死人vs不死鳥
「おいお前ら。お前らは援護に回れ。俺がやる」
龍達に一言告げると不死鳥に向かって駆け出す
「え?ちょっ、フラムさん!?」
アイラが何か言っている気がするが気にしない
(【無玉】)
フラムはカミラから奪ったスキルを複数回発動させる
すると黒い球体が不死鳥の周りにいくつも漂い始める
「ピュロロッ!」
不死鳥は危険を察知したのか逃げようとその翼を羽ばたかせるが一歩遅かった
ギュンッ!っという音ともに黒い球体は不死鳥の体の所々を道連れに消滅し、不死鳥の体は色々なところが抉れた状態になる。
しかし次の瞬間不死鳥の体の輝きが一層増したかと思うと、不死鳥の体は元通りに戻っていた
「ちっ」
フラムは思わず舌打ちをする
消滅でもだめか
じゃあ次だ
不死鳥ってかっこよく呼んでるからそうなるけど要するにやってる事は鳥の形したゾンビだろ?
「おいお前ら!なんか聖属性の攻撃できねぇか?」
「あ、私できます!」
アイラが名乗りをあげる
「よし、じゃあちょっとあいつに食らわせてみてくんねぇ?」
「わかりました!【聖槍】!」
そのスキルを使うと、アイラの背後に幾つかの光の槍が現れる
「えいっ!」
アイラが羽を羽ばたかせるとそれらは一斉に不死鳥に向かって飛んでいく
不死鳥は上空に飛び上がってそれを避けようとするが、槍は軌道を変えて不死鳥を追尾する
そして三本の槍が不死鳥を串刺しにする
しかし、光の槍が消滅する頃には不死鳥の傷はさっきと同じように完全に癒えていた。
「んだよ仲間じゃねーのかよ」
フラムは再び愚痴をこぼす
不死鳥もいつまでもやられっ放しではない。
飛び上がった不死鳥はその背後に無数の炎の槍を生み出す
【炎槍】だ。
「アイラの技パクんじゃねぇよ……。なんだあの鳥性格わるっ!」
不死鳥は羽を羽ばたかせてそれを発射する
「おい龍共!お前らあれ自分達だけで耐えられるか?」
「あんま龍族舐めんなよ?あれくらいで戦闘不能になるまでヤワじゃねぇよ!」
「え!?ちょっとおn……」
「そうか。なら頑張れ」
(【反射】)
大丈夫らしいのでフラムは自衛に務めることにした
あの程度の数なら水弾かなんかで全部撃ち落としてやっても良かったのだが必要無さそうなので魔力を節約する事にした
炎の槍がフラム達に降り注ぐ。しかし、フラムに当たる筈だった槍は全てその矛先が逆転し、フラムに当たった物から不死鳥に向かって飛んでいく。
最初から炎を纏っている不死鳥に炎攻撃が効くとは思っておらず、予想通り槍は不死鳥の体に当たっても何事もなく消滅した。
「ふぅ。危なかった。」
フラムが炎槍の行く末を確認し終わった頃、後ろからアイラの声が聞こえた。
「おう、お前らも無事だったか」
そう言って振り返ると
金髪の女の子と目が合った
…………………ん?誰だコイツ?
「すいませんフラムさん。盾にするようなことしちゃって。バカお兄、その傷は自業自得だからね?見栄なんてはるから」
「き、傷?なんのことかな!俺はちゃんと耐えきって見せたぞ妹よ!」
その女の子が羽に風穴を開けられ、涙目になっているレクサスに話しかける。
「レクサス、戦闘が終わるまで我慢してろ。後で治してやるから(アスが)。ところで……お前、アイラなのか?」
「はい?そうですけど?」
目の前の少女、もといアイラは何言ってるの?とでも言う風に首を傾げる。
「龍族も人化出来んのかよ」
「常識じゃないですか。だいたいさっきまではあの寒さに耐えるために龍になってましたけどこっちの方が楽でいいんですよねー。まぁ流石に戦うときは龍になりますけど」
それでいいのか龍族
その後、アイラは再び龍になり、戦闘を再開した
それにしてもあのゾンビ鳥どうしようかな。さっきから俺が魔剣による切断と【無玉】を、アイラが【聖槍】を、レクサスがあの凄いブレスを不死鳥に食らわせているが、なかなか死んでくれない
「うーん、バラバラにしてみるか」
フラムは二刀で不死鳥に切りかかる。
不死鳥は再び飛び上がってそれを回避する。
しかしフラムは不死鳥を逃がさない
(【跳躍】)
フラムはスキルによって跳び上がって不死鳥を追う
そしてまず羽を切り落として地に落とし、そこを二本の魔剣で不死鳥をバラバラに切り刻む
ところどころ切りきれていないところがあるのはご愛嬌。
いやアスも最初に比べればだいぶ切れ味上がってるんだよ?どうやらナマクラだったのは何百年も放置していたから、という理由もあるらしい。レヴァはたまにデュラハンが研いでいてくれたらしいが、アスは完全に放置されていた。そのため切れ味が落ちていたらしい。
アス、不憫な子!
