第三章 円卓の残滓 ――Sirs Camelot―― 1.接敵
水の滴り落ちる音を耳の間近に感じ、安堵友介の意識は少しずつ闇の底から浮上していく。
眠りの中での自問は記憶の底へと仕舞われてしまい、忘却の彼方へと消えて行く。夢の中における記憶と感覚が薄らいでいき、入れ替わるようにして現実を認識する機能が回復する。
視力・聴覚を始めとした五感を取り戻し。、やがて自らの状況を悟った。
「これ……」
身体の前で鎖によって拘束された両手、石造りの小さな部屋に、簡易ベッド、そして正面の鉄格子を見て、友介は自分が牢屋に閉じ込められているのだという事実を認識した。
壁に固定されたランプが、友介の顔を淡く照らしている。
「そう言えば、負けたからな」
今思い出しても身震いする。
身のこなしや速度、打撃の威力から、何から何まで人外の域にあった。
(あれが、騎士……)
騎士。
魔術師とは異なる、魔術を扱う異能者の群れ。
魔術師や描画師が、己が内から力を溢れ出させるに対して、騎士は外部から力を借りる。
その、力を借りる源こそが『宝剣』である。
宝剣とは、伝説や歴史において語り継がれる聖遺物や宝具、神器のことである。
騎士その人に魔術の心得はない。しかし、彼らは古来より存在する宝剣を手にすることで、宝剣そのものの特性と、元の宿主の力を一部扱うことが出来るのだ。
故に、彼らは魔術の腕を磨く必要はない。超常現象は全て、宝剣が起こしてくれるものなのだから。
その結果、彼らは日々を体術や剣術を磨く時間に充てることが出来るのだ。
超常の域が同じであるとして。
日々魔術を磨かねばならない魔術師と、『戦う術』を磨くことの出来る騎士ではどちらが上なのかなど、比べるべくもないだろう。
ただ特異な超常現象を起こせるというだけの者では、騎士には届かない。
体術を磨いていない魔術師や描画師は、策を弄して騎士を嵌め、動きを止めた所で後ろから騙し討ちをするより他に勝つ方法はない。
(つっても、あいつは異常だろ……)
ただ、友介が矛を交えたボニー・コースター=ガウェインは、その騎士の中でも抜きんでた力を持っていた。あの速度は、常軌を逸している。
(やっぱあの異常なまでの速度や打撃力は、宝剣の効果によるものか……?)
ガウェインの日中三倍の伝承。
安堵友介は伝承や伝説にそこまで詳しくないが故、円卓の騎士のその有名な話も知らない。おそらくだが、彼の戦いは厳しいものとなるだろう。
ただ……
「多分、弱点はある」
そう呟いたところで、
「よう、蛮族。気分はどうだ」
二人分の足音共に、荒々しい少年の声が聞こえてきた。
ランプの淡い光に映し出されたのは、二人の騎士。
一人は、長い金髪に黒のメッシュを入れた、目つきの悪い少年だ。白い騎士服をだらしなく着崩しており、腰に提げた大剣をせわしなく触りながら、顔を苛立ちに染めている。
もう一人は、煽情的な格好をした女であった。彼女に至っては騎士服を改造して、その豊満な胸を外気に晒していた。青い長髪の一部が谷間の隙間へと滑り込んでおり、左目の下にある泣きぼくろがより一層の色気を醸し出している。歳は二十代の半ばといった所か、既に完成された美貌を持った女だ。
「…………ッ」
友介は彼らを厳しい視線で見据える。
「おいおい、お前自分の立場分かってんのか蛮族。こっちはテメエを拷問にかけることだって出来るんだぜ」
「やってみろ。お前が俺を拷問に掛けようと牢を開けた瞬間に殺してやるよ」
「……よほど死にたいと見える」
