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救済、或いはダークポップ・スカルレィディオ・ガール

作者: 金魚運動

一、

 あるところに人よりやや気が鬱ぎやすい女子高生がいた。名を郁奈といった。郁奈は平日は学校に通い、帰ってはその日出された課題を夜遅くまで片付けていた。そして休日が来るたびに自分の味気ない灰色の生活に対する疑問と不満から気が鬱ぐのだ。

 決して郁奈は人より学業をこなす能力が劣っているというわけではない、むしろ秀抜していたといってもいい。

 ただ、郁奈は自尊心が高くそれ故に半端に仕上げた課題を提出することができなかった。郁奈も自分で要領が悪いと自覚していたがどうすることもできなかった。

 そんな中、ある日郁奈に恋人ができた。男の名は圭といった。圭はそんな郁奈の性質を心痛してたびたび矯正できないかと声をかけた。


「郁奈さんはもう恋人ができたんですから、もうそんな憂鬱になる理由がなくなったんじゃないですか?」

「いえ、休日が楽しいとどうしてもその分、平日の無味乾燥な生活に耐えられなくなるんですよね。確かに圭さんと出会って幸福の絶対量は増えてるけど日曜日から月曜日までの気分を微分すると凄いマイナスなんですよ……。こんなことなら心を殺して死にたい死にたい言いながら灰色の生活を送ってたほうがよかった。あまりの加速に心がついていけない……」

「そんなこと言わないでくださいよ。僕は郁奈さんと付き合えてよかったと思ってるんですから」

「それ本当かな……? 実は後悔してるんじゃないですか? 圭さんと話すのは楽しくて楽しくてしょうがないけど、圭さんはどうなんだろうと別れたあとはいつも家で自分の一挙一動を反省して死にたくなります。嫌いなら言ってください」

「嫌いだったら付き合ってないですよ」

「ああ、また愚痴言っちゃった。早く圭さんに甘える癖を直さないとな。圭さんが優しいからいけないんですよ。私思うんですけど今私に必要なのはわかるわかるつらいよねと共感をしめして優しくしてくれる人よりも甘えるなと叱りつけてくれる人じゃないかな。優しくされればされるほど自分が駄目人間になっていくのを感じる」


 一事が万事このような調子なので圭も郁奈の気が鬱ぎやすい性質を直すのは長丁場になりそうだな、と話をするたびに思った。



二、

 あるとき圭は郁奈に対してこのようなことを言い始めた。


「昔、中国には宦官っていうのがいてつまりそれは去勢をした役人のことなんですよ」

「圭さんはその話を女性相手に始めて何がしたいのかな。ひょっとして羞恥を覚えさせてその反応を見て楽しみたいのかな……圭さん」

「違いますよ。だいたい郁奈さんはこの程度の話で動揺したりしないじゃないですか」


 軽蔑したような声に全く取り合わず圭は笑った。


「失礼な、私純情ですよ」

「はいはい。彼らはそれで皇帝などに仕えるものとして非常に有用な存在として扱われたらしいですけどこの話を聞いて僕はちょっと関心しちゃったんですよね。僕なんかは身体があるのが煩わしくて煩わしくてしょうがないのに、性欲から解放された人間が後漢時代の中国にいたんだな、って思うと」

「圭さんがよくわかないこと言ってる……怖い」

「僕なんか人間は理性の生き物だと思ってますから、肉欲から解放されるのにかなり憧れます。早く Google さんあたりが人格をネット上にアップロードできるサービスを始めませんかね。そしたら僕けっこう本気で喜んで身体を捨てると思うんですよね」


 圭はそれからもたびたび身体を捨てたいといったようなことを話した。郁奈はそのたびに共感を示さぬままそういう考え方もあるのだなと受け入れた。


 