毎日研いでやってる甲斐があったぜ
そう毎日の努力の成果を身に染みて感じていると
ピローン♪
『スキル【二刀流】を習得しました』
(…………二刀流スキルあるんかいっ!)
思わず心のなかで突っ込んでしまった
試しに二刀をぶんぶん振ってみると、どう剣を振ればいいのか体がわかっているように無意識に腕が動く。なるほど
これで二刀流はマスターかな。ちょっとズルした感じだけどまぁ四の五の言ってられない
新しいスキルの確認をし終わるとフラムは不死鳥の様子を確認する。
すると不死鳥は例に習って再生の途中だった
しかしフラムはあることに気づく
「なんだあれ?どっかで見たことあるな………」
不死鳥が再生している場所に赤く輝く球体が浮いている
よく見るとその球体を中心に肉体が再生していっている
フラムはこめかみに手を当てて今までの記憶を遡ってみる
「………あ。あれもしかして魂か?」
フラムはマナフが手にしていた魔王の魂を思い出しながらそう呟く
それに気づいたフラムは口角を釣り上げる
「魂がなくなったらどうなるんだろうなぁ?」
再生し終わった不死鳥はその炎を纏った体でフラムに突進を仕掛ける体制になる
フラムには遠距離攻撃は効かない。それは先程【炎槍】を放った時に理解している
だからこその突進という選択だった。
跳び上がった不死鳥は急降下して勢いをつけ、そのままフラムに向かって羽ばたいてくる
その加速された体は時速200キロは出ているだろうか。ものすごいスピードで飛んでくる
「フラムさん、危ない!」
アイラが悲鳴を上げるがフラムは動じない。
そしてフラムも地を蹴って不死鳥に向かって飛び出す。【超速】の補正によりフラムの体はまるで弾丸のようだ。不死鳥よりも速度は出ているだろう
しかし不死鳥とフラムが衝突する直前、不死鳥はその炎を纏った翼を大きく広げてフラムを包み込む。
フラムはそのスピードを急激に緩めることは出来ず、上に飛ぶことにも翼があり、翼と地面の間に滑り込める隙間もなくフラムは炎の壁に包まれた
そして不死鳥が翼を再び広げるとそこには何も残っていなかった
ピョロロロロロロロロロッ!
不死鳥は勝利を確信し、一声大きく鳴く
しかし
「おい、俺に背中を見せていいのか?」
不死鳥は背後から聞こえるはずのない声を聴く
そしてその顔を見るために顔を振り向ける間もなく不死鳥の体は一瞬で細切れにされた
【幻影】。フラムが今回使ったスキルだ。自分の幻影に不死鳥に突撃させ、同時に自分は【跳躍】によって跳び上がり、不死鳥の背後に回っていたのだ。
不死鳥の死体から魂が出て来る。そしてそれは肉体を再生させようとするかの如く輝きだし、バラバラにした肉体が勝手に動き出す
「させるかよ。【魂喰】!」
フラムはスキルにより生まれた右腕の口でその魂を喰らう
ピローン♪
『スキル、【再生】を習得しました』
頭のなかにいつもの声が流れ、魂を完全に取り込んだことを証明する。
その後、不死鳥が蘇ることはなかった。