そう言って腰に下げた剣に手を添えかけた少年だったが、
「待ちなさい。今彼を殺したところで得られるものなどないでしょう? じき、彼の仲間の居場所は分かるだろうけれど、時間を取るのは得策ではないわ。ね、あなたもそう思うでしょう?」
「…………ッ」
「あら、無視? レディーに対してその態度はないんでなくて?」
「この国の女はどいつもこいつもうるせえな。どう接しようが俺の勝手だろうが」
「そんなこと言っているとモテないわよ? このディアみたいに」
「るっせえなッ! 余計なお世話だッ!」
女の言葉に金髪の少年が食って掛かった。
「ああ、そうだったわ。自己紹介がまだだったわね。私はリア。リア・バルアス=トリスタン。そしてこっちのチンチクリンが」
「誰がチンチクリンだ誰が!」
「ディア・アークスメント=モルドレッド。どちらも円卓の騎士よ」
そうして女は、煽情的な笑みを浮かべて、左右の腰に下げた切っ先のない双剣をそれぞれ両手で撫でた。
「ねえ、坊や。その、ね? もし本当のことを話してくれるのなら、良いことして上げるわよ?」
「断る。年増に興味はねえ」
「へえ、凄いじゃない坊や。じゃあ、前払いで良いと言ったら?」
「聞こえなかったのかババア。年寄りには興味ねえんだよ。あと十年若返ってから来い」
「ふふっ、つれないわね」
友介の侮辱を受けても、リアは特に気にしていないようで、まるで子供を見る大人のように穏やかな目つきをしていた。
そうして――
「これだから、子供って好きなのよねぇ……」
蛇のような目付きで友介を舐め回すように見つめた。
「やめろショタコンババア。こいつは捕虜だ。テメエの性玩具じゃねえんだよ。未成年だと見るや所構わず食うのはやめろ」
「あら、ディアも好みよ?」
「俺は願い下げだ。五年若返ってから来い」
「んもう、この子達ったら……。なら、私はウィルに相手してもらうことにするわ」
「アホか。あの真面目狂いがテメエなんか相手にするかよ」
「それは分からないでしょう?」
そう言ってリアは友介から視線を外し、
「じゃ、私はお呼びではないらしいし、後は任せたわよ、ディア」
「テメエマジで何しに来やがったんだ」
ディアの文句に、しかし女は手をひらひらと振るだけで答えなかった。やがて女の足音が遠ざかり、友介とディアの二人だけがその場に残された。
金髪の騎士は鉄格子越しに友介を見下ろし、吐き捨てるようにこう告げた。
「んで、さっさと教えろ。テメエの仲間の居場所をよ」
「テメエら、さっきから何言ってんだ?」
「あ?」
「仲間なんているわけねえだろうが、アホか」
「しらを切ったって無駄だぜ。テメエらのことはある程度知ってんだからよ。なあ、安堵友介。特にお前のことはな」
「……俺の事だと?」
「異端殺し」
「ヴァイス・テンプレートか」
「耄碌して雑魚くなったとはいえ、あの異端の魔術師を破ったって功績はデカかったなあ。おかげでこっちも、羽虫程度にはテメエを意識するようになった。それで調べたらお前、他に四人の仲間がいるそうじゃねえか」
「……ああ、そうだな」
「ふん。なら、まあ話は簡単だわな。仲間がいるのにテメエが単身乗り込んでくるはずもねえ。どこだ、他の連中は。あいつじゃねえが、話すってんならそれなりの待遇は約束するぜ」
「何度も言わせんな。俺は一人――、」
「風代カルラは?」
「――――」
「ふん、顔色が変わったな」
「テメエ……っ」
「はんッ、ま、今日はこの辺りにしといてやるよ。また明日も来てやるから、せいぜいキャメロット城の地下牢を楽しんでろ」