三、

 ある時二人は二時の電車に乗って遊びに出かけた。電車は全員が座席につけるというほど人がいないわけでもなかったが、決して満員電車というわけではなかった。

 座っている誰かの近くに立てばその人物は二人が目的地につくまでのいずれかの駅で降りて座れるかも知れない、しかし二人揃って座れる確率はごく僅かであり、またそこまで長距離の移動でもないということもあって二人はドアの近くに立つことを選択した。そのドアは目的地に着くまでの間、一度も開閉しないことを二人は知っていた。

 一通り二人が最後に別れてからどのようなことが起こったか、あるいは最近読んだ本などの話をし終えた時ふと二人の間に沈黙が生まれた。圭はその沈黙を無理に話題を探す必要のない心地のいい類の沈黙だと捉えていたが郁奈は自分が何か失礼なことを言ったから黙ったのではないか、あるいはこの沈黙によって相手は退屈を感じているのではないかと怯えていた。

 電車が途中駅に停車したさい郁奈は一、二ミリメートル程度の羽虫がどこからから飛んできて自分のすぐ前のドアにとまるのを見た。そして電車が動き出すとドアと車両とのスキマから吹きこむ空気にうたれて羽虫は震えだした。

 それはドアに手を当ててみて初めてその存在に気づくようなドアの周囲1センチメートルにだけ吹くような極わずかな範囲にだけ吹き込む風であったが、それだけに強く羽虫はその場に止まるだけで精一杯のように見えた。

 その震える様子が如何にも哀れに思えて郁奈は風から羽虫を守るようにドアに手の側面をあてひさしを作った。すると羽虫は震えのを止めた。

 ふと気になって郁奈が圭のほうに視線をむけると圭は完爾とした厭な笑みを浮かべていた。


「なんですかー。何か文句でもあるんですか?」

「え?」

「にやにやと笑っていやらしいなー、もう」

「いやいやいや、完全言いがかりですよそれ。郁奈さん優しいなー、って思って見てただけですよ」

「え、これ優しさなんですか?」

「違うんですか?」


 圭の言葉に郁奈はどうして自分が違うと思ったのかふと考えてみる。


「そうか、私は優しさって人が感情移入しやすい生物に対して発動するものだと思ってたんだ。哺乳類とかならまだ優しくできる気はするけど鳥や虫や無機物は何か違うって気がする」

「つまり相手の気持ちになれるかなれないか、っていうのが条件の違いなんでしょうか」

「ああ、多分それです。私は今確かに羽虫に対して哀れみを覚えて風から守りましたけどそれは開発計画が途中でストップして建てられたはいいものの何年も使われず寂れた建物を見たときや車にぶつけられて破損した電気仕掛けの交通整理人形などの無機物を見たときに覚える哀れみと一緒で感情移入してるわけではないんですよね」

「そしてそれを郁奈さんは優しさと呼ばないと、なるほど」


 電車が途中駅の一つに止まった。すると羽虫は飛び立ってどこかへ消えてしまった。その様は日々、悪意に怯え無関心に傷つき優しさに心苦しくなる自分に比べて如何にも自由に思えて多少の嫉みを覚えた。


「ああ、そっか。私圭さんの言うこと少し分かったかも知れない。身体があるから駄目なんじゃなくて身体の中に自意識なんてものが入ってるから面倒だってことなのかも。羽虫とかは身体しかなさそうで楽そうですよね」

「羽虫だってもしかしたら毎日"どうして自分は生きてるんだろう"とか"人の目を気にして本当の自分を表現できてない"とか苦しんでるのかもしれませんよ?」

「本当の自分」郁奈は笑い零れた。「圭さんそろそろ議論において〝その可能性は著しく低くても否定できないから否定するべきではない〟という主張を振り回すのやめましょうよ。これまで発見された〝ほぼ確実に正しいと思われている知見〟から考えても羽虫ほどのサイズの生物にそんな高度な思考が宿ってるだなんてあり得ません」


