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死人、見つける

「さてと、錠も外したしそろそろ脱獄しよっか」

「そんな気軽に言いますけどどうするんですか?鍵なんてここにありませんよ?」

「まぁ牢屋から出るのは簡単なんだけどさぁ。そこから先がちょっとどうしようかなって。フィリアはどうやって連れてこられたか覚えてる?魔族がまだここにいるってことはフィリアが来た時と同じ移動手段が残ってると思うんだよね。あいつらもここで死ぬつもりはないだろうし」

「あ、はい。私は誘拐された後、転移陣を使われて、気づいたらここにいました。詳しい陣の場所はわかりませんが…」


フィリアが申し訳無さそうにそうフラムに伝える


「へぇー転移陣ねぇ。この世界にはそんなのまであるのか。いいなぁ便利そうで」


残念ながら健の生きていた21世紀にはまだどこ○もドアは開発されていなかったので一瞬で移動できるものには憧れる


「よし、じゃあ適当に歩き回ってその転移陣を探そうか。あ、フィリア。転移陣は使えるよな?」

「はい!大丈夫です!」

「よし、それじゃあとりあえずここから出るか。じゃあはい手だして」

「はい?」

「ほら早く。握手握手」

「あーなるほど!これからよろしくお願いしますの握手ですね!はい!お願いします!」

「別にそーいうわけじゃねぇんだけど…まぁいいや」


フィリアは誤解しつつも差し出されたフラムの手をギュッと握る。あー女の子の手やわらけー幸せー


「さて、絶対に手離すんじゃねぇぞ?」


(【潜地】)


フラムがスキル名を思い浮かべると沼垂の体がズブっと音を立てて地面に沈んだ。


「きゃっ!?」

「ほら暴れんなって。俺から離れたら生き埋めだからな?」


そう忠告するとバタバタしていたフィリアはすっと静かになったが代わりに手を握る力が気持ち強くなった気がする。

地上から2メートルほど沈むと沈むのが止まり、足もつく。足がついて安心したのかフィリアの手が緩まる。

離すと掘り起こさなきゃいけなくなるのでフラムはフィリアの手をギュッと握り直して真っ暗な土の中をてこてことまっすぐに進み、5歩くらい歩いたところで止まる。


「おいフィリア。俺が先に出るから俺の足でも握ってろ。片手じゃ出るのきついから」

「分かりました~でも真っ暗でよく見えないんですけど…フラムさんの足どこですか?」

「あーほらこれだこれ」


フラムは握っている方の手を誘導し、自分の足を掴ませる。


「はい!それじゃあしっかり握ってますので頑張ってください!」

「お、おう…」


頑張るも何も日常的なことだからなぁ…。

フラムは自由になった手を上に伸ばし、地面にかけると手の力で体を持ち上げる。ちょうどプールから上がるような感じで。


ゴン!!


「あ?」


どうやら歩く距離が足りなかったようで、フラムは鉄格子に頭をごっつんこした。


「…あーフィリア。悪いがあと2,3歩歩こう」


フラム達は女の子が男の子の足を掴んだまま移動するという、地上でやったら人を呼ばれそうなことを土の中で行うハメになった。


移動が終わり、再挑戦すると今度は何にもぶつからずに片足を土に入れたまま体を出すことが出来た。

フラムは手を土の中に突っ込み、自分の足を掴んでいる手を掴むと全力で引っ張る。

するとまるで大根を引っこ抜くように土の中からフィリアが引きずり出された。


「出られたのは嬉しいんですけど…なんか扱いが雑です…」


そんな呟きが聞こえた気がしたが、気のせいだろう。多分


牢屋を抜けだしたフラム達は目標の転移陣を探すべく、牢屋のあった洞窟の中を歩き始めた

時々見回りの魔族と鉢合わせそうになったが、【潜地】を使ってやり過ごしていた。

洞窟の中にも関わらず、歩いてきた壁にはいくつかドアがあった。

そして二人はあるドアの前で立ち止まった。


「主、このドアの先から魔力が漏れだしておるようじゃ。転移陣があるやもしれんぞ?」

「そうだな。フィリアもそう感じるんだよな?俺はそこら辺よくわからないんだけど」

「感じますよ。それもだいぶ強い魔力です。これを感じられないなんてフラムさん鈍感にも程がありますよ」


この子いっつもなんか一言多くない!?


