地味子とチャラ男、ニセコイ関係?(視点:松井 和樹)
木上 遊花……俺の元カノ。
ごりっごりに染めた茶髪に長いまつ毛、原形を留めないくらい飾られた携帯……木上 遊花は学校1のギャルだ。
学校でとても有名な二人……ちなみに、もう一人は田上の元彼、曽根 海人。
曽根は『曽根殖産』っていう地元でも指折りの大きな会社の跡取りだ。
今や社会現象となった『妖滅の砲』・『獣術回戦』を連載している週刊漫画誌『週刊少年スキップ』を出版している出版業界の雄、駿英社は『曽根殖産』の子会社。
今年公開された『妖滅の砲』の映画、『妖滅の砲、夢幻列車編』は大ヒット、来年には『獣術回戦』の映画、『獣術回戦・零』が公開予定。
ほかにも複数の有名企業を子会社化しているが長くなるので割愛。
そんな大企業の御曹司な海人は高校生ながら『曽根殖産』が所有するサッカーチーム『鹿児島U』の選手で主力得点源選手だ。
「詳しく聞かせて!」
俺達は駅前の大衆食堂で話している。
「今、グループLINEでは、こんな流れになっている……【振られた田神をからかってやろうぜ~】って」
「からかう……?」
頷く俺。
「その方法なんだが……クラスの男子から選ばれたヤツが傷心の腐女子ちゃん、つまり田神に告って、恋愛関係になる」
ある計画の隠れ蓑にするために
「れ、恋愛……」
提案したのが
「で、最後にドッキリでしたー! ってやるんだってさ」
俺だというのは秘密だ。
「何でこんなこと、されんだろ?」
そりゃ
「学校1のイケメン御曹司と付き合ったからだろ」
と即答する俺。
まあ俺も木上と付き合っていたことで、同級生達から不興を買っていただろうな。
「田神が振られてざまぁみろって、んでもっとひどい目に遭わせようってさ」
嫉妬は怖いな。
「もしかして松井くんが、あそこにいたのは」
恋人役に立候補した……なんて言える訳なく
「ああ、選ばれたのは俺でした」
うわ、何か某お茶のCMみたいだな。
「さて……じゃ本題に入るか」
田神にある計画を話そう。