 しれっとした態度で郁奈は主張する。圭はそれが冗談に対してあえて本気で返すという類の冗談だと知っていたので気を悪くすることもなく笑って聞き流した。

 やがて電車は目的の駅に止まり二人は下車した。二人はその後数分間歩き活動写真を見た。見終わって時間がまだあるので郁奈の提案で河原を歩こうということになった。

 手を繋ぎ河原を歩くという状況にひどく心が惹かれると郁奈は主張した。郁奈はそういった古典的なロマンティックさを好むところがあった。

 遠くに見える河に掛かった橋の上を走るドップラー効果によって山並みに音程を変える車が出すエンジン音と水の流れる音、そして二種のリズムが混ざった砂利を踏む音だけが耳に入った。

 しばらく無言で歩きそこでふと郁奈は自分が手に軽い鈍痛を覚えているのに気づいた。原因を考えて、どうやら指と指を絡ませる繋ぎ方に問題があるらしいことに気づいた。圭の女性に比べて太い指が郁奈の指の一本一本の間に挟まっているために許容量を超えて指の股を開かなくてはいけなかった。

 郁奈は少し考え我慢することに決めた。指を絡ませるような手の繋ぎ方をしたいと望んだ自分からすぐに手を離すのは如何にも軽薄に感じられたし決して我慢できないというほどの痛さがあるわけでもない。

 ただ気に入らないことがあるとすればそれは自分が痛い思いをしているということを圭が想像だに歩いているということであった。


「そういえば郁奈さんは河原で変わった形の石を見つけて持ち帰るのが趣味でしたね」

「確かにたまにやりますけど趣味と言われるととたんに私が文化から離れた不思議ちゃんみたいですね……。普通に私の趣味は読書ですよ」

「言われてみると石を持ち帰るのが趣味って不思議ちゃんっぽい。なんか怪しい人みたいですね」

「私の習性を怪しいって言われた……死にたい」

「自分で言い出したんじゃないですか」圭は笑った。

「当事者が言うのはいいけど圭さんがそれを言うと私を否定してるニュアンスにしか聞こえない」

「それに僕不思議ちゃんって好きですよ。なんとなく身体と離れてるイメージがあって素敵じゃないですか」

「出たよ圭さんの身体嫌い……どれだけ身体が嫌いなんですか」

「だって煩わしいじゃないですか。性欲だとか疲労だとか。郁奈さんが電車の中で言ったようにそれしかなければまた違うんでしょうけど。僕はごちゃごちゃと色々考えてるわけでやっぱり身体は面倒ですよ。身体から離れてずっと本だけ読んでこの思考を尖らせていくことができたら、それは最高に愉しいだろうなぁ」

「気持ちはわかるような気がするけどそれを認めちゃったらいよいよ自分が駄目人間になる気がして認めたくない……」

「なんでですか」

「だって、世界は思考で動いてるわけじゃないじゃないですか。社会から見たらそんな考えきっと駄目人間ですよ」

「はっきりと言うなぁ。まあ、それは郁奈さんの言うとおりだと思いますよ。やっぱり Google さんに期待するしかないないなぁ、"Google人格"とかそういうサービス」

「圭さんは Google に期待しすぎでしょ」


 上記のような会話をしながらも二人はやはり身体の生み出す欲求にのっていずれは身体を重ねることになるのだろうな、と思っていた。それは期待はあるものの同時にとても汚らわしく厭なことのように思えた。

 しかし、結局二人が情を交わすことはなかった。その晩、圭は某国の諜報員とヤクザと警官隊の銃撃戦に巻き込まれて死んでしまったのだ。

 郁奈は圭の亡骸を抱いて三日三晩泣いた。



四、

 ここからこの物語はファンタジーとなる。



五、

 泣いて泣いて泣いて泣いて、少女がもう一生分泣いたかと思ったとき今は亡き恋人の声を聞いた気がした。


「■■■■泣くことな■■何一つないんだよ、■■やく僕■ずっと望ん■■■■身体か■■解放■■■■■」


 それはノイズが走ったような声で全ての言葉を聞き取ることはできなかったけど、確かに今は亡き恋人の声だった。そこで少女は気づいた。身体を失って世界に偏在するようになった恋人の声は偏在するが故に小さく少女には聞き取ることができなかったのだ。

