?」


 これだけ騒いでいれば、信濃も当然目を醒まして起きてくる。

 家の前で兄が元カノに羞恥プレイを強いる。

 なるほど、と信濃は納得した。


「お兄ちゃん、女の子を捕まえたいならせめて正々堂々とやりなよ。無理矢理にも流儀ってものがあるんだよ」


「俺が来ると判ってて真っ向から立ち向かうような主人公タイプに見えるのか」


 ここで「時雨……お前がどうして俺を殺そうとするのか、俺には解らない。だが、俺はお前の全てを受け入れると誓った! お前の苦しみも願いも、俺が全て受け入れてやる!」とか言って真っ向から戦うのが主人公らしさなのかもしれない。

 武蔵にその辺を求めるのが間違いなのだ。


「658 530 973 509 753 9075307……」


「お兄ちゃん、時雨ちゃんに変な薬でも使った?」


「いいから信濃は寝なさい。ほらほら」


「えー。ねえねえ山羊数えてー」


「俺が数えるのか……山羊?」


 こりゃ本格的に寝ぼけてるなと呆れ、ウトウトと前後不覚な信濃の背中を押して彼女の自室へと戻す。

 ベッドに寝かしつけ、さて退室しようとして、武蔵は忘れていたことがまだあるのを思い出した。


「ああそうだ。タマ、タマいるか?」


『なんだにゃあ……? 寝てたにゃ』


「アンドロイドが寝るなよ……」


 ぴょっこり、と小さなメイド人形が武蔵の呼び声に反応して飛び出してきた。


「タマ、お前の所有権を信濃に移譲する。そして今後98年間は信濃自身の命令であっても、所有権の譲渡はナシだ。突っぱねろ」


『あいあいにゃー』


 くるり、と空中で一回転して信濃のベッドに潜り込むタマ。

 これで100年の間に、このチートアイテムが行方不明になるリスクを減らせると武蔵は踏んだ。

 これまでのループが慌ただしくてついつい忘れがちだったが、タマはれっきとした武蔵の切り札だ。

 動力は、武蔵がハカセから貰った縮退炉。

 元は武蔵の所有物だったが、謎の人工知能に乗っ取られて現状タマの管理下にある。

 結果として出来上がったのは、最大出力は100万キロワット以上という、正真正銘のモンスター人形だ。

 原理力発電の原理は湯沸かし器と変わらない、とは有名なトリビア。

 だがタマは独力で動き回る人形であり、縮退炉部分に水を補給しているわけでもない。

 復水式蒸気機関車のような循環システムを積んでいるのではないかと武蔵は推測しているが、そうであっても吸気と排気はあるはずだし、大きな排熱板も必要となる。

 武蔵が観察した限り、タマは外部と熱や大気のやり取りを一切していない。

 サーモグラフィーで観察しても特別排熱していないし、ガイガーカウンターを向けても放射線を検出出来ない。

 核エネルギーを機械的な過程を経ずに大気の循環も行わずに抽出する方法も一応あるのだが、その重量あたりの効率は復水式蒸気機関車より遥かに悪化する。

 この縮退炉と同レベルの独立した発電機を拵えようと思えば、現在の技術では山手線の内側を丸ごと発電所にするほどの規模になってしまうのである。


「いやほんと、なんだこれ。1000年後の人類が過去の人間を助ける為に送ったオーパーツって言われても信じるぞマジで」


 何にせよ、単独で原子力空母級のエネルギーを供給出来るタマは間違いなく武蔵の切り札なのである。







 玄関まで戻ると、片足を上げたまま茫然自失な時雨と、それを遠巻きに見つめる少女2人がいた。


「あ、さくっと死んで結局何も出来なかった駄目な人だ」


「あ、助けてあげたのに助けてくれなかった駄目な人だ」


 如月姉妹はテクノブレイカー(孤立なる殉礼者)を見る目で武蔵を見た。

 姉妹の視線は絶対零度より極寒であった。

 制服のブレザー姿も懐かしい、秋月と霜月の姉妹だ。


「くっ……! すまない。俺がテロリストに遅れを取ってしまったばかりに、お前達には―――!」


「いや妹さんに殺されたってぇ総理ちゃんに聞きましたからぁ」