そう言ってディアもまた牢屋を後にした。
「陰気臭い牢からお前も早く出てえだろ。さっさと口を割っとけ」
その声を聞きながら、友介は決意した。
今日すぐにでも、脱獄してカルラ救出に向かおう、と。
☆ ☆ ☆
キャメロット城会議室にして、その四人は集まっていた。
一人は円卓の残滓の最高司令官ディリアス・アークスメント=アーサー。
もう一人はランスロットの名を冠する男で、白い騎士服に外套を纏った鷹のような目付きの男であった。名をルーカス・オーフェウス=ランスロットと言う。髪の色は黒で、その節々から彼の人間としての威厳が溢れ出していた。黒い髪や鋭く整った目付きもあり、三十台となった今でも国民の女性から黄色い声のかかる人気の騎士である。
そして三人目がボニー・コースタ=ガウェイン。友介を撃ち破った赤髪の騎士。
そして最後が――
「閣下。私に蛮族の討伐をお任せください」
先の三人がそれぞれ円卓の己の席に腰かけているのに対し、この少年だけは直立不動のまま敬礼していた。
ルーカスの一人息子――ウィリアム・オーフェウス=ガラハッド。父と同じ黒髪を持つ、緑の瞳の少年。纏う服も父と同じであり、無表情に立ち尽くすその佇まいから、どこか無機質で個性のない印象を与えてくる。
敬礼をしたまま返答を待つ彼に、ディリアスは一つ息を吐いて、
「良かろう。残る蛮族の捜索、討伐は貴殿に任せるとしよう、ガラハッド卿」
「はい。それでは行ってまいります」
「そうか。期待している」
ディリアスの返答を聞き、ウィリアムは敬礼を解くと、体の向きを百八十度方向転換して会議室から出た。
三人になった大部屋の中で、ディリアスとルーカス、そしてボニーの三人が神妙な表情で沈黙を作っていた。
五分、十分――そうして時が過ぎて、ようやく一人が言葉を発した。
「ディル」
「なんだ、ルーカス」
常とは異なる呼びかけに、しかしディリアスは何も言わない。
既に三十年を超えるほどの付き合いになるこの三人は、三人だけになった時は必ずこうして素のままに会話をするようになっている。
「今回、何か裏があるように思えるが」
「だろうな。殿下……いや、マーリンが絡んでいる以上、この一連の騒動には何か裏があるだろうことは容易に想像できる。――が、こちらにもカードはある。幸いにも、奴らの目的はある程度知らされているし、それ故に賊がこの城を狙っていることも推測可能だ」
「確かに、それに――」
「ああ、この国には、私がいる」
同意を示すボニーの言葉を、ディリアス自ら引き継いだ。
「私がこの国にいる以上、何人もこの国を荒らすことは叶わない。皆、この剣で斬り捨ててくれよう」
それは絶対的な自信であると同時に、自らを縛り付けその覚悟を強固なものとする呪文でもあった。
救国の英雄。
その責任は、たとえ誰であろうと耐えられるものではない。
「ただ、やはり気になる事はあるな」
「そう、だな」
ディリアスの呟きに、ルーカスが憂いの孕んだ声を上げた。
「これですね」
ボニーがポケットから取り出したのは数枚の写真だった。どれもこれも、サウスブリテン内でここ数日の内に起こった事件だ。具体的には、安堵友介たち蛮族が国境の壁を襲撃したその二日前から起きている事件。
「まるで、魔獣に食われたかのような痕だな」
ロンドン郊外にて行われている惨殺事件だ。
被害者は七人に及び、死因は出血死かショック死ではないかと考えられている。サイコメトリー系の魔術師が死体を調べても、ノイズしか出ないということでディリアスたちも手をこまねいているのだ。
