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高専生ブルース   作者: Bon
4/4

狙われた学院

2013年4月を迎え、俺は無事に4年生に進級すると同時に第一志望だった建築デザインコースに進んでいた。


だが、全国の高専生に取っては研究室に配属された今が高専に入った事をもっとも後悔する時期の到来ともいえる。

というのも俺たち高専生が研究や実習に明け暮れる頃に、自分よりも格下の高校へ行ったはずの者達が指定校枠やAO入試などで有名大学に入り、青春を謳歌する様子を見るにあたり、選択を誤ったと嘆く者がいるのはたとえバウハウスといえども例外では無いようだ。


だが嘆く必要はない、進学を希望する場合には、成績上位者には「殆どの国立大学」に比較的楽に編入する道が開かれているからだ。

例えば東大の工学部でさえ、毎年15名前後が高専から編入を果たしている。


また編入試験の時期は卒業研究との絡みもあり、春から秋にかけて行われるのが一般的であり、受験科目も少ない。

要は大学の授業についていけるかどうかを見る為の試験になるからだ。

また受験日は各大学バラバラの為、複数の旧帝国大学を受験する事も時間と予算さえ有れば充分ありだ。

因みに祐美はかなり早い時期に第一志望だった千葉大工学部のデザイン科へ合格していた事から、夏以降の時間を有意義に過ごせたと言っていた。


俺は取り敢えず、受験対策を兼ねて英検の1級と数検1級を目指す事にする。留学が効いたお陰で実はTOEICでは960点、TOEFLでも100点を取得しており、またオーストラリア留学時には毎年春にアメリカで開催される高校生の科学の祭典「インテック国際科学フェア」で総合優勝を果たし、カーネギーメロン大からフルスカラシップでのお誘いを受けていたのだが、もし海外の学校へ行くならは正直大学院からで良いと思い、一旦、アメリカ行きは見送った。


だが科学フェアでの優勝賞金と企業からの奨学金によってオーストラリアではMベンツゲレンデヴァーゲンの復刻モデルであるG280CDIを手に入れて、デートなどでは大変重宝した。

車は帰国時に日本へ持ち帰っていたもの、こちらでの免許が無かった為、専ら母の買い物用として使われていたが、4月1日のギリギリ早生まれである俺もようやく運転免許を取得出来た事から嬉しさの余り、昨年末に引っ越した横浜市内の自宅と東京間をもう何度もドライブしていた。


そんな時、よりを戻していた要 杏子から興味深い話を聞いた。


震災の日に俺を誘い出した松田瑠衣と杏子は同じ大学の教育学部で再会したのそうだ。


彼女達は皇族や旧華族などのOBが多い事で知られる私立の名門校であるG大学に今年より新設された教育学部に進学していたが、そこは左翼政党の幹部である教授が教育学部を牛耳っており、第二外国語で中国語や朝鮮語が必修で、また研修と称してして中国や韓国への旅行を実施しているらしい。

これは韓国旅行にかこつけ、毛並みの良い学生達に自虐的歴史感を植え付け、韓中に対する「謝罪と賠償」とを永続的に行わせる事が目的なのは明白だが、実際中国では「超限戦」=「ハイブリッド戦」として、非戦闘員を使った情報や経済の操作。また賄賂やハニートラップを用いて政治家を抱きこむなど、軍事以外の面と複合する形で多極的な世界侵略を進めており、その一環として、日本の上流家庭の子女に対して宗教を否定するマルクス教育を施そうというブラックジョークの様な試みだ。


またそれ以外でも系列の女子大では数年前迄、左翼政党の女性国会議員が客員教授として法律を教えていたらしい。その教授は欠席が多く、更には先の左翼政権が2009年に発足した際に、閣僚入りしたため現在では職を退いているが、反日マスコミや知識人、韓国による反日集合体により生み出されたその前政権では、国家公安委員長である法務大臣が公安警察の監視対象に置かれていた程で、その政権末期には自衛官を中心としたグループによるクーデターが起きる寸前だった事もまた事実だ。