「大臣ちゃんに話を聞いた時のー、あたし達のがっかり感分かりますー?」


 咄嗟に誤魔化さんとした武蔵だが、普通にバレていた。


「あーなんだ、すまんね、君達」


「謝るべき時に素直に謝れない男ってかっこ悪いですよぉー?」


「けじめを付けられるのがいい男の条件じゃないですかぁ?」


「申し訳ございませんでした」


 武蔵の土下座は、それはもう双子が後世に語り継ぎたいほどに清々しいものであった。

 双子の後世にとっても、そんな身内の恥を語り継がれても困るというものだが。


「それにしても、今回は初めてのパターンだ。俺よりアリアの方が長生きだった」


 死後の経緯について問うと、双子はあっけからんと語る。


「最初から総理ちゃんが味方でしたからぁ、アリっちも浮遊島に暮らしてましたよぉ」


「別に普通に農作業してましたしー、長生きしたんじゃないですかねー」


「なるほど、いわば『人類敗北ベターエンド』ってところか。にしてもいまいち曖昧な言い方だな」


 アリアのその後についての情報が、どうにも不明瞭だった。


「それはまあぁ、わたし達は死にましたしぃ」


「人体実験された時点でー、もう早死に確定ですー」


 えへえへと朗らかに笑う双子に、武蔵は表情を変えないように努力する必要に駆られた。

 武蔵としてもあまり人のことを言えないが、彼女達の精神も順調に壊れてきているらしい。


「あっ、でもだいぶ身体を弄られるのはぁ、回避出来るようになってきましたよぉ」


「はいー、人体実験をしてくる白衣のオジサマ達の良心をちょちょっと刺激するとー、色々待遇が改善することが判ってきたんですー」


 双子も無策で人体実験の被験者にされているわけではなかった。

 研究員の顔を覚え、実験に迷いのある者を選定し、言葉巧みに誘導してきたのだ。

 情報を収集し、籠絡し、時には争わせた。


「可愛い女の子だとその辺楽ですよー、ちょっと誑かせば男なんて心揺らしちゃいますしー」


「人体実験しておいてぇ正義感出すとかバカじゃないかとぉ」


「あれですあれー、風俗行って嬢に説教するみたいなマッチポンプを感じますー」


「アンタこの前わたしの柔肌切ったよな、ざけんなクソ野郎って言うかあ」


「あのハゲいつか殺す」


「素手で内蔵引きずり出してやる」


「殺す」


「ぶち殺してやる」


 最初は軽快だった口調はやがて低くなっていき、遂には殺気を湛え始める。

 加害者の善人面に、双子もやはりフラストレーションを溜めていた。

 武蔵の困った様子に気付き、双子はテヘペロと美少女モードへと戻る。


「もーっ、ほんと困っちゃうっていうかぁ」


「今度はちゃーんと助けて下さいねー、ムーサシン」


 きゃぴるーん、とつい先程までの剣呑とした雰囲気を霧散させる如月姉妹。

 割と凡庸な人種である彼女達が、研ぎ澄まし磨き抜いた武器は武蔵を以てして普通に恐ろしい域に達していた。


「女って怖い」


「あぁ、別に身体使った誘惑とかはぁしてませんからねぇ。そこまでぇ安い女じゃないですからぁ」


「はいー。あたし達処女ですよー。男の人は好きですもんねー、処女」


「この時代では、じゃないですからねぇ。未来でも処女ですからぁ。生娘ってやつですぅ」


 なぜか自身の潔白を主張する秋月と霜月。遊んでそうな風体だが、そこらへんは譲れない一線らしい。

 ふと、真顔になった霜月が武蔵に訊ねる。


「なんで男の女性経験は戦歴なのに、女の男性経験はバツマークの数になるんでしょうね」


「戦車と塹壕の違いだろうさ」


「なるほどむさしんの長槍はぁ、数多の塹壕戦を踏破してきた歴戦の重戦車とぉ」


「あーあー知らん、聞こえなーい」


「脱出までは出来ませんでしたけどー、今回は前よりわりかし軽症でしたよー。テロ組織を実利派と人権派に二分させましたー。人権派とかちょーウケるー」


「なんなら次回からはぁ自力で脱出できるかもしれませぇん。あっ、ちゅーもさせてませんからぁ。ボロボロだけど綺麗な身体ですからぁ」


