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太陽の勇者と月の巫女  作者: 涙花
転移したら女の子を拾いました。
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別れ

第2章はこれで終わりです。

2度目に目が覚めた時は、すっかりと夜が明けていた。雨の音は聞こえない。

隣のベッドではレティンシアがまだ眠っている。


起こさないようにそっとカーテンの隙間から外を覗くと、きれいな青空が見えた。

いい天気だ。これなら出発できそうだな。


剣を持っていつものトレーニングに出て、帰ってきた時にはレティンシアも起きて出発の準備をしていた。

朝食を食べた後、俺たちはベルンを目指して出発した。



エーレを出発して20日で俺たちは国境の町ベルンに到着した。

到着した日はベルンの宿に泊まり翌日、師匠と先生と別れることなった。


部屋に入るとレティンシアはすぐに、クローゼットに籠ってしまった。

夕飯後も寝るときに声を掛けたのだが終わったら寝ると返事をして、絶対に中から出てこなかった。まあ、しばらくはここに滞在するから夜更かししても問題はないだろう。


翌朝、ようやく出てきたレティンシアから信じられないモノを見せられた。


「ごめんなさい。頑張ったんだけど、これだけしか作れなかった。」


そうしてレティンシアが取り出したのは6個の指輪と4つのイヤーカフだった。

指輪付いている石が全部で4種類あり、青が2つ、緑が2つ、黄が1つ、白が1つ。

イヤーカフは透明と青、透明と緑、透明と黄、白と透明の組み合わせだ。


「青がアンドリューさん、緑がギャレット先生、黄がルカ、白が私。イヤーカフは自分の色のを着けて、指輪は自分の色以外のを持つの。」

「その前にレティ、これはなんだ?」


レティンシアが作っていたものではあるのだろうが、何を作っていたのかは聞いていない。


「ルカが遠くにいる相手と話がしたいっていうから作ってみたの。」

「つまり、これを持ってると離れていても連絡が取れるって事か?」

「距離が離れると使う魔力も大きくなるから長時間は無理だと思うけど、一応は大丈夫だと思う。」


とりあえずイヤーカフは自分に割り当てられた色の物を持つ。


「イヤーカフが受信、指輪が送信の魔法具、ただ決まった受信の魔法具にしか繋ぐ事ができないの。」

「決まった相手としか話せないってことか?」

「うん。白色の指輪は私のイヤーカフにしか繋がらないし黄色の指輪はルカのイヤーカフにしか繋がらない。」


「どうやって使うんだ?」

「送信者は指輪に魔力を込めて『呼び出し(コール)』、受信者はイヤリングに魔力を込めて