「とはいえ、私はこの事件が蛮族と関係あるとは思いません。もちろん、アリア殿下の企みとも」
「まあそうだろうな。俺も同意見だ。ディルは?」
「そうだな」
ディリアスは顎に手をやり幾ばくの間思案すると、
「私も貴殿らに同意見だ。此度の事件、蛮族の対応に追われる我々が出向くほどの案件ではないと見た。よって、円卓の残滓は引き続き蛮族の捜索、討伐に専念する。――ルーカス」
「なんだ」
「ウィリアム一人では心配なのではないか? 城の防備は足りている。ディアにリア、そしてボニーと私がいれば賊一人に後れを取ることもあるまい。息子を追いかけることを許す」
「……すまない」
「気にするな。それに私は、礼を言われるような男ではない」
「またそれか。俺たちは皆、お前のその決意に納得しているのだ。今さらどうこう言う気はないよ」
「そうですよ」
珍しく自虐的な言葉を吐くディリアスに、ルーカスとボニーが笑みを向けた。
それらを見て、ディリアスは一つ息を吐くと、
「すまなかった。今のは忘れてくれ。国家の長としてあるまじき態度だった」
表情一つ崩すことなくそう言った。
ルーカスとボニーは、そんな彼の生真面目な性格を見て笑みを浮かべるが、ディリアスは特に気にしていなかった。
☆ ☆ ☆
『塔』に行けと言う言葉。
そしてディア・アークスメント=モルドレッドの口にしたカルラの名前。
アリアとの会話やその他の様々な情報を精査し、風代カルラの居場所を考える。
「――――」
思い当たる節は一つしかない。
疑問はある。不審な点も散見する。
だが、現状友介が選べる選択肢などないに等しく、今幽閉されているであろうキャメロット城が唯一の手掛かりであることは変わらないのだ。
よって、もはや無茶であろうと無謀であろうと関係ない。
この城を攻略し、カルラに関する手がかりを見つける。
「それにしても、あのクソガキ、頭が悪くて助かったな。欲しい情報をどんどんを喋ってくれたぞ」
口は禍の元という言葉を教えてやりたいな、などと適当なことを考えながら、崩呪の眼を発動して鎖に急所を作り出した。
黒点を生み出すと、近くのベッドに鎖を叩き付ける。気味の良い音と共に鎖が砕け、戒めが消えた。
「ふぅ」
小さく息を吐き出し、立ち上がる。軽く腕や足を振ったりして体の調子を確かめると、鉄格子まで歩いて行き、その錠を破壊した。
直後――。
けたたましい警報が、地下牢と言わず白中に鳴り響いた。
「んな……ッ!」
瞠目し、驚愕に声を震わせたが、そもそも単純に考えればわかることだった。
あの円卓の騎士たちが、こんなザルな警備のまま囚人を放置するはずがなかったのだ。
見張りひとりいないなどどう考えてもおかしいと気付くべきであった。
そして――。
「いたぞーッ!」
「脱獄者だー! 集まれ! 捕まえろォーっ!」
「総員抜刀ッ!」
しゃりん、という金属が擦り合う音が鳴り響き、友介の視界の先から十五人ほどの騎士がやって来た。
「当たり前だけどここにいるのは円卓だけじゃねえかッ! 雑魚は蹴散らすッ!」
気合を入れ、ベルトに差した拳銃に手を伸ばそうとして――
「……………………ない」
当然だが、武器や兵器の類は没収されていた。
「捕らえろッ! 敵は丸腰だッ!」
「ああクソ、ふざけんなよボケッ!」
悪態を吐いて方向転換。、背後へ逃げようとするも、薄暗い廊下の向こうは行き止まりだ。
つまり逃げ場はなし。丸腰のまま十人近い騎士と戦闘に入らなければならない。
(腹ァ括るか……ッ!)