「どんだけ純情アピールしたいんだよ如月姉妹」


 いつまでも彼女達の対空砲が如く射線を間違えたセックスアピールを聞かされても困るので、武蔵は気になっていたことを訊いてみた。


「俺が死んだことの影響は? 俺が死んだら、周りってどうなるんだ?」


「むさしん、それは悪趣味ですよぉ」


「ムサシン、それは聞いちゃ駄目なやつー」


 叱られてしまう武蔵だった。


「まあそれでも気になるでしょうから、さくっと教えますよぉ。まず妹ちゃんはむさしんを殺した直後に自殺したっぽいです」


 それは武蔵も、おおよそ察していた。

 武蔵は思わず、信濃の眠る2階あたりを見上げる。

 そしてすぐに、視線を目の前の地面に落とす。


「そうか。前回俺達が死んだのって、ここだったな」


 玄関先で殺された武蔵、自殺した信濃。

 その事件現場で、彼等は再会していたのだ。

 自分の最期の場所で立ち話というのもなんなので、武蔵達は場所を移すことにした。


「信濃は寝てるから、静かにな」


「はぁい。お邪魔しまぁす」


「失礼しまーす」


 武蔵が先導するまでもなく、家の間取りを知る2人は勝手に入っていく。

 残った武蔵は時雨を改めて拘束し、罠から外して担いで居間へと向かうのであった。







 居間に入ると、秋月が勝手にお茶を人数分煎れていた。

 この世界においては初めての状況だが、未来ではちょくちょく見てきたので武蔵としても違和感はない。

 双子は本人達の言うところの『女子力』の研鑽故か、こういう気が効くのだ。


「はい、どうぞー」


「ありがと」


 3人が定位置に着席すると、話は再開された。


「まずは総理ちゃんですがぁ、あの子も自殺しましたよぉ。浮遊島での生活のある日ぃ、朝になっても現れないので部屋に入ったら首を括ってましたぁ」


「……そうか」


 割と予想通りではあったが、花純が自ら死を選んだことはやはり楽しい報告ではなかった。


「自分もループするんじゃないか、っていう一縷の望みに賭けた自殺だったみたいですぅ。まあ、無理なんでしょうけどぉ」


「妙子先生は少し落ち込んでましたけどー、すぐに持ち直してー子供達の面倒を見てましたー」


「うん」


 100年で一番精神を変質させたのは、やはり足柄妙子だと武蔵は考えている。

 武蔵の私見としては一番不安定な心の持ち主であったはずだが、100年をかけて鍛えた心は誰よりもタフに思えた。

 その苦悩と努力はあまりに図り知れず、きっとその時間を共有出来なかった武蔵に彼女との未来はないのだろうと自然に思える。

 ただ、かつて恋仲であった相手として、彼女の支援を行えないのは心苦しかった。


「アリちゃんは一番動揺してましたねー。まあアリちゃんはループのこと知らないし、メンタルは他の人よりずっと若いから仕方がないんでしょうけどぉ」


「アリアが?」


 それは、武蔵にとって意外にも思える反応だった。

 アリアは寄る辺を求めている。それはどのループでも同じだ。

 そのくせ、愛というものに酔いきれない面倒くささを持つ少女なのだ。


「お前達から見て、あの子ってどんな子なんだ?」


 ある意味武蔵より恋愛経験が豊富そうな2人に、武蔵は率直に訊いてみた。


「そうですねぇ。臆病者っていうかぁ?」


「でもあの子の大事にしたい部分も解らなくもないからー、それをー弱さだとは名付けたくない、みたいなー?」


「……えらく抽象的だが、解らなくもない気はする」


 弱くて情けない自分もまた、これまでずっと共にあった自分自身。

 そういう感覚に関しては、武蔵も共感出来る気がした。


「きっとぉ、歳と経験を重ねればぁそういう部分もまとめてぎゅーっと抱きしめて愛せるようになれるタイプだと思いますぅ」


「そうそうー、リアちゃんは別に弱い子じゃないよねぇー。ただ、まだ幼い部分が残ってるだけだよー」


「まとめて愛せるって、誰を?」


「自分をです」