「そ、そうか。じゃあ入ってみるか。何があるかわからないから用心しとけよ?」


そう言って俺はそのドアを開けた



「いらっしゃぁ~い♪」



「っ!?」


ドアを開けると目の前には凶悪そうな笑みを浮かべた女がまるで俺たちが来るのが分かっていたかのようにドアの前に立っていた。

頭に角が生えている。魔族だ。

女がスッと右の人差し指をフラムに向ける。それと同時にフラムはとてつもない悪寒を感じて反射的に飛び退く。すると直後にフラムのいたところに黒い球体が発生したが、すぐに消滅した。


「あら、勘がいいのね。当たっていたらその玉と一緒に消滅していたのに」

「おいフィリア!逃げるぞ!」


しかしフィリアは動かない


「おいどうしたフィリア!」

「………アルク?アルクなの?」


フィリアは部屋の中の一点を見つめ、そう呟いた


フィリアの視線を目で追うと、そこには上から吊るされて体には何か良く分からない管のようなものが無数に突き刺さっているがかろうじて行きはあるようだったがいつ死んでもおかしくないと人目でわかった。


「そういえばまだ実験の途中だったわね…。こんなお客さんが来るんだったらもっと急いでやればよかったわ」

「…っ。………急ぎましょうフラムさん!」


フィリアは感情を押し殺すかのようにそう叫んだ。しかし悔しさのためか怒りのためか、唇から血が垂れている。


「よし、分かった急ごう。ちょっと待ってろ。あ、この袋持ってて。大事なもの入ってるから気をつけてね」


大体状況を把握したフラムはそう返すと持っていた麻袋(ポルタの実入り)をフィリアに渡し、囚われているエルフに向かって全速力で走ると、管を切り落とすためにアスを抜いた。


「まさか逃げずに取り返しに来るとはね…。まぁ結果は変わらないけどね!」


女は人差し指を突き出すと黒い玉を連続で発生させる。


「くそっ」


(【潜地】)


フラムは地中に潜ってこれを回避する。しかし魔族の女もこれを見逃すわけはなかった。


「ほら出てらっしゃいな。」


女がそう言ってフラムが潜った辺りの地面に拳を叩きつけるとバァン!という音とともに地面の直径2メートルの範囲が陥没した。

そこにいたフラムがどうなったかなど火を見るより明らかである。

陥没した大地の表面には赤黒い体液が染み込んでいた。


「フラムさぁぁぁぁん!!」


フィリアの絶叫が洞窟内に響き渡った。

フィリアは思う。私のせいだ。さっきあそこで私が立ち止まってしまったから。逃げるのに精一杯な私たちにはアルクを抱えられる余裕などあるはずがないのに。

女は既にフィリアに目を向けている。次はお前だ、という無言の圧力がフィリアを襲う。そして、そのままフィリアに向かって指を向ける。


その時


「主よ、主が何度どのように潰されようと構わんがワシを巻き込むのはやめてくれんか?別に痛くはないがちょーっと怖いんじゃぞ?」

「戦い中に剣を投げ捨てろっていうのか?残念だな諦めろ我慢しろ。おいフィリア。お前俺があれで死ぬわけないだろーが」


何か耳元で聞き覚えのある2つの声がしたかと思うと持ち上げられるような感覚を覚えたフィリアは気づいたら座り込んでいた場所から移動しており、誰かにお姫様抱っこされていることに気がついた。

誰かとは言うまでもない。フラムだ。


「あのなぁ。さっき俺がなんなのかは伝えただろ?あれくらいで慌てんじゃねぇよ」

「…それでも不安だったんです。心配したんです。そんなこと忘れてしまうくらいに怖かったんです。失ってしまったことが悲しいのくらい当然じゃないですか!仲間なんですから!」


フィリアは涙を流しながらそう声を漏らした。なんか照れるな


「そうか…でもあれは避けられなかったからなぁ。慣れてくれ」

「慣れられませんよあんな気持ちっ!」

「そう言われてもなぁ。俺は戦うの得意じゃないからすぐ傷つくぞ?まぁそんな話をしている場合じゃないんだ。フィリア、あのエルフに付いている管と手錠を切れるか?アスじゃ無理そうだ」

「はい。大丈夫です。切れます。頑張ります」


自分の仲間を助けるための話になるとフィリアの顔が引き締まった。メリハリはつけられる子みたいだ


「よし、じゃあ行くぞ。さっき土から出てきた時に部屋の奥に転移陣っぽいのがあるのが見えた。とっととあいつを回収してずらかるぞ」


フラムはフィリアを抱えたまま、エルフに向かってかけ出した


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