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死人、吹雪を抜ける

【魂喰】(ソウルイーター)

フラムは倒した氷象を早速喰うことにした



ピローン♪

『スキル、【反射】を習得しました』

「おお、さっき斬撃を反射してきたやつか。」

あのスキルがあれば遠距離攻撃を無効化できるようなので、このスキルは嬉しい



「……は?マンモスの死体はどこいったんだ?もしかしてあのマンモスは夢?俺疲れてるのかな……」


自分たちが苦戦していた魔物を一瞬で倒され、さらに目の前にあったその死体が一瞬で消えたのだ。龍達がポカンとしているのも無理はない。



「いやー悪かったな横取りするような真似して。こいつ強そうだったから欲しかったんだよ」


「い、いえ!こちらこそ助けていただいてありがとうございます!」


そう言って龍達は頭を下げる。元々の身体の大きさが違うのでどうしても龍の頭の方が上になってしまうがフラムはそんなことは気にしない


「ところでお前らなんでこんな所にいるんだ?こんな所で他の奴に会うなんて正直思ってなかったんだけど」


「あ、はい。うちのお父さんが教育の一環として、なんか『俺の子供ならグレイス魔宮くらい攻略して来れるだろ!行ってこい!』とか言って無理やり魔宮にぶち込まれまして……。」


「うわぁ……龍族えげつな……」


可愛い子には旅をさせよ、とはいうがこれはいくら何でも冒険させすぎだろ


「なるほどな……それは災難だったな……」


「ところであなたは?どうしてこんなところにいるんですか?」


「フラムだ。ちょっと魔王とその仲間に用があってな。あいつらと打ち合えるだけの力を付けるために来た」


「魔王と!? それはまた……お強いんですね……」


「まぁそれなりにはな。で、お前らどうする?どうせだから一緒に行くか?」


「良いんですか?」


「まぁ目的地は同じだからな。っていうかむしろ背中に乗せてくれたりすると助かるかな。そっちの方が早く着きそうだし」


「それくらい構いませんよ。あ、でも何か鼻に詰めるもの無いかな……」


結構臭いはキツイみたいだ



「じゃあそういう事で、よろしくお願いします!私はアイラでそこで口をあんぐり開けたままの奴がバカ兄のレクサスです。ほらお兄、はやく現実に戻ってきて!」



アイラがその大きな翼でレクサスの顔を引っぱたく。龍族のスキンシップこえー



「うおっ!?何だ妹よ!?」


「ほら!フラムさんに挨拶して!一緒に行く事になったから!」


「ん?そうなのか?宜しくな臭い人!」


「うるせぇ!初対面のやつに言うセリフかよクソ……」



あーもう。匂い消しがあればこんな事には……



「お兄フラムさんのこと乗せてってくれない?私ちょっと臭いキツすぎて無理かも……」


「おういいぜ!この位の臭いなら気にしねぇよ俺は!」


「じゃあなんで臭い人呼ばわりしたんだよ!」


「んー。ノリ?」


「よし殺す」


「ちょ!ちょっと待てって頼むから!俺が悪かったから!ただでさえお前に勝てる気しねぇのに乗ってる時に背中をグサッとか止めろよ?絶対だぞ?フリじゃねぇからな?」


レクサスは命の危機を感じ、必死に弁明する。


「はぁ……まぁいいや。宜しくなレクサス、アイラも」


「はいっ!」「おう!」


そして、レクサスがフラムを背中に乗せると2匹はそのまま吹雪の中を飛び立った






暫く飛んでいると先の方に階段が見えてきた。

途中で凍鳥という魔物の群れに出くわしたり、突然フラムがレクサスの背中から飛び降り、慌ててレクサス達が地上に向かうと何かの返り血を浴びたフラムが待ってたりしたことはあったが、それ以外に特に何かが起きるわけでもなく、平和にこの階層を抜けられたようだ。



