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第4話 き、気の所為だよな

「み、皆月君、いますか?」


 ど、どうしよう…。

 僕はアタフタとするが、氷川さんはそんな事も知らずに近づいて来る。


「あ、開けますよ?」


 シャッ


 イーヤァーッ!! まだ何も言ってないよ!?

 僕は顔を覆い隠す。


「ん?誰?」

「す、すみません! 間違えました!!」


 あ、あれ? 声が隣の方から聞こえてくる?


「氷川さん、そこは3年の人が寝ている所。皆月君はそっち!」

 保奈美先生が指を指す。



 いや! 教えないでよっ!!



「こ、こっちですか…」



 まっ、待って!!


 シャッ




「皆月君…? 話があるんだけど…」

「な、何?」

 僕はベッドに潜り込み、顔を見せない様にしていた。


「いきなりで悪いんですけど、皆月君ってお兄さんとかいます?」

「に、兄さん? 妹ならいるけど?」

「そ、そうなんですか…」

「う、うん」


「「……」」


 2人の間に沈黙が訪れる。




 キーン コーン カーン コーン


「あ、もう授業の時間だね。じゃあ、もう私行くね」

「う、うん」

 俺が言うと、氷川さんは保奈美先生に挨拶し、保健室から出て行った。



 な、何だったんだ?


「あ、そう言えば皆月君」

「は、はい!」

 氷川さんがドアから顔だけを出して、此方を見てくる。僕は顔を出そうとしたが、素早く布団の中に入る事で事なきを得た。


 ふぅ。危ない、危ない。

 僕は布団の中で一息つく。


 そして氷川さんから、ある一言が言われる。


「職員室に行きましたか?」



 ん? …あ、そういえば先生のとこ行くの忘れてた。



 僕は放課後に先生に放送で呼ばれると、2時間程マンツーマンで勉強した。


 ハッキリ言って簡単だったけど、せっかくの寝る時間がなくなったのは痛かった。

 寝ないだけで疲れは2倍に感じる。今日に関しては授業中にも寝れなかったから、4倍は疲れた。



 そして保健室で何故氷川さんが、僕に兄がいるのか聞かれたのかは、今日の夜分かる事になった。






「す、すみません。この病院で昔、恐らくなんですけど、マジックドクターさんに手術して貰って…。お会いする事はできませんか?」

「す、すみません。あの方の素性はトップシークレットでして。一般の方には開示できません。」

 受付に氷川さんの姿が。




 …嘘でしょ。

 僕が、氷川さんの姿を遠目で見て呆然としていると、氷川さんが話が終わったのか此方を振り返る。



「あ、あれ? 皆月君ですよね? 何でこんな所に?」

「い、いや、ちょっと持病があってね。診察に来たんだよ」

「そうなんですね。…あれ? でももう診察時間は過ぎてるんじゃないですか?」

 氷川さんは俺を見つめる。


 や、やばっ!?

 ど、どうにかして誤魔化さないと!!


「あ、えっと、それは冗談で、親が医者をしててさ、お弁当を持って来たんだ! ほら!」

 自分の持ってきた、いつものお弁当を見せる。



「あ、そうだったんですね!」

 氷川さんは笑って答える。


「じゃ、じゃあ僕行くね!」

 僕はその沈黙に耐えられなくなって、そこから離れた。




「あの目…って?」

 彼女は彼の背中を見ながら首を傾けた。






 翌日 朝の教室。


「おはようございます、皆月くん」

「お、おはよう」

 僕は、椅子に座り目元を手で隠しながら挨拶する。


「昨夜はどうだったんですか? 患者さん達の様子は?」

「……んー、どうだろう? 父さんなら分かると思うけど」


 ……氷川さん、なんでそんな事聞いてくるんだろう。


「皆月君って、目元カッコいいですよね」

 氷川さんが突然そんな事を言ってくる。


「め、目元?」

 目元がカッコいいなんて初めて言われた。って、あれ? まだ目元は見せてないはず…。


「うん。病院で会った時にちゃんと見たんですけど…」

「あっ!?」

「…なんでそんなに驚くんですか?」

「い、いや、別に」


 そ、そうか。病院で会った時、僕は目を隠してなかった…。ゆ、油断してた。


「…皆月君って誰かに似てるって言われないですか?」

「え?」

 氷川さんが懐疑的な目で僕に質問してくる。


 似てる芸能人か…まぁ、ジャニーズ顔とは言われるけど。


「例えば…マジックドクター、とか」

 氷川さんの顔が近づく。


 ッ!!?


「…マジックドクターってあの? 素性とか分からないんだよね? そんな事言われる訳ないじゃん!」

「そうですよね…」

 氷川さんの顔が落ち込んだ様な表情を見せる。


 あっっっぶねっ!!!?

 まさかその名前が出るとは思わなかった…。めっちゃ動揺したけど、まだ会って2日目だからかな? バレなかったみたいだ、よかった。


「あとまだ聞きたい事が



 ガラガラガラ




「はーい、早く席につけー」

 先生が入ってきて、氷川さんからの質問は途切れる。


「ちっ」


 え、なんか隣から今舌打ち聞こえたんだけど。

 僕は隣を見る。


 ニコッ


 そこには笑顔の氷川さんが。



 …き、気の所為か。

「面白い!」

「続きが気になる!」

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