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死人、龍に会う

狼に捕食されてから数日が経った。

フラムは下から数えて四番目の階層にたどり着いていた。

ここに入ってから一睡もしないで進んだ結果だ。ゾンビには睡眠は必要ないからこそできる荒業である

二刀流の練習は未だ続いている。最初の頃と比べればだいぶまともに剣を振るえるようになったが、まだ時々剣同士をぶつけてしまい、死んでしまうことがある。これは経験を重ねるしか無さそうなので根気良く続けることにする。



「またか……。何なの?皆そんなにゾンビの肉食べたいの?この臭い肉食べて何が楽しいの?」


フラムの前には、地球で言うホッキョクグマのような魔物が現れた。ただし大きさは地球のそれの倍以上はあるのだが。

昨日完全に匂い消しの効果が切れた。

それからというものひっきりなしに魔物が襲い掛かってくるのだ。今も10分前に一頭倒したばかりだというのにもう新たな敵が現れている。


「ったくもー。早く強くなるためにはこれでいいのかもしれねぇけど、少しは休ませてくれ………。」


魔物が現れる度にそんなことをぼやきながら、でも決して逃げずに襲い掛かってくる魔物を薙ぎ払っていく。早く強くなってフィリアを救いにいかなければならないのだ。そんなフラムにとってこの状況は幸運といえるだろう。


初日や2日目は魔物達にガブガブされる事が多かったフラムだが、今では殆ど時間をかけずに魔物を屠ることが出来るようになった。でもまだだ。こんなんじゃマナフにはまだ届かない。マナフに勝てなければフィリアを救うことも出来ない


いつも通り二本の魔剣を鞘から抜いて構え、熊と向かい合う。

少し睨み合った後、熊の方から仕掛けてきた。その巨体に似合わぬスピードで突進してくる。

フラムは臆することなく駆けてくる熊に向かって走り、ぶつかる直前で屈んでアスを振るう。狙いは前足だ。当たれば傷口から協力な毒が注入され、戦いは終わる。

しかし熊はその攻撃を予知していたかのように足元も見ずに跳躍してそれを躱すとフラムめがけて【氷弾】を打ち込んできた。

フラムは慌てることなく振り返ると同時に体を捻り、レヴァで氷弾を受け止める。

氷弾はレヴァに触れた途端、溶けて水となり地面に落ちる。


(【氷壁】)


直後に使用したフラムのスキルにより熊の周りに分厚い氷の壁が現れ、熊を閉じ込める


(【跳躍】)


新たに習得したスキルで壁を飛び越え、熊の上からアスで襲いかかる。

逃げ場のない熊は上に向かって氷弾を発射し、フラムの攻撃を止めようとする。

しかし、フラムは練習の成果を見せるアスを握っていた方と反対の手でレヴァを抜くと氷弾を切り裂いた。

そして


ザンッ!


そのままアスで切り傷を付けることに成功した。

熊は攻撃を受けてから数秒後、血を吐いて倒れた。毒が回りきったのだ。



「ふぅ。少し時間かかっちゃったな。さて、いただきますっと」


【魂喰】(ソウルイーター)


フラムの右手に禍々しい獣の顔のようなものが生える。


「喰らえ」


それの口が開かれ、死体となった熊を丸呑みにした。



ピローン♪


『スキル、【予知】【威圧】を習得しました』


「お、なんだか使えそうなスキルが増えたな、ラッキー」


このように、倒した先から吸収していってるのでここ数日のフラムのスキルの増え方は異常だった。

フラムは魔宮に入ってから既に【跳躍】【念話】【予知】【威圧】【毒牙】【視力強化】【聴力強化】【擬態】を習得していた。

【毒牙】はアスがいるのでどうでもいいが、その他のスキルはどれも有用そうなものばかりだった。


「さて、次の魔物が現れる前にとっとと進んじゃおう。魔物と戦うのもいいけど早くここを攻略しなきゃな。時間は有限だ」


フラムが階段を探して再び歩き始めようとしたその時、



ズドォォォォォン!!



