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死人、魔宮へ行く

この世界には魔宮というものがある。

ゲームでよくダンジョンとか呼ばれるような、魔物がわんさかいるような所だ。奥に進むほど魔物が強くなっていき、攻略すると大抵何か力になる何かが手に入る。まぁ何かが何なのかは手に入れてみるまで分からないのだが


フラム達は1度魔宮を攻略している。とはいってもランダム転移先が魔宮のかなり奥の方だったから攻略しただけであり、完全に棚ぼただったのだが。

なので最初から魔宮を攻略するのはこれが初めてになる


そう、フラム達は今魔宮の入口の前にいた。

入口と言っても目の前に広がるのは地下深くへと続く巨大な穴だ。

普通は縄などを使って降りていくのだが、フラム達は飛び降りる気満々だった。まぁ落ちても死なないしね。



『グレイス魔宮』



80年ほど前に生まれた魔宮だ。

一般的な魔宮は発生してから数年で誰かしらに攻略され、消滅してしまう。しかし、この魔宮は今まで誰にも攻略されず、こうして残っている。難易度が他の魔宮と比べて桁違いに高いのだ。


この迷宮の最大の特徴は、魔宮内が氷で覆われているということだ。簡単に言えば北極や南極のような、極寒の地が地下にあるということだ。さすが異世界。

その影響もあってこの魔宮で今までに確認された魔物は炎を使った攻撃の出来ない個体ばかりだった。

また、魔物は基本的に聖属性スキルを使えない。

つまりこの魔宮、フラムとすこぶる相性が良かった。


フィリアを助けるということは再びあのマナフとそれ以上に強いであろう魔王に勝てるほどの力を付ける必要があるということ。

それを短期間で身につけるためにアスから薦められたのがこのグレイス魔宮、というわけだ。

死ぬリスクが低く、出て来る魔物はどれも強力なため無理な訓練を強いられているフラムには持って来いの場所だった


「ギン、シロ。お前はここの近くで待っていてくれ。お前はあの下には行けないだろう?」


フラムは自分をここまで運んでくれたギンを撫でながら言う


「ガウゥ。」


ギン達も特に反発するようなことはしない。少し寂しそうではあるが。


「安心しろ。すぐに戻ってくる。」


「ガウッ!」


頑張れ!とでも言う風にギンが元気よく吠える



「よし、それじゃあ行こうか」


フラムは勢い良く穴に飛び込み、重力に従ってその暗闇の中に吸い込まれていった。







ドォォォォォン!!

グシャッ!!






