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太陽の勇者と月の巫女  作者: 涙花
勇者と巫女の出現
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脱出

遅くなりました。

ようやく地上に出た時には、辺りは薄暗くなっていた。

幸い襲われる事もなく地上に出れたのは喜ばしい限りだ。


門が見えるところまで行って様子を窺ったが、警備を厳重にしている様子はない。俺達が生きている事はバレていないらしい。あとはどうやって門を通過するかだが、この人数では入ってきた時のように幌馬車に潜り込むのも難しい。師匠と先生の怪我を考えると走って通るのも無理だろう。せめて荷車でもあればなぁ。

流石にレティンシアも荷車は持ってないよな。でも予想外の物持ってる事もあるしな。


「レティ、荷車とか持ってないのか?」

「ちょっと待って……………あっ!あったよ!」

「……荷車入ってるのか?」

「入ってる」


本当に何でも入ってるな。


「出せるか?」

「うん」


少し離れて荷車を置くスペースを確保すると、カバンを地面に置いて手を中に入れると荷車を取り出した。


ズシンと少し音はしたが、そう大きな音ではなかったから気付かれる事はないだろう。

これだけ大きければ、師匠と先生を乗せれるな。あとは引けるかどうかだが、そこは頑張るしかないだろう。

ギルド長達は唖然とし、師匠達は達観した目で見ている。慣れって凄いな。


「レティ、師匠と先生に荷車に乗るよう伝えてきて」

「アンドリューさんとギャレット先生を乗せるの?」

「2人のあの怪我じゃ長距離歩けないし、これなら兵士も誤魔化せるからな」

「分かった」


師匠達のところにレティンシアが説明に行ってる間に、荷車の荷台に毛皮を敷き詰める。気休めだが何も無いよりはマシだろう。


「連れてきたよ」


レティンシアに声を掛けられて振りかえると師匠と先生、それと宿屋の主人と武器屋の親仁さんが2人に肩を貸して歩いてきていた。その後ろにギルド長もいる。

2人が荷台に乗り込んでから、試しに引いてみたが引き出しは重いけど動き出せば問題ない。


「おい、もう何人か乗せてくれ」

「いいですけど、街を出るまでですよ?」

「あぁ」


ギルド長に頼まれて、顔の売れてるギルド長と魔法薬屋のお婆さん、宿屋のおかみと武器屋のおくさん、ネイダさん、宮野(みやの)最後にレティンシアが乗りこむ。上に布を被ってもらい、その上に毛皮を載せていく。重い、暑い、臭いと宮野(みやの)がグチグチ文句をいうが無視だ。見つからないことが一番重要なのだから諦めて納得してほしい。


準備が整い引き出しだけ手伝ってもらった後は、なんとか俺1人で引く事が出来た。

いよいよ門に近づき通ろうとしたところで、門番の兵士に呼びとめられた。


「今から外に出るのは危険だぞ」


まあ、この時間に外に出るのが危険なのは当たり前だ。夜は魔物も活発に動くし盗賊に襲われる可能性も高くなる。だが、俺達にとっては明るくなってからの方が危険だ。


「そうなのですが、病身の妻が待っているので一日でも早く村に帰りたいのです。護衛の方もお願いしておりますので大丈夫だと思います」

「そうか、では気をつけてな」

「はい。ありがとうございました」


頭を下げて、荷車を引いて門の外にでる。橋を渡り終え、しばらくすると門が閉められた。

バレずに済んだようだな。

念のため、門が完全に見えなくなるまで移動してから、荷台に声を掛けた。


「レティ、もういいぞ」


声を掛けると、あっという間に毛皮が消える。被っていた毛皮を全てカバンに仕舞い、荷台からレティンシアが降りて、こちらに駆け寄ってくる。


「さいあく~。臭いし、暑いし、髪も体も汗臭いし獣臭い!」

「仕方ないだろ?街を出る為だったんだからさ」

「そうだけど…。嫌な奴と隣同士で座ってるのも苦痛だったしさぁ」


あんまりな言われようにレティンシアが傷ついたのではと隣を見下ろすと本人は自分の髪や服の匂いを嗅いでいた。宮野(みやの)の『汗臭いし獣臭い』というのが気になったのだろうか?