凄まじい爆音が周囲一体に響き渡った。

【聴力強化】のせいで無駄に音が大きく聞こえる。うるさい。

音のした方に目を向け、【視力強化】を使う

すると見えてきたのは全長10メートルはあるだろう巨大なマンモス型の魔物と戦っている二匹の龍の姿だった。


「何でこんなところに龍族がいるんだ?」


マンモスは龍族2匹を相手に引けを取らないどころか押しているようにも見える。


「あのマンモス強そうだな…。横取りするみたいで悪いけど、喰うか」


そう決めるとフラムは龍族たちの戦場へと駆け出した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「お兄!お兄のブレスでどうにかならないのあれ!?」


「無理だろ!くそ、なんで龍族のブレスを跳ね返せるんだよ!」


「どうするのよ!私が肉弾戦で勝てなくてお兄のブレスも効かないってもうそれアウトじゃない!」


「ああ終わりだな我が妹よ」

キリッ


「カッコつけて言うセリフじゃないわよバカお兄ーーー!!!あー!あいつ突進してきたやばいやばいやばい!」


「お父様、お母様、こんなに大きくなるまで育ててくれてありがとうございました……」


「死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」


二匹の龍が死を覚悟した時、


ふっとどこからともなく人影が現れ、突進してくるマンモスの二本の牙を二本の刀で受け止めた



「……あれ?死んでない?なにあれ人族?っていうかめっちゃ臭いんですけど何これ?」


「あれ?助かったのか?なんで?」


龍たちは今の状況を飲み込めていないようだ。

するとその人影が口を開く



「おいお前ら。悪いんだけどこの獲物貰っていいか?」



龍達は自分たちが死を覚悟した敵を人族一人が「獲物」と形容したことにポカン、と何を言っているんだという風な顔をしたが、そいつが「おい、どうなんだ?」と急かすとブンブンと首を縦に振った


「そうか。サンキュー」


そいつはそれだけ言うとマンモスとの戦いを始めた



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



さて、折角こいつを譲ってくれたんだしとっとと倒しちゃおう

牙を受け止めていたフラムは、【潜地】を発動させてマンモスに押されるがまま地面の中に潜り込む。

そして数歩地面の中を進むと【跳躍】を使って一気に土の中からマンモスの背後に飛び出し、空中でレヴァをブンっと振る。

すると炎の斬撃が放たれ、真っ直ぐマンモスに向かって飛んでいく。


しかし、斬撃はマンモスに当たるもののダメージが入った様子もなく、さらにその斬撃がマンモスの体に反射され、フラムに向かってきた。


「うおっ!なんだこいつ!」


(【烈風】)


フラムを中心に突風が発生し、炎の斬撃を打ち消す。



「こいつは氷象じゃな。遠距離攻撃を威力にかかわらずに全て跳ね返す事ができると聞く」


「アスさん!? そういうこと先に言ってくれません!?」


「……言う前に攻撃しちゃったんじゃもん!主が悪い!」


「はいはいどうせ全部俺が悪いですよーだ」



地面に着地したフラムは二刀を構える。

遠距離が効かないなら近距離で倒せばいい。簡単なことだ。

いつも通り【超速】を使って懐に飛び込んでアスで倒そうと氷象に向けて走り出す

だが、氷象は【超速】のスピードに反応し、その大きな牙を横薙ぎに振るってきた。頭を振る速度はその巨体に似合わず速く、また予想外の攻撃でもあった。


「なんだ意外と接近戦もできるんだな」


こういう時にきちんと【予知】を発動させられればいいのだが、まだ慣れていないのでまぁ仕方がない。【超速】を使っていなければ反応できなかったかもしれない。


フラムはその場で跳び上がって横薙ぎに振るわれたマンモスの牙に着地するとダンっと牙を蹴って一気に氷象の顔の前まで移動する


「ブモォッ!?」


予想外の反撃をされた氷象はそれに反応できなかった。


「おらぁっ!!」


フラムは二刀を振るい、マンモスの頭にバツ印のような傷を付ける

一方の傷跡はその熱で赤く焼けただれ、もう一方の傷はその傷口から毒々しい紫色の液体が垂れている。


フラムが着地するとともに、氷象は膝から崩れ落ち、地面に倒れた。


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