表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
付き馬稼業  作者: 新・ドラドラ改
3/4

2つの顔を持つ男 第3話

 由香が帰った後、慎二郎は明日香を呼ぶ。


 「明日香。早速だが、仕事だ。この画像の男について、一寸調べてくれないか?」と、彼は先程由香から転送してもらったメール画像を明日香に見せる。


 「まー、軽薄を絵に描いたような感じの男ね。で、この軽薄男の名前は?」


 「佐伯陽一、話によると伍菱商事の営業三課に居るそうだ。」


 「なるほど・・・分かった、調べてみる。」


 そう言うと、彼女は店の奥に引っ込む。彼女と入れ替わりに、今度は大柄の男が入ってくる。金髪に染めた短髪、厳つい顔にうっすらと生えた顎鬚、筋肉質の引き締まった体をバーテンの制服に包んだこの大男の名前は武山隼人。慎二郎の友人で、勿論彼も「付き馬」チームの一員だ。名前だけ見ると日本人だが、実は彼は日本人と韓国人のハーフだ。


 「何や、慎二郎。仕事かい。」と、大あくびしながら関西弁で訊ねる隼人。東京よりも大阪での生活が長かったせいか、東京に移り住んだ今でも関西弁が抜けない。まあ、これも彼の個性の1つであるが。


 「そうだ。もっとも、今回に関してはお前の出番はないな。ま、そういう場合はオレの代わりにこの店の番でもしていてくれ。」


 「殺生やな。まあ、ええわ。その代わり、ワイの出番があるようなら、すぐに呼んでや。最近、腕が鈍って仕方がないんや。ショバ代毟り取ろうとするアホなヤー公も最近減ったしな。ま、フルボッコにされる事分かってて、来るアホも来んけど。」


 そう言いながら、隼人はシャドーボクシングを始める。高校時代にボクシングで国体優勝経験のある彼は、今でも週2回はジムに通って体を鍛えている。そんな彼のこの店での役割は「用心棒」、みかじめ料と称して金を毟り取ろうとするチンピラやヤクザを、少々強引な方法で店から出て行かせるのが彼の仕事。それは裏稼業の方でも変わらない。


 「ぼやくな。お前の力が要る時は、必ず来る。その時まで、その力は取って置く事だ。ほらよ、眠気覚ましだ。」と言いながら、慎二郎は傍に置いてあるバーボンのボトルを投げ渡す。隼人はそれを受け取ると、栓を開け、ラッパ飲みで一気に飲み干す。


 「ありがとさん。やっぱり、目覚めには味噌汁よりも酒やな。ほな、店番替わるわ。」


 隼人はそう言うと、慎二郎の代わりにカウンターに立つ。そして、慎二郎は明日香のいる部屋に向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