 それを聞き取ることができたのは全方位から聞こえてくるわずかな声を恋人の頭蓋骨の丸みが集めて反射させているからだと。

 少女は頭蓋骨にこびりついた腐肉と蛆虫をお風呂で洗浄した。すると恋人の声ははっきりと聞こえるようになった。少女は幸せだった。

 そして、少女は頭蓋骨を持って歩くようになった。ダークポップ・スカルレィディオ・ガールの誕生である。




 頭蓋骨は語る。


「やあ、ダークポップ・スカルレィディオ・ガール。どうして人は死ぬのが怖いのか知っているかい?」

「いいえ、知りませんね」

「それはね、死ぬのが怖くないと子孫を残す前に死んでしまうからだよ。昔は死が怖くない人がいっぱいいたんだ、彼らは英雄と呼ばれた。しかし、彼らはみんなみんな子孫を残す前に死んでしまうから、今地球上に残ってるのは死にたくない人類の子孫ばっかりなんだ」

「なぁんだ、そんな簡単なことだったんですね」

「悲しむからどうだとか、神がどうだとか、社会がどうだとか、全部そんなものは自分が臆病者だと認めたくない人たちが後付でつくった理屈なんだなぁ。だかダークポップ・スカルレィディオ・ガール」

「なんですか?」

「君も身体に苦しいことがあったら僕のように好きなタイミングで身体を捨てていいんだ」

「うん、ありがとう。苦しくなったらそうしますね」



 ダークポップ・スカルレィディオ・ガールはいつも頭蓋骨を抱いて街を歩いた。春は頭蓋骨を抱いてベンチに座り花見をした。夏はプールで頭蓋骨を抱いたままウォータースライダーを滑った。秋は紅葉を見に頭蓋骨を抱き山を散策した。冬は公園で雪だるまを作って仕上げに雪だるまの頭に頭蓋骨を乗せた。少女は幸せだったのだ。




 頭蓋骨は語る。


「やあ、ダークポップ・スカルレィディオ・ガール。人生はどうして苦しいか知ってるかい?」

「いいえ、知りませんね」

「それは身体と自意識と社会が同じ場所に置いてあるからだよ。身体の欲するがままに生きるには人の社会は複雑すぎて、社会の欲するがままに生きるには自意識が邪魔で、自意識はことあるごとに言うことを変える社会と抗えない力で自意識を無視して主張を通そうとする身体に苛められて隅っこで震えているんだ。だからダークポップ・スカルレィディオ・ガール」

「なんですか?」

「君は君の幸せのために身体と社会を切り捨てていいんだ。幸せのために努力する権利は誰でももっているからねぇ」

「うん、ありがとう。切なくなったらそうしますね」



 ダークポップ・スカルレィディオ・ガールは頭蓋骨とのデートを続けた。ノドが乾いたりお腹が空いたりするとコンビニに入ってチョコレートとジンジャーエールを買った。そればっかり食べていたのでいつしかダークポップ・スカルレィディオ・ガールの汗はチョコレートとジンジャーエールの臭いがするようになった。

 そしてすれ違った人は必ずチョコレートとジンジャーエールが食べたくなってこの年、チョコレートとジンジャーエールの売り上げは急上昇してブルボンと明治とコカ・コーラを喜ばせた。少女はずっとずっと幸せだった。



 頭蓋骨は語る。


「やあ、ダークポップ・スカルレィディオ・ガール。人生はどうして苦しいか知ってるかい?」

「身体と自意識と社会が同じところに置いてあるから、でしょう?前に聞きましたよ」

「その通りだ。自意識は本来自由なはずのものなのに、身体があるせいでまるで過去と同じか連続してないといけないものだと決めつけられてしまっているんだ。カバに人権を認めろと主張している人間が翌日カバを大量虐殺することはなんの矛盾もないことなのに、何故だか社会はそれをおかしいというんだよねぇ。詩人は一夜で革命家になるし、学徒は一時間で猿になるし、少女は一秒あれば大人になる。それが自然なことなのにねぇ。だからダークポップ・スカルレィディオ・ガール」

