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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

作者: 綺羅星

授業が終わり、家でゲームをしていると、あいつからメッセージが来た。


「日没までに学校の屋上に来てね。」


嫌な予感がする。こういう時の勘ってのはよく当たるもんだ。それにしても日没ってあと1時間ぐらいじゃねぇか。

慣れた手つきで制服に着替え、ランニングシューズを履く。放課後だし、急いでるから革靴じゃなくてもいいよな。俺の家から学校まで、走ってもギリギリ1時間切るか切らないかぐらいだ。

それにしてもこの半年、色々なことがあった。入学式に体育祭、文化祭。友達って言えるやつはあいつだけだけど、それでも楽しいと言えるような半年だった。今でこそクラスに馴染んでるが、あいつがいなけりゃ俺は今も独りだったんだろうな。あいつは俺の太陽だ。俺に希望という光を与えてくれた。まぁ、あいつはそんなこと思っちゃいないだろうけど。いつも自分を卑下して、謙遜してばっかり。それを聞かされる俺の身にもなれよな。

っと、スピードをあげねぇと間に合わねぇ。俺は思考をシャットアウトした。



昇降口に着いた。口のなかは血の味がする。肺が、脇腹が痛い。覚束無い足取りで、上履きに履き替えた。息をつく暇なんて無く階段へ走り出す。

「っ、たくっ、何の用でっ」

自分に言い聞かせるように声に出す。こうでもしないと意識が吹っ飛びそうだ。

屋上へのドアが見えた。スピードを上げて階段を駆け上る。ガチャリ


「陽菜っ!」


―ばいばい― って聞こえたような気がした。

日没、真っ暗な夜が広がっている。

その真ん中に見た。足のようなもの。気のせいか?屋上を捜しまわる。名前を呼んでみる。メッセージを送る。返事がない。心臓の鼓動が更に早くなる。一旦落ち着いてメッセージの返信を待とう。それからどれだけ経ったか分からない。暫くの間、星を眺めていた。

不意に悲鳴が聞こえる。下からだ。屋上に来た時に登った階段の正面。落ちないように気をつけながら下を覗く。



訳が分からない。どうして?何故?

わからない。

落ちたのだ、俺の太陽は。本当なのか?

わからない。分からない。解らない。


でも一つだけ分かることがある。月は、太陽なしでは輝けない、きらめけない。そう、俺は月なんだ。陽菜が消えたなら、俺はどうするべきか?いや、もう分かってるはずだ。俺のすべきこと、やるべきこと。俺は立ち上がった。

背面からは喧騒が聞こえる。関係ない。

そして太陽の後を追うように月は沈む。



「なぁ、陽菜。月、綺麗だな。」


反転、落下。

太陽は月なしでは輝けない。

彼は、彼女なしじゃ生きられない。

ではあなたは?

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