「サンキューな二人とも。俺一人だったら絶対もっと時間かかってたよ」


「いいってことよ!俺らもお前に助けられた身だしな!」


「そうですよ!さぁ次の階層もこの調子で行きましょー!」


完全に全員が調子に乗っていた。

特にフラムは前に調子に乗って痛い目にあっているというのに全く懲りていないようだった



フラムが龍二匹を連れて階段を登る。

すると階段の先には今までのような雪景色ではなく、巨大な神殿のような部屋の中に繋がっていた。

部屋に入ると階段への道に扉が現れ、フラム達が逃げることを封じる


「ん?もうラスボスか?レヴァ、炎精霊はもういいぞ」


「オッケー!精霊よ、我がマスターの体より離れ、元の営みに戻りたまえ!」


レヴァの声に応じて体の中から仄かに赤い光球が出てきたかと思うと、そのまま霧散して見えなくなってしまった。

同時にポカポカしていた体が平熱に戻る


「さてと、前の魔宮はデュラハンだったけど、今回のラスボスはどんなのかな?」


1人と2匹がその姿を心待ちにしていると、突如頭の上から



ピョロロロロロッッ!!



と何かの鳴き声が聞こえてきた。





フラム達が顔を上げるとそこに居たのは体に炎を纏う巨大な鳥の魔物だった。



「……おいアス。この魔宮は炎を使う魔物はいないとか言ってたよな?おい」



「主、ワシはしっかり言ったぞ。『今までに確認された魔物は』炎を使わないと。つまりここは誰も到達していない場所ということじゃ!おめでとう主!」



「あーそうかよありがとう!」



なんだか複雑な気持ちになりながらフラムと龍達は魔物と戦う準備をする



(【水弾】)



とりあえず炎には水だと思ったフラムは水弾を魔物に向けて放つ

しかし水弾は魔物に着弾すると同時にジュワッ!っという音を立てて一気に蒸発して消えてしまった。


「……水の効かない炎ってなんなん」


「どいてろ臭い人!今からブレスを放つ!巻き込まれるんじゃねぇぞ!」


レクサスが口を向けながら警告してくる


「いい加減名前覚えろバカ龍!」


そう言いながらフラムは横に飛ぶ

その直後、フラムの横を赤い光線が魔物に向かって飛んでいく。見たところ相当な威力の攻撃なのだろう



ドォォォォォン!!



爆音とともにその光線は魔物に命中し、ブレスによって立った砂煙が晴れるとそこにはバラバラになった鳥の手足が転がっていた



「なんだ、あっけないもんだな……。これで魔宮攻略か?」



しかし、部屋の奥にある扉が開くことは無かった

フラムが首を傾げていると魔物の死体に変化があった

突然バラバラになった死体が勝手に動き始め、肉体を再構築していく


「何だ!?」


フラム達が驚いている間もその現象は続き、そして



ピョロロロロロッッ!!



あの鳥の魔物が再びフラム達の前に姿を現した。





「はぁ?俺のブレスでぜってぇ死んだだろアイツ?」


レクサスは不満を隠せないようだ。自分の自慢の攻撃で敵を倒せなかったのだから無理もない

しかしフラムには少し心当たりがあった

燃える体に死から蘇るあの能力


「……もしかして不死鳥とかそういうのなのか?」


フラムは日本にいた時によく小説などで見かけるその名前を口に出した。


「不死鳥ってそんな伝説上の魔物がこんなところにいるはずが………。でもお兄のブレスで死んだはずなのに生きてるし……まさかだけど…………」


アイラも困惑している




そう、この魔宮が何百年も攻略されていない理由。それがこの魔物、不死鳥だった。

死なない相手を殺せというのがこの魔宮の達成条件だ。できるわけがない。

しかも登ってきた階段は部屋に入った時にフラム達はこの部屋に閉じ込められている。

つまり逃げる選択肢もない。

この魔宮は攻略不可能だったのだ

何この無理ゲー?


それを理解した龍兄妹は顔を青くして絶望していた。





しかしフラムはこの程度では絶望しない。もっと深い絶望を味わい、そして今、どうしてもやらなければいけないことができたからだ。それを成し遂げるまで絶望することも立ち止まることもフラムは絶地にしない。


「何が不死鳥だ。もう死んでいる筈のゾンビだって浄化されたり回復魔法でどうしようもないほどに体を焼かれればそれはゾンビにとっての『死』となる。いま現状生きているお前が死なねぇわけ無いだろう?さぁ、お前にとっての『死』は何だ?」


フラムは二本の魔剣を手に不死鳥と睨み合う。

今、実質不死である者同士の戦いの火蓋が切って落とされた


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