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死人、龍王と会う

ギンの足は速い。それはフラムが【超速】を使っている時に匹敵するほどだ。

そしてその足を持ってすれば飛行する龍族に並走するなど容易いことだった



「それにしても神狼なんて本でしか読んだことなかったけどやっぱ速いんだなぁ。龍族が飛ぶスピードってなかなかのもんだぞ?」


「だろ?俺の自慢の仲間だ。乗り心地もいいしな」


「ワウン」


当然、という風にギンが鳴く


もう魔宮を出て二日目だ。時々休憩は取っているが、日が昇ってから沈むまでほぼ走らせっぱなしだ。今度何かお礼をしなきゃな。



そういえば昨日の夜、アスに【冥王】の詳細を確認してもらった。


【冥王】

『スキル使用中に殺害した者をスキル使用中のみ蘇らせ、それは使用者の従者となる』


らしい。


つまりあれか、殺せば殺すほど敵が減って味方が増えるってことか

確かにこんなスキル世界にいくつもあったらたまったもんじゃねぇな

まぁ対多数用のスキルっぽいし、暫く使う機会はないかな



「そろそろ着くぞ」


レクサスに言われてフラムは顔を上げる。そこには巨大な岩山がそびえ立っていた


「あそこが俺らの住処。龍の霊峰だ。」



岩山の麓に到着する


「この山のどこらへんに行けばいいんだ?」


「ほぼ山頂ですね。足場悪いので気をつけてください」


「………遠いなぁ」


見たところ富士山よりは標高が高そうだ


「なんなら俺らが乗せてってやろうか?」


「ダメだろ。俺はともかくギン達は運べないだろ?」


「あーそっか。じゃあ人呼んでくるわ。そいつら運べそうな人探してくる」


「そんなのがいるのか?」


「いくらでもいるさ。まぁ龍族を舐めんなってことだ。じゃ、ちょいと行ってくる。アイラと待っててくれ」


そう言うとレクサスは頂上に向かって飛び立った。



フラムはレクサスが戻って来るまでやることもないのでアイラと雑談をして時間を潰すことにする


「どうして魔王を倒そうなんて思ったんですか?」


話の途中でアイラにそう尋ねられた。


「俺はちょっと前まではフィリアとアルクっていうエルフの姉弟と旅してたんだ。でもエルフが魔族に目を付けられてな。俺は何も守れなかった。全部失ってしまったんだ。」


「…………」


アイラは何も言えなかった。迂闊に聞いていいことではなかったのかもしれない。

エルフという種族が消滅したのはお父さんから聞いていた。どのような惨劇が行われていたのかも大まかには聞いている。だからこそそれに関与していたらしいフラムに掛ける言葉がアイラには分からなかった。


「俺も必死に戦ったんだけどな、いいようにやられてエルフは全滅だ。情けねぇよな。でもな、一人だけ、俺のいちばん大切な子がまだ俺の手の届く範囲にいるみたいなんだ。だからその子を救い出しに行く。本当に全部失ってしまわないように今度こそ守り抜く」


