第2話
「ふう、もうこんな時間か」
ステータス画面を見ると、時計は午後6時を指していた。
仕事の関係上、うちの両親はあまり家に帰ってこないため家事は基本俺の担当だ。
俺には一つ下の妹がおり、6時半には塾から帰ってくる。そろそろ夕ご飯も作らないといけないの俺は俺はゲームからログアウトすることにした。
「ただいまー!」
「おう、お帰り」
台所で肉を炒めていると、玄関から馬鹿みたいに大きな声が聞こえる。
「今日も塾疲れたー!遥兄、お腹すいたー!」
そう言いながら俺の妹、黒川 雫がソファーにダイブする。
ちなみに、俺と雫の間に血縁上の繋がりはない、実を言うと俺の母親はバツイチであり、俺が生まれたばかりの時に離婚したらしい。その後いまの父親と再婚し、その父親の連れ子が雫らしい。
お互い今は忙しいみたいだが、二人の関係自体はかなりラブラブなので俺も特に気にしていないが。
「ねー、まだー?」
「まだだ、高一なんだからもう少し我慢しろ」
「はーい」
雫がへそを丸出しにして寝転がっている、兄としてはもう成長成長ほしいものだ。
え?「雫に料理を作らせたらどうだ?」
はっ、なら聞くが目の前に点火したら爆爆発する爆弾があるとして、自ら点火しに行くのか?俺は行かない。
「ほらできたぞ」
「うわぁー、美味しそう!」
今日の夕ご飯はオムライスだ、我ながら上手くできたと思う。
「「いただきます」」
口の中に卵の甘みと鶏肉の旨味が広がる。うん、うまい。
雫の方を見るとこちらも美味しそうに食べている、もう少し多めに作っても良かったかもな。
「「ごちそうさま」」
俺と雫は、あっという間にオムライスを完食した。
「さて、今日もやるか」
朝ご飯と雫の弁当を作り、1日分の宿題を済ませた俺は再びCSOへとログインした。
ハルカ
職業:弓使い
レベル:7
HP:62/62
MP:37/37
筋力:26
耐久:17
俊敏:30
幸運:19
スキル
弓術:LV2
隠密:LV2
昨日3時間ほどレベル上げに費やしたおかげで、レベルは7まで上がっていた。
俊敏が耐久の2倍ある、もし見つかった時は攻撃を受けるのではなく避けた方が良さそうだな。
今日の目的はレベル上げではな『錬金』スキルの獲得だ。
弓使いが使う矢には、大きく分けて二つの種類がある。
一つ目は普通の矢、魔法とは違いMPを消費せずに遠距離攻撃を放つことができる。
しかしこの矢は消費アイテムであり、回収することも可能だが、折れてしまうと消失する。
二つ目は魔矢と呼ばれる物で、こちらは命中した際には魔法属性ダメージとして計算される。さらに、消費したMP分威力を高めることができ、属性を付与する事もできる。
だが、当然これはMPを消費し、回収することも出来ない。また、中には魔法が利かない魔物や物理攻撃が利かない魔物もいるようなので、どちらか一方だけに頼るわけにも行かない。
そこで俺は思った「なら自分で矢を作ろう」と。
矢を生産するには『鍛冶』スキルか『錬金』スキルを獲得する必要がある。
これ自体は対応するスキルブックを使用する事で獲得できるが、これを買おうとするとかなりの費用がかかる。
そこで俺が狙うのが魔物からのレアドロップである。
この街を東から出て真っ直ぐ進むとオークの出現する森にたどり着くらしい、その森をさらに進むとオークメイジという魔物が出現し、そいつを倒せば稀に『錬金のスキルブック』が手に入るという。
「さて、じゃあ行くか」
昨日とは違い今日は街を東に進む、昨日通った南の街道は食べ物の屋台が多かったけど、こっちは住宅街といった感じだ。
そんなことを考えながら俺は街を出た。
最近身体が重い。
牛丼食べたい。