「なんですか?」

「君は過去の君を好きなタイミングで廃棄していいんだ。犬が死んだ悲しい記憶があるとしよう、そんなものは君の犬がマタンゴ星と地球の親交のためにUFOに乗ってマタンゴ星に飛び立った記憶と差し替えてしまえばいいんだよ」

「うん、ありがとう。悲しくなったらそうしますね」



 そしてある冬、ダークポップ・スカルレィディオ・ガールは倒れた。そのままぼんやりしてれば死んでしまうことをダークポップ・スカルレィディオ・ガールは知っていたが怖くはなかった。むしろ嬉しかった。少女は頭蓋骨に救われていた。少女は生涯幸せに過ごしたのだ。



 すると死にそうな少女を見て天使が降りてきた。


「やあ、ダークポップ・スカルレィディオ・ガール。これから貴方は天国に行くことができます。でも身体に縛られたままじゃ天国に行くことはできないのでその身体と、頭蓋骨は捨ててもらいます。よろしいですね?」

「それはおかしいですよ。人は死んだら世界に溶けるんです。そうやって生きてる人とは連絡が取りづらくなるけど微細な音を集める手段さえ持っていれば好きにお話しすることができるんです」

「かわいそうなダークポップ・スカルレィディオ・ガール。でもそれは貴方が恋人が死んだ現実を受け入れられないから作った妄想なの。貴方の恋人も天国で貴方を心配していましたよ?」

「馬鹿なことを言わないでください。私の恋人はずっと私とデートをしていたので心配するわけありませんよ」

「ダークポップ・スカルレィディオ・ガール、私が貴方を救済しますから。さあ、頭蓋骨を地面に置いてください。私が貴方を天国につれていきます」


 その救済という言葉を聞いた瞬間、黒くドロリとしたコールタールのような怒りがわき上がった。



「救済! 救済! 救済しますからだと!? なんと傲慢な言葉なことか!貴様らは最低の殺人者だ! 貴様らは死んでから天国という救済を持ってくる! 救済など知らないまま懸命に懸命に生きた人たちの人生を殺す! それもこれからの長い間天国で過ごせるという餌で自分の人生を自分で否定させる! この世で最も恥ずべき最低の殺人行為だ! 死にたくないからみんなみんな懸命に生きている!人もミミズだってオケラだってアメンボだって懸命に死ぬまでの間生きた! その人生を天国という救済で台無しにするのが貴様らだ! その最低の殺人行為に救済という名前をつける傲慢さを恥じろ! 私はすでに救済されてる! この空っぽの頭蓋骨に救済されている! それを後から出てきて否定するな!私のこれまでの人生を無意味にするつもりか!? 私は私の信じる優しい世界に救われている! 私の救いはこの頭蓋骨の中にしかない! 私の前から消えろこの強姦者ども! 全員死んでしまえ! 一人残らず地獄の業火に焼かれてしまえ!」



 ダークポップ・スカルレィディオ・ガールが喋り終える頃には天使達は全員消えてしまっていた。

 そしてダークポップ・スカルレィディオ・ガールは頭蓋骨を捨てられなかったために天国にはいけなかった。

 さて、天使はダークポップ・スカルレィディオ・ガールが死に際に見た幻だったのか、それともスカルレィディオのほうが幻で天使が本物だったのか、あるいは恋人が死んだところから全部ダークポップ・スカルレィディオ・ガールの妄想だったのかも知れない。

 それでもダークポップ・スカルレィディオ・ガールは幸せだった。幸せだったのだ!



 そしてダークポップ・スカルレィディオ・ガールが死んで、チョコレートとジンジャーエールの売り上げは元に戻った。明治とブルボンとコカ・コーラ社とアサヒ飲料の人間はたいそう悲しんだという。


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