第三話 地味子とチャラ男、ニセコイ関係?
松井 和樹……私と同じ学級の男子。
ごりっごりに染めた金髪に、きつい目つき、原形を留めないくらい飾られた携帯……松本くんは学校1のチャラ男だ。
彼にまつわる噂……不良と喧嘩して勝ったとか、入学して学校の女子100人と●●●したとか、まあ真偽は定かではないが。
学校でとても有名な二人……ちなみに、もう一人は私の元彼、曽根 海人。
彼は『曽根殖産』っていう地元でも指折りの大きな会社の跡取りだ。
今や社会現象となった『妖滅の砲』・『獣術回戦』を連載している週刊漫画誌『週刊少年スキップ』を出版している出版業界の雄、駿英社は『曽根殖産』の子会社。
今年公開された『妖滅の砲』の映画、『妖滅の砲、夢幻列車編』は大ヒット、来年には『獣術回戦』の映画、『獣術回戦・零』が公開予定。
ほかにも複数の有名企業を子会社化しているが長くなるので割愛。
そんな大企業の御曹司な海人は高校生ながら『曽根殖産』が所有するサッカーチーム『鹿児島U』の選手で主力得点源選手、そして焼けた肌がよく似合うイケメンだ。
そんなイケメンと付き合えていた時点で奇跡……もう捨てられたけど。
「詳しく聞かせて!」
私達は駅前の大衆食堂で話している。
「今、グループLINEでは、こんな流れになっている……【振られた田神をからかってやろうぜ~】って」
「からかう……?」
松井くんが頷く。
「その方法なんだが……クラスの男子から選ばれたヤツが傷心の腐女子ちゃん、つまり田神に告って、恋愛関係になる」
まあ随分と
「れ、恋愛……」
回りくどくて
「で、最後にドッキリでしたー! ってやるんだってさ」
悪趣味だ。
でもさ
「何でこんなこと、されんだろ?」
松井くんが即答する。
「学校1のイケメン御曹司と付き合ったからだろ」
つまり海人と付き合っていたことで、同級生達から不興を買っていたってこと?
「田神が振られてざまぁみろって、んでもっとひどい目に遭わせようってさ」
シットッテ、コワイネ。
「もしかして松井くんが、あそこにいたのは」
恋人役に選ばれたのって
「ああ、選ばれたのは俺でした」
何か某お茶のCMみたくなってる(笑)。
「さて……じゃ本題に入るか」
それは以外な提案だった。
次話は書き下ろしサブキャラ視点エピソードです。