 こいつ話を聞いていたのか、と霜月は武蔵を胡乱に睨んだ。


「結局ぅ、あの子は普通の女の子だと思いますよぉ?」


「自分が異質なことを知ってるからー、嫌われるんじゃないかって怯えてる普通の女の子ですー」


「異質?」


 突如飛び出した単語に、武蔵は思わず食い付いた。


「異質って、肌の色とかそういうことか?」


 アリアの異質な点。

 日本人と白人のハーフであるし、タイムトラベラーという面でも異質だ。

 だが、如月姉妹の言う『異質』とはそんな表面的な部分を指しているとは武蔵には思えなかった。


「さあ? っていうか、女の勘にマジレスしないでもらえませんかぁ?」


「えーっ……」


 抽象的な質問に勘で返答されただけだが、どうにも釈然としない武蔵であった。


隊長(時雨)すずやん(鈴谷)については、総理ちゃんも調査してたけど最後まで解らなかったみたいですぅ。ひょっとしたら目覚めてないんじゃないか、って」


「あーなるほど、その可能性もあるのか」


 目覚めていない、という可能性については武蔵としては盲点だった。

 コールドスリープから目覚めるタイミングにはムラがある。アリアは3年前、双子と武蔵はほぼ同時期だがやはりズレはある。

 時雨と鈴谷に関しては、そもそもまだ目覚めていない可能性とてあったのだ。


「でも時雨に関しては目覚めてはいるんじゃないか? 何か経験したからこそ、こんなことになってるんだろうし」


 武蔵はよしよしと時雨を軽く抱きしめる。

 手足を拘束されているとはいえ、なすがままの時雨に不快そうな様子はない。


「89 9999ー」


「ヤバイですねー」


「ヤバイでしょーうね」


 双子としても、この状況が深刻なのは同意見である。


「わあっ、見てください。隊長(リード)のおっぱいはズッシリ系ですよぉ」


「ほほー。ムサシンがこのおっぱいを好きにできると思うと面白くありませんなー」


「こら、いたずらするんじゃない。はあ、時雨から直接話を聞ければ早いんだが……」


「お医者さんに連れ込む時間なんてないですよぉ。どうせ明日、いえ今日の昼頃になればUNACTが突っ込んで殺しに来るんですからぁ」


「偶然かとも思ってましたけど、あれ完全にあたし達を付け狙ってますよねー。男子どころかモンスターにまでストーカーされるとかー、マジモテるの辛いですー」


「確かにお前等ならストーカー被害の10や20経験してそうだ」


 磨き抜かれた男受けの良さは、狙ってもいない男すらおびき寄せる諸刃の剣だ。

 その危険性を把握していないはずもないので、武蔵も忠告のような余計なお世話はしない。


「困った時はあの子に聞くべきですよぉ」


「あの子?」


「ミカミカですー」


「みかみか……ああ、三笠か。なるほど……?」


 納得したような、しかし釈然としない武蔵。


「三笠って、医学知識あるのか?」


「知りませんけどぉ、とりあえず困ったら三笠に聞いてみればいいかなってぇ」


 確証も何もないが、武蔵としても確かに一番万能キャラ感がある気はした。


「学生だった頃もぉ、とりま困ったら三笠に聞けばぁ、だいたい解決法を教えてくれるんですよぉ」


「『その程度のことも判らないのか下等生物め』とか言われるんですけどー、『やっぱり三笠っちにも判らないかー』って言うとしぶしぶ教えてくれるんですー。こういうの、ツンデレって言うんですよねー」


「違う気がするが、とにかく三笠に聞いてみよう。『とりま三笠』の精神だ。あと俺達は今も学生身分だからな、一応」


 ループから離脱を目標に掲げている以上、これは譲れない点であった。


小説を書いているときはいつもコーヒーを飲んでます。

最近は寒くなってきて、すぐ冷めてしまうのが困りごとです。

…今日になって電子レンジで温めなおすという画期的な方法にやっと気が付きました。

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