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死人、初めて戦う

いろいろと話を聞いた次の日、俺はすることもないのでとりあえず戦闘訓練でもすることにした

といっても訓練してくれる人がいるわけでもないが

この世界は話を聞く限り結構物騒なところみたいなので戦闘力はあって困ることはないだろう。そう考えた俺は早速ゾンビくんに近くに魔物のいそうなところを聞いてみた


「それなら近くに魔物のたくさん出る森があるぞ。ただそれを倒しに来る冒険者も多いから狩られないように気をつけろよ!」


らしいのでまぁとりあえずその森に向かうことにした。ゾンビくんは結構いいやつだったのである程度戦えるようになったらまた顔見せに来るかぁ


森は南の方角にあるらしいのでとりあえずそっちにむかって歩き続けた。歩きだけってのも疲れるからなんか移動手段がほしいなーとは思いつつも今は歩くしか無い。本当に【速度半減】がなくてよかった。あんなのあったら一生あの墓地で暮らす事になってたかもしれない。あそこは辛気臭くてずっとい続けたいとは思えなかった。


てくてくと歩き続け、日が落ちかけた頃ようやく森が見えてきた。このまま森に入っても良かったがさすがに歩き疲れたので森に入るのは明日の朝にした。

俺は野宿の経験はないがアニメとかでよくやってる感じでやればいいだろ、そう思ってとりあえず薪を集めて火をつけることにした。

そう決めると俺は早速そこら辺の木を拾い、あとは火をつけるだけとなった。しかしここで問題が発生した。


「火がつかねぇ…」


そう、現代人だったタケルには当然木を擦って火を起こす技術などあるわけがなかった。記憶を頼りに挑戦してみるものの、結果はダメダメだ。ただ体力だけが無駄に減っていく。


「はぁ…もういいや寝よ…」

結局俺は火を諦め、集めた木を束ねて枕代わりにして眠りにつくのだった。



目を覚ますと目の前には犬がいた


「うおぁっ!!!」思わず悲鳴を上げると同時に一瞬で意識が覚醒する

犬が俺に襲い掛かってきているところだったので慌ててその場を飛びのいた。

その魔物らしき犬は全身真っ黒でいかにも怖そうだ


「犬はみんな俺が嫌いなのかぁ!?」


思えばこの世界にきてしまった原因も犬だった

猫より犬派なタケルにとってこの体質には軽くショックを受ける

だが今は落ち込んでいる場合ではない。こいつから逃げなくては。

犬っころを背に俺は一目散に走りだした、が足を止めた。

よく考えれば俺はそもそも戦闘に慣れるためにここに来たんじゃないか、だったら逃げるのではなく戦っておくべきではないのか

そう考えた俺はくるっと方向転換し、犬に向かって突っ走った


ゾンビくんからゾンビの戦闘方法はある程度聞いている。

殴る、蹴る、噛む、だ

ゾンビは再生能力が異常なほど強く、剣で切られたりハンマーでぶったかれたり弓で射られたりしても死なないし、また、痛覚も死んでるので痛みも感じない。なのでその特性をフル活用し、防御を捨てて攻撃に専念するのがセオリーらしい。また、相手を噛み殺すと相手をゾンビとしてよみがえらせることができるらしい。当然自分への敵意は排除された状態でだ。

しかし、無視してはいけない攻撃が二つある。

一つは炎による攻撃。なぜかわからないがゾンビは肉の焼失に関しては再生できないらしい。

そして二つ目は聖属性による攻撃だ。聖剣による斬撃や聖属性魔法などのことを指し、これを受けるとゾンビは浄化されてしまう。

でもこの犬っころが聖なる力を持ってそうかって言うとそんなことはないと思う。火ぐらい吐いてもおかしくはないとも思うが、なんたって異世界だしな。

なので火にだけは気をつけて戦うことにした。


「先手必勝ぅ!」


犬の顔面に向かってとりあえず殴りかかる。すると犬は噛み付いてくることはなく、後ろに飛びのいてそれを避ける。そしてすぐさま俺に飛びかかって前足から伸びる鋭い爪で攻撃してきた。

だが


「効かねぇんだよなぁ!」


爪で肉を抉られた不快な感触がしたが痛みは感じない。これが『痛覚が死んでいる』という感覚なのか

そんな感触を味わいながら俺はその前足を掴み、思いっきり地面に叩きつけた。


「キャウンッ」


犬は悲鳴をあげ、苦痛の表情を浮かべる。そして俺がそのまま足を離すと犬は森と反対側へと逃げ出した。


「もう来ないよな?大丈夫だよな…?   ふぅ~終わったあぁぁぁぁぁ~」


犬が完全に見えなくなってから俺はやっと肩の力を抜いた。最初の戦闘としてはちょうどいいレベルだったのだろうがそれでも初めての戦闘である。いろいろと気張っていたこともありどっと疲れた


「森に行く前にちょっと休も…」


そう言ってタケルは寝ていたところに戻り、日が頭の真上に来るくらいまでぐだぐだと疲れを癒やしていた。



―――――少し犬視点――――――

森にやばいのがいたからとりあえず森の外に避難したらなんか変な人間が寝っ転がっていた。

変なのって言うかまぁめっちゃ臭い。近くにいるだけでイライラしてくる程度には臭い。

嗅覚に優れている自分は森を出た辺りからこの臭いがプンプンしてきてだいぶ機嫌が悪くなっていた

臭いにイライラしながら森から遠ざかっていくのと同時に段々と臭いが強くなっていく。そして臭いの根源であろう一人の人間を見つけてしまった

それを見た途端俺は鬱憤を晴らすかのごとく、本能的にそいつに向かって襲いかかった。するとそいつはそれを躱し、逃げ出した。

かと思うとすぐに足を止め、こっちに向かって走りだしてきた


(何なんだコイツ!?)


その脈絡のない行動に呆気にとられているとその人間は殴りかかってきた。

向かってくる拳に噛み付いても良かったのだが、あの臭いの根源を口の中に入れる気はせず、後ろに下がって躱し、前足で反撃した。

その攻撃は確かに当たり、相手の肉を抉ったはずだった。しかしそいつは全く痛がる素振りも見せずに俺の前足を掴み、俺は地面に叩きつけられた。

鈍い痛みが体中に広がる。


(前足の攻撃はなんか効いてないし噛みつくのは生理的にムリ。じゃぁコイツに通る攻撃がねぇな。チッ、ここは逃げるか)


そう決めると同時に俺は森とそいつから逃げ出した。

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