崩呪の眼を発動し、足元の床に黒点を生み出す。一秒、二秒……十秒。
最前列にいる騎士が友介から五メートル離れた位置にまで至った瞬間、小石を蹴るような動作で足元の黒点を砕いた。
直後――大地が陥没。地下牢の石造りの床に大きな亀裂が走り、友介を中心に半径十メートルの地面がブロック状に破砕する。
足元を崩された騎士達がバランスを崩し、行進する足が止まった。その隙を友介は逃さない。既に数瞬先の未来を見ていた友介は、崩れた地面をものともせず疾風が如く走り出し、瞠目する騎士たちの間を縫うように走り抜けた。途中、手の力の緩んだ騎士の宝剣を奪い、潰せる敵は昏倒させた。
そうして瞬く間に肉の壁をすり抜けた少年は振り返り、未だ陣形を組み直せずにいる騎士たちと再度相対。隙だらけの彼らの背中を一瞥し、視線を上へ。
「悪いなお前ら」
崩呪の眼で天井に黒点を生み出した後、
「生き埋めだ」
その黒点目掛け、手にした宝剣を投擲した。剣は空気裂いて黒点へと直進する。切っ先をぶらさず矢のように跳んだ細剣が石造りの天井に突き刺さった。
轟音、破砕。――崩落。
天井がブロック状に破壊され、巨大な瓦礫が雨あられと騎士の頭へ降り注ぐ。
彼らは宝剣を掲げるなどして崩落から身を守ってはいるが、崩落そのもの止めることは叶わない。命を守ることはできても、もはや生き埋めの運命は避けられない。
「命まで奪う気はねえよ。事が済んだら出してやっから今は休んどけ。サボってていいぞ」
崩落が終わり、友介と騎士たちの間に急造の壁が建てられた。宝剣で壊すことも、壁をよじ登って頭上に見える上の部屋へ入ることも出来なくはないだろうが、友介が得物を見つけるまでは閉じ込められたままだろう。
友介はそれ以上何も言わず、背後にある階段へと進んでいった。
歩きながら、友介は小さく息を吸って覚悟を決める。
――ここからが本当の戦いだ。
「――……」
友介は思い出す。
反撃の間もなくこちらを無力化させた女騎士との戦いを。
円卓の残滓。
彼女と同格の騎士たちが、友介が知るだけでもあと四人存在する。先の二人と、湖の騎士の名を冠する壮年の騎士、ルーカス・オーフェウス=ランスロット。
そして、救国の英雄、光の聖剣の主。
ディリアス・アークスメント=アーサー。
華々しい活躍を見せる円卓の騎士達の中でも、特に多くの偉業を収めた男。かつて、ユナイテッドキングダムであった頃のイギリスが南北に分かたれる原因となった『ブリテンの宵闇』と語られる戦いにおいて、彼はたった一人でノースブリテンとサウスブリテンの両軍を相手取り、多くの人々を救ったとされている。
ブリテンの宵闇。それは、十年前に起きたブリテン分裂の原因となった戦争だ。古来より裏世界において魔術を信奉し続けてきたイングランド領と、これまで通り科学の力で世界をありのままの形として続けていこうとするスコットランド領との戦いだ。
戦いは一年と続き――そんな最中、一人の英雄が現れる。
戦闘が市街地にまで及び、民間人が被害を被り始め、ブリテンに明けぬ夜が訪れるのかと人々が危惧したある時のことだ。
最も苛烈な戦場に、たった一本の剣を持った騎士が現れ――民間人に被害を出すことなく両軍をたった一人で壊滅させ、英雄として祀り上げられた者が。
結局、強大な力を持つとはいえ、たった一人で戦争を止めることは叶わず、ブリテンは分裂。イングランドの出身であった彼はサウスブリテンの国民としてその後生きることになるのだが――一軍人であった彼は、出世に出世を繰り返し、今ではサウスブリテンにおける事実上の最高権力者としての地位を確立した。
冠する騎士の異名は栄光の騎士王たるアーサー王そのもの。
世界に名を知らしめる救国の英雄と、その配下たち。
安堵友介はたった一人で、国家の最高軍事機関、その幹部たる円卓の騎士たちを相手取り、勝たなければならない。
この城を攻略し、カルラの元まで辿り着く。
「行くか」
敵は英雄。故国を守りし栄光の騎士たち。
故に此度、安堵友介の配役は悪。英雄に刃向かう狡からき悪党として、黙示録のギロチンを振るう。
たった一人の、国崩しが始まった。