フラムの着地音が洞窟内に響く。

散乱していた肉塊が集まりだし、フラムの体を元通りに形作っていく。



「やっぱこの一瞬自分が死ぬ感覚っていつになっても慣れないもんだな……」


「確かに慣れんな。主と一緒に数百メートル上から落とされて、地面に叩きつけられるこの感覚は」


「そうよ!マスターの鬼畜!」


「しょうがねぇだろ……。それにしても、クソさみぃな」



この魔宮は最下層がスタートで上に登っていく構造のようだ。

落下地点である最下層はこの魔宮で唯一地面が氷で覆われていない階層だ。なのでまだ我慢できるレベルの

寒さではあるが、それでも寒いものは寒い



「上の階はもっと寒いらしいぞ主。今のうちに準備をしておけ」


「分かった。レヴァ、頼む」


「おっけー! 炎精霊よ。我がマスターを極寒の大地より護りたまえ!」



レヴァが呪文のようなものを唱えると、フラムの周りを赤い光が飛び回り始めたかと思うとそれはフラムの体の中へと入っていった。

するとフラムの体がポカポカと温まってくる。体の内側から優しく暖められている感じだ。



「さんきゅーレヴァ。あったかいよ」


「どういたしまして!」


「それじゃ、ちゃっちゃと上の階層に行きますか。」



フラムは上への階段を探して歩き始めた。


最下層には殆ど魔物は出てこなかった。

上に続く階段の前で巨大なアイスゴーレムに出くわしたが、レヴァで難なく倒すことが出来た。

一応喰ってみると少量の魔力と【硬化】を取得できた。

お前固くなってたのか、レヴァで溶かしたから気づかなかったわ

そしてフラムはゴーレムのいた先にある階段に進んだ


階段を登るとそこには吹雪の吹き荒れる真っ白な大地が広がっていた。


「……流石に寒いな」


レヴァの炎精霊のお陰で肌寒い程度で済んでいるが、レヴァがいなかったらと思うとゾッとする。レヴァには感謝だな。

フラムは吹雪の中を、次の層へ進むための階段を見つけるべく歩き出した



シャッシャッシャッシャッ



暫く適当に歩いていると雪の上を歩く、自分たち以外の複数の足音が聞こえてきた


「魔物か?」


フラムは周囲を警戒する

足音は段々と大きくなっていき、ついに足音の主が目の前に現れた。


足音の主は白い毛に覆われた狼のような魔物の群れだった


「……神狼か?」


フラムは自分の一番良く知っている狼型の魔物の名前を上げる


「似ておるが違うぞ。神狼はこのような寒いところには生息しない。あれは凍狼じゃ。」


その狼達をよく見ると白く見えていた毛は凍りついているようだ。そのせい毛の1本1本が針のように尖っている。その狼たちはフラムを見つけると毛を逆立てて威嚇を始める。まるでハリネズミだ。


「犬は虐めたくないんだけどな…。悪ぃけど殺さないからちょっと練習相手になってくれ」


そう言うとフラムはレヴァとアスを鞘に収めたまま右手にレヴァを、左手にアスを持ち、狼の群れと対峙した。


マナフ戦でフラムは1度だけ2本の魔剣を同時に使った。あの時はまぐれで成功したが元々フラムに二刀を同時に扱うなんて技術は持っていない。

なのでこの魔宮で身につけてしまおうという事だ。二本の魔剣を同時に扱う事ができるようになればそれだけでフラムの戦闘力は格段に上がるだろう。


「よっし、そんじゃあ行くぞ!」


フラムは【超速】を使って狼の群れに一気に飛び込んだ


狼達は物凄い速度で飛び込んで来た敵に混乱していたが、すぐに落ち着きを取り戻して横から2匹がフラムに飛びかかってきた。


「ふっ!」


フラムはレヴァを振るって右方にいる狼を受け止め、そのまま腕力で吹き飛ばす。

そして同時にアスでもう1匹を突きで沈める。


「お? 意外と簡単じゃね二刀流?」


2匹が一瞬で無力化されたのを見た狼達はフラムから距離をとり、針のような毛を飛ばしてきた。


「うおっ!? それ発射できんのかよ!」


フラムは無数の弾丸と化した狼達の毛を【超速】の補正により加速した剣戟で1本1本正確に叩き落としていく



……筈だった



「あ!」


自分が振ったアスをレヴァに打ちつけてしまい、レヴァが高く打ち上げられる。

それによりフラムの剣戟が終わり、狼達の無数の毛がフラムに突き刺さり、毛の数本がフラムの足首を裂く。それにより、フラムは足元をふらつかせる。

それを見た狼達が一斉にフラムに襲いかかった。

凍狼も腐っても世界最難関の魔宮に住み着く魔物だ。一瞬の隙を見逃すほど愚かではない。そして


ガブガブガブッ!


フラムは凍狼達の餌となった。



狼たちがフラムを満足するまで食べ、空腹を満たすと何処かに言ってしまった。


狼達が去ってすぐ、フラムの体は元通りになった。服はボロボロになってしまったが仕方ない。


「あークソやっぱムズイな!っていうか群れ相手には魔法で吹っ飛ばした方が早そうだな………。次は大物相手に練習してみるか。デカイの探そっと」


再生したフラムは再び吹雪の中を歩き出した。






「それにしてもそろそろ臭くなってきたな……。魔族戦であの袋どっかいっちゃったしまた実、探しに行かないとなぁ……」


自分の酷い体臭を嗅ぎながら過ごすという少し前の生活に逆戻りしてしまったフラムであった

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