ポークソテーと赤ワイン
王様「我輩を満足させる料理は完成したか?」
料理人「はい。王様が今まで絶対に口にされた事がない食材をご用意致しました」
王様「言っておくが我輩はありとあらゆる料理を食べてきたぞ。はっきり言って、口にした事がない食材の方が少ないだろう」
料理人「いいえ、これだけは幾ら王様でも口にされた事はない食材だと確信しております」
王様「面白い。持ってきてもらおうか。ただし、我輩が満足しなければ、貴様は死刑だぞ」
料理人「分かっております」
王様「良かろう」
料理人「お料理はこちらになります」
王様「な、な、何だこれは!」
料理人「ポークソテーと赤ワインでございます」
王様「こんな料理飽きるほど食べてきたぞ!貴様、我輩をバカにしているのか?」
料理人「とんでもございません。是非一口お食べ下さい。必ずやご満足して頂ける事でしょう」
王様「貴様は我輩が絶対に食べた事がない食材だとぬかしたな」
料理人「見た目に騙されてはいけません。これは特別なお料理になります」
王様「良いだろう!だが我輩の舌を満足させられなければ、この場で貴様を殺してやるからな」
料理人「ではまず赤ワインからお飲みください」
王様「どれ...色味も悪くない、香りもまずまずフルーティーだが、それでいて渋味が強い。熟成が足りんな。こんなワインでは我輩は満足しないぞ」
料理人「ではポークソテーもお召し上がりください」
王様「これに貴様の命が懸かっているわけだ。どれ......」
料理人「如何でございますか?」
王様「貴様、正気か?どこが特別な料理だ!肉も味付けも二流ではないか!とても食べれた代物ではないぞ!我輩を虚仮にした罰だ!貴様を死刑に処す!」
料理人「王様、特別なものは赤ワインの方でございます」
王様「何?どういう意味だ?あの様なワインのどこが特別なのだ!」
料理人「あちらには最上級の猛毒を含ませてございます」
王様「な、何だと?き、き、貴様」
料理人「王様の為に特別に取り寄せました。グルメで暴君な王様に食べて頂くのは、やはり誰も口にした事がない猛毒しかないと考えました。国の為、民衆の為でございます。どうでしたか?最期のメインディッシュ楽しんでいただけましたでしょうか?」