フラムは拳を握りしめる。


「ごめんなさい、嫌なこと聞いちゃって」


「いいさ。仲間に隠し事なんてしたくないしな」


しかしそれ以降フラムはレクサスが戻ってくるまで何も言わずに遠くをぼんやりと見つめていた



30分ほど経った頃、二匹の龍の影が見えてきた


「待たせたなお前ら。暇そうだったから爺ちゃん連れてきたぞ」


「レクサス、彼がその魔物か?」


一緒に飛んできた龍がレクサスにそう尋ねる


「ああ、コイツがフラムだ」


「よろしくお願いします、お爺様」


「ほっほっほ。礼儀がなっておるの。神狼を運ぶんじゃったか?ほれ背中に乗れ」


おじいちゃんは腰を下ろしてギン達が乗りやすいようにする


「ほらギン、シロ。いけ」


フラムの指示で神狼2匹がその背中に乗る


「じゃあ行くかの」


おじいちゃんはその大きな翼を羽ばたかせて空に飛び立つ

なんともまぁパワフルなおじいちゃんだ

フラムもアイラに乗せてもらい、山頂に向かった



飛び立って2.3分で家が集まっているが見えてきた


「あそこか?」


「はい。あそこが私達の故郷です」


ってことはもう山頂か。飛べるのってほんと便利だな

アイラ達は集落の中心の開けた場所に着地する。一応ここが着地場所らしい


「よっと」


アイラの背中から飛び降りて地面を踏みしめる




「ようこそ龍族の里へ!」






おじいちゃんは人化すると本当におじいちゃんって感じだった。白髪も髭もぼうぼうだ。


「姫様も帰ってこられた!」


「二人共あの魔宮から生還するなんて!将来が楽しみね!」


2人を見つけた人達が彼らの生還を喜ぶ声が里に広がる

そっか、アイラは姫でレクサスは……王子なのか。うわーアイラはともかくレクサスが王子って、似あわねー


里の中には歓喜の声が広がっているが、のんびりとした感じはなく、みんな忙しなくあっちこっちに動き回ってる。


「……なんか忙しそうだな」


「何かあったんですかね?ちょっと聞いてきます。ちょっと待ってて下さい」


アイラはそう言って里の中で1番大きな建物の中に入っていく。恐らくあれが王宮的な感じの所なのだろう



暫くしてアイラが出てきた。その顔は建物に入っていく時よりも真剣な面持ちに見える


「フラムさん……。人族が魔族に宣戦布告したそうです」


アイラはそう告げた




「は?人族ってのは魔族龍族より格下だって聞いたぞ?なんで格上に喧嘩売るんだよ」


「なんでも勇者が召喚されたそうで、魔族を滅ぼす気満々だと」


……あれ?それってもしかして、龍族に協力してもらう必要無くね?

人族が自分から戦争を仕掛けるってことは勝算があるってことだろう。

魔王の体はフィリアのものだし俺がなんとかできる範囲で殺さなきゃいけないけど、有象無象を人族が引き受けてくれるってんなら願ったりかなったりだ。

ただ勇者が俺と共闘してくれるかは怪しいな。俺一応魔物だし。

あーでも不安要素に頼りすぎてもダメだし念のため龍族にも掛け合ってみるか



「分かった。アイラ、龍王に面会は出来そうか?」


「一応聞いたみたら、龍族のこれからを決める会議を今からやるから、それが終わったら連れてこいって言ってました」


「そうか。ありがとうアイラ」


フラムは会議が終わるのをギンと戯れながら待つことにした

待っている間にアイラに匂い消しも貰った。あースッキリした



「フラムさん。来てください」


ギンをモフモフし始めて数時間、ようやく呼ばれた


「りょーかい。じゃあギンはここで待機な」


「グルゥ!」


そしてアイラに連れられてフラムは王宮もどきの中に入った



「貴様がフラムとやらか。まずはわが子らを助けて貰ったこと、礼を言うぞ」


ごついオッサンがフラムにそう話しかけてくる。彼こそがアイラとレクサスの父親、龍王メルデスだった


「勿体ないお言葉」


地球にいた時に見た漫画やアニメを思い出しながらフラムは跪く



「そう固くなるな。別に敬語も要らないぞ?」


「私はお願いをしに参りましたので、この位のことはやらせていただく思います。」


「なんだ固いやつだな。……まぁいい。それで、なんだ頼みというのは」


「はっ。実は私は今回の人族と魔族の戦争に第三勢力として参加しようと思っております。その協力を龍族にはしていただきたく思います」


フラムが要求を口にすると途端、龍王の顔が険しくなる


「……何故戦争に参戦する?」


「今回の魔王復活の際、憑代とされた者が私の知り合いなのです。私はその子を助けたい。その為だったらなんでもするつもりです」


「なるほど。それで龍族の力を借りたいと」


「はい。自分がマナフと魔王、両方を1度に相手にできるとは思っていません。なので龍族には私がマナフを殺すまで魔王を足止めしていただきたい」


「……それは魔王かマナフ、どちらかなら勝てると?」


「その自信がなければこんなこと頼みません」


「なるほど。で?俺らのメリットはなんだ?」


「……これが報酬として見ていただけるか分かりませんが、戦争が終わり次第、私は龍族の駒になりましょう。戦争に送り出そうと、奴隷としてこき使おうと構いません。ただ大きな戦力となることは保証致します」


「……貴様にそれだけの価値があると?」


「一国の王に勝るとも劣らない程度の力は持っていると自負しております」


メルデスはしばらく考え込み、そしてダンっと席を立った


「…………よし。お前、ちょっと着いてこい」


「はい?」


「着いてこいと言っている。早くしろ」


そう言ってメルデスは身を翻す


「は、はい!」


慌ててフラムもその後を追う




フラムが連れてこられたのは訓練場のようなとても広い施設だった

そして龍王は口を開く


「俺がお前の力を見極めてやる。その作戦にもその報酬にもお前が魔王に勝てるほどの力がある事が前提だ。話はそれを確かめてからだ」


「お父さん!?」


アイラが慌てる


「黙ってろアイラ。こいつが欲しているものはことはこういう試練を何度もくぐり抜けるた先にあるものだ」


「……ああ、そうだな。やろう」


そう言うとメルデスは龍化した

その体は漆黒に、大きく、強靭なものへと変化していく



「さて、やろうか客人よ」


「アス、レヴァ。行くぞ」


2人は戦闘モードに入り、睨み合いを始めた

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