もし、うちの親父が尖閣事件における内部告発によるガス抜きをしなければ、多くの国民は理由も分からないままクーデターに巻き込まれていたに違いない。


ただ、今まで気にしていなかったが、杏子によれば松田瑠衣の両親は、父親の重婚が理由で、離婚したらしい。

普通重婚は出来ない筈だが、父親のビジネスが美容材料商と聞いて納得した。つまり瑠衣の父親は在日韓国人で、本名と通名を使い分けて韓国と日本とでそれぞれ、婚姻届けを出していたのだ。


また離婚の時期は東北震災の頃と重なっていた。





そんな中、ゴールデンウィークを迎え、俺はTVのスポーツ特番のオーディションを受けていた。


それは参加者がサバイバルアクション映画さながらに障害コースを突破する、リアリティが売りの人気番組で今回で25回を重ねる。


そして今回3000人を超す応募の中、書類審査に通ったのが300人。更にそこからオーディションでふるいにかけて、参加者100人までに絞ってゆくのだ。


その局では、こう言ったエンタメやドラマなどでは、昔から面白いものが多いが、報道局の方は既に在日韓国人によって乗っ取られており、反日的な偏向報道ばかりしており、そこに如月猛の息子が応募した訳だから、俺は審査ではねられるかもと思っていたのだが、流石に俺が思う程には親父も大物ではなかった様で無事審査に通っていた。


土曜日午前に行われた一次審査は体力測定で、太鼓のリズムに合わせて100回の腕立て伏せを行うというシンプルな内容だが、そのゆっくりとしたペースでの腕立て伏せは地味に体力を削っていき、80回を過ぎた辺りで多くの者が脱落したため、結局同じ予選組で最後まで残っていたのは40人中、俺を含めた3人だけだった。

尤も正確なフォームで腕たせ伏せ1000回を20分以内でこなせる俺にしても、そのペースののろさには些かウンザリしたが。


午後の2次審査はグループ面接で、まず芸能人や常連勢より始まり、次に遠方からの参加者を優先して行われる為、俺たち東京組は最後の方に回されるとアナウンスがあったため、俺は主催者に断った上で、他の参加者有志と共に屋外に設置された建築足場の様なセットの下見をした後に、持て余した時間で休み明けに提出の環境問題に関したレポート用の資料を読み込む。


俺のグループの面接は18時過ぎから始まった。7人が横1列に座って1人ずつ順に質疑応答が行われるが、1次審査で共に最後まで残っていた小柄なコケティッシュな女性と同じグループだった。小顔でボブの似合うパッチリとした目のキュートなルックスはグラビアアイドルに居そうなタイプだなと思う。


自他共に認める『女オタク』である俺としては当然ながら彼女の事が気になっていたが、どうやら彼女は「寺里ユキ」と云うらしい。


やはりタレントだったユキは高校時代グラビアアイドルとして活躍した後、現在はケーブルTVなどを中心に活動しているらしいが、関西人らしく話のやり取りがとても面白く、俺は小悪魔な上沼恵美子女史を連想した。


また空手2段と云う彼女は、こういったオーディションでの定番ともいえる空手の呼吸法『息吹』ではなく、ヒクソン・グレイシーばりに腹筋を波うたせるヨガの呼吸法『ナウリ』を披露したときには審査員達からは感嘆の声が上がった。

その次は同じく1次予選で同室だった動画投稿者の男がしきりに動画のメリットをアピールしていたが、俺は興味深く拝聴した。


そして最後に俺の番となった。ここでは俺の職業である「山伏」について聞かれる。


正直「現代忍者」でも良かったのだが、「山伏」の方がインパクトがあると思って名乗っていた。

頷いた俺は仰向けに床に倒れ込むと、膝を支点として手を使わずにバックブリッジ起立することを3回繰り返した。背後に倒れるシーンの逆再生を見るような、その重力を無視した動きに審査員達からは再び歓声が上がった。