「レティ」


名前を呼ぶと見られていた事に気付いたようで薄らと頬を赤く染めて、洗浄(クリーン)の魔法を自分と俺、師匠、先生に使う。汗を掻いていたので助かるが、一度に複数を対象にして発動できるのって凄すぎだろ。


「ちょっと、なに自分達だけに魔法使ってるのよ!自分達さえよければそれでいいわけ!!」


宮野(みやの)もなんでいちいち突っかかってくるかな。第一なんでレティンシアが全員に洗浄(クリーン)を使わないといけないんだよ。それによく知らない奴に了解なく魔法掛けられるのは嫌だろ。普通。


「ほら、さっさと私達にも洗浄(クリーン)をかけなさいよ」

「どうして、レティがそんな事をしないといけないんだ」


魔法を使うために動こうとしたレティンシアを制して宮野(みやの)に問う。


「一緒に行動してるんだし助け合うのは普通でしょ。ほらレティ、さっさとしなさいよ」

「あなたにレティと呼ばれたくはありません。それに命令される筋合いもありません」


眉を顰めてレティンシアが反論する。命令口調で言われれば拒否するのも当たり前だろう。


「なっ!?いいから早くしなさいよ!あたし達を危険な目に合わせたんだからそれぐらいいいでしょ!!」


レティンシアを背中に庇って俺が前に出ると、宮野(みやの)を無視してギルド長に話しかけた。


「ギルド長、俺達はここで別れます。頑張って生き延びてください」

「ちょっとなにあたしの事無視してるのよ!」

「おい、ちょっと待て!ここで別れてどうするんだ?!」


「もちろん逃げます。この国にいたら殺されそうですから」

「マント男、あたしを無視するな!!」

「ナナは少し黙ってろ。逃げるのは当然だがレティンシアが俺達の荷物も持ってるのに居なくなるなられるのは困る」


宮野(みやの)はギルド長に睨まれてようやく口を閉じた。漸く静かになったな。

荷物の件について確認のためレティンシアを見ると頷いた。


「ギルド長達の荷物は置いていきますから安心してください。レティ、全部そこに出してあげて」

「………うん」


荷車の横に一瞬で山が出来た。結構あるな、持って行くのは大変だろうが頑張ってくれ。


「これでいいですか?」

「いいわけあるか!道端でこんな大量の荷物どうしろっていうんだ!?」

「それじゃあなんですか?レティのアイテムボックスを寄こせとでもいうんですか?」

「いや、だから一緒に行動すればいいだろ?同じ追われる身なんだ」

「ではギルド長達はどこに向かうつもりだったんですか?」

「ドミニオン国だ。ハルモニアは下手すると干からびるからな」

「分かりました。俺達もドミニオン国に行く予定でしたから、移動は一緒にします。

でも、俺達とギルド長達は別パーティー、食事や野営も全て別、こちらには一切関わらないでください」

「あのなぁ」

「それが嫌なら今ここで別行動にしましょう」

「……分かった、それでいい。荷物は今まで通り彼女のアイテムボックスに入れてもらえるか?」

「仕方ありませんね。レティごめん、荷物もう一回仕舞ってくれる?」


レティンシアがカバンを開いて荷物に近づけると、荷車横の荷物で出来た山が一瞬で消える。何度見ても不思議な光景だ。


日が沈むまでもうあまり時間もない。今日はここで野営するしかないだろう。


「俺達はここで野営します。さっきも言いましたけど別パーティーですから、そっちは自分たちで何とかしてください。あとこっちにあの勇者2人は近づけないでください」

「わかった、わかった。明日からまたよろしくな」


ギルド長が手を振って他のメンバーいるところに歩いていくのを見送り野営の準備を始める。

まずはカバンからテント(中)とテント(小)を取り出してロープで固定する。

なぜ2つ出すのかというと、年頃の娘が男と密着して寝るのは良くないと譲らなかったからだ。まあ、着替えもあるし、テントもあるから野営の時は2つ準備するようになった。

俺がテントを固定している間、レティンシアはテント(中)の中で師匠達が寝かせる準備をしていた。


「お待たせ。準備出来たよ」

「ありがと、じゃあ夕飯の準備頼む」

「うん」


夕飯はレティンシアに任せて俺は師匠と先生をテントに運んで布団に寝かせる。


「大丈夫ですか?」

「俺はなんとかな、それより視たんだろ。やっぱ呪いか?」

「はい、治癒耐性90%とかふざけた呪いですよ。更に自然回復(マイナス)5%のおまけつき。最悪ですね」

回復薬(ポーション)の効果が薄いのも当たり前か」

「自然回復も阻害されるんですから無理は出来ません。極力安静にしていてください」

「仕方ないな」

「夕飯作るの手伝ってきますから大人しくしててくださいよ」


師匠達に釘を刺してテントを出る。


「レティ、手伝うよ」


野菜を切っていたレティンシアに声を掛ける。


「アンドリューさんとギャレット先生の具合はどう?」

「良くはないな。夕飯が終わったら回復薬(ポーション)作成も頼めるか?」

「うん。でも10本分ぐらいしか材料がないよ」

「材料も集めないといけないか。……夕飯は任せていいか?俺は材料を探してくる」

「夕飯は大丈夫だけど…気をつけてね」

「レティの夕飯が完成するまでには戻るようにするけど、俺が遅いようなら先に食べてていいからな」

「うん」


俺はカンテラを持って装備に問題がないかチェックをしてから探索にでた。




書いては消し、書いては消しを繰り返し全く話が進みません。

纏まりのない文章は更に纏まらない。

頑張ります。

読んでいただきありがとうございました。

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