これは先ほどの『ナウリ』と同様にヨガの技の一つで「車輪のポーズ」の上位互換に相当する。

俺はこのマトリックスの弾除けシーンの様なブリッジ起立を1分間に約20回以上連続して行う事が出来る。

プロデューサーらしき男性より「すごいね、リアルで『マトリックス』を観れるとは、君はいったいどんな身体をしているの?」と聞かれた俺は頷き、ヘンリーネックのTシャツを脱ぎ、審査員の前でゆっくりと1回転して見せると再び会場の全員が同時に息を呑む。


バランスの良い骨格をワイヤーを寄り合わせた様な筋肉が覆っているように無駄をそぎ落としたその質感はボディビルやジムなどで人工的に作られたものとは明らかに違うものだ。

特に首背面から肩、背中にかけて見事に発達した筋肉と骨格はまるで巨大なサソリが腕を振り上げる様を連想させる。


俺の身体を見た女性審査員などは文字通り涎を垂らしていた。プロデューサーと思われるナイスミドルの男性は「ハハハ、凄い身体だな。他には何か出来るの?」


と聞いて来るので、俺はサクランボのヘタを口に含むと口の中で結んぶとニヤリと笑って見せた。

プロデューサーは苦笑すると


「今年の参加者は粒揃いだな。本番が楽しみだ。」

と顎を触りながら言った。


俺には先祖返りと言われる特性が幾つも備わっている。


外見的な特徴としては、人よりかなり尾てい骨が目立つ事や、親知らずが全て綺麗に生え揃っている事などがあるが、10歳の頃には既にバランス良く発達した逆三角形の体型をしていて、瞬発力やバランス感覚、持久力が人並外れていた。

またカメラの様に見たものを瞬時に記憶できる「瞬間映像記憶」や、人体から発するオーラが見えたり、気配を感じる事で、かくれんぼなどしても、何処に誰が隠れているか手に取る様に分かったりもした。

更にこれはかなりレアな特性なのだがペニスに軟骨があり、怒張した状態から指の様にクイクイ動かす事が出来、またこの骨を通して子宮に「波動」を伝える事ができるため、女性に好評だったりする。


子供の頃はみんな俺と同じようなものと思っていたが、一度も風邪にも虫歯にもならず、また学校の成績も特に何もしなくても常にクラスで一番だった俺は、次第に他の子供達との違いを理解する様になり、自然と自身の能力の特異性について密かに探求する様になっていった。


3日後に「シノビ」オーディションに合格とのメールが届いていた。また「シノビ」本番の収録は翌々週の土曜日との事だった。

実はオーディションの帰り際にスタッフから、貴方は合格ですと内定を耳打ちされていたのだが。


そして収録本番の土曜日、横浜市内のスタジオに組まれた巨大な屋外セットの中で今日は朝からスポーツバラエティ番組「シノビ」の収録をしている。


俺は途中の関門を無事にこなし、既にファイナルステージへと進んでいた。やがてブザーがなると、俺は手を挙げてスタートする。20メートルの助走から踏み切り、奥行き5メートル水深1.5メートルの池を越え対岸に渡るのだが、呼吸法によって足の裏から「気」を吸い上げ、背骨に沿って全身に循環させていた「気」を今度は踏み切りのタイミングで足裏より勢いよく放出させた。


そのブーストとも云うべき強い推進力を瞬時に足裏より生じさせ、宙を舞い羽根の様に緩やかに対岸に着地した。おそらく8m以上の飛距離が出ている筈だ。そしてそのままの勢いで今回初登場となる直経3mの縦回転ループに侵入し、忍者の様に一気に駆け抜ける。

大地の「氣」を足の裏から吸い上げ全身に循環させ、放出させたり、身に纏ったりする技能を自身では「ブースト」と呼んでいる。気を放出するのと感知するのとは勝手が違い、さすがに俺の身体操作技術を持ってしても習得に時間が掛かったが。


そしてファイナルステージのラストの10mのロープ登りを腕だけで登り切り、無事時間内に無事フィニッシュした。

ファイナルステージでは第二関門である縦回転忍者ループを途中で踏み外す者や見ただけで断念した者も多く、俺は今大会で最初の完全制覇者となった。200万円の賞金と副賞として500万の国産のセダンが貰える事になったが、余り好きな車ではない為、現金300万円に換えてもらう事にする。


そして寺里ユキは最後に2秒残してにギリギリのタイミングでクリアしたが、見ていた参加者全てが手に汗を握った。

いずれにせよ彼女の強いフィジカルは称賛に値する。

明け方近くに撮影が終了し、一旦解散したあと、俺とユキは賞金の振り込み等の手続きを済ませて帰路に着く。

明け方近くに撮影が終了し、一旦解散したあと、俺とユキは賞金の振り込み等の手続きを済ませて帰路に着く。


彼女とはお互いの健闘を讃え合い、連絡先の交換をした後、良かったら送って行くと申し出た。

彼女はしばらく考えていたが、「かなり臭うと思うけど、大丈夫かな?」と言った。

俺は「ああ、俺も汗まみれさ。」と笑う。

俺とユキは始発バスを待つ参加者の羨望の視線を横目に駐車場まで歩く。駐車場にはグレーのベンツG280CDIが鎮座していた。


ユキは少々驚いたようにこちらを向く。


俺は「田舎者なんでね、車でハッタリを効かせているんだ。」と自虐的に笑う。

「さて実はいいものが有りまして。」と俺はルーフキャリアに設置されている温水シャワータンクのシャワーノズルを彼女に示した。

彼女は少し驚きながらも「えっ、もしかしてこれ使ってもいいの?」と聞いて来た。俺はうなずく。

俺が先に水着姿になり、タンクに付いたシャワーのレバーを捻り、温水シャワーを浴びて見せると、元グラドルの彼女も躊躇なく水着になった。

車の後方左右に分かれて2つあった26リッタータンクの温水をそれぞれ使い切る。

「ごめんね〜。私が半分使っちゃって。」「でも凄くサッパリ!したわ。」

「大丈夫だよ、スペアを持って来ていてよかった。」俺は笑った。

そしてリアゲートに仕込んであったカーテンの陰で器用に着替え、車に乗り込んだユキは眺めの良さに驚く。

帰りの車ではすっかり打ち解け、お互いの事を色々話す。

彼女は兵庫出身で現在は中野に住んでいるらしい。俺が誘わなけれは、電車とバスを乗り継いでで帰っていたと話す。


俺の方は現在、フェンシングをしている事などを話した。

彼女を送る途中、彼女が身に纏うオーラの色が濁った桃色になった事を確認した俺は彼女の膝に手を置くが、彼女は何も言わない。

環八沿いのラブホテルの手前でウインカーを出した。

部屋に入ると一緒に風呂に入って再度汗を流す。

彼女は中々のテクニシャンだった。久しぶりにするとの事だが、大学時代に付き合っていたミスターKOに仕込まれたのだそうだ。彼女はどちらかと言うと責める方が好きらしい。

そのめちゃくちゃ可愛いグラビアアイドルから上目遣いで奉仕を受けていたミスターKO君に俺は少なからず嫉妬を覚え、少々ハッスルした。

中野のマンションの前に彼女を降ろし、歩道上のユキと車の中からキスを交わすと車を発進させる。バックミラーをみると、ユキはいつまでも手を振っていた。

俺と一緒に狭い空間に一定時間以上居る女性が性的な興奮を覚えやすい事はこれまでの経験で判っていた。車内の様なタイトな空間の場合はなおさら、その効果は高い。


翌日、ヨットのキャビンで寛いでいるとユキから

『身体がバラバラになりそう』

とチャットメールが届いたので、俺は昨日のユキの可愛い痴態を思い浮かべながら

『全く同感!』と返信を返す。

『半分はアナタのおかげですけど♡』

『ユキさんの魅力に逆らえなかった、ゴメン。』

『ウフフ、いいわよ♡。』『ところで来週末何してる?誘って貰えなかったけど。』

『フェンシングの試合に出る予定。』と回答したところ、

『観に行っても良いかな?』と聞いてきたので

『大歓迎、場所は駒沢体育館で時間は日曜日の10時スタート。』と返事を返す。

『了解、もう寝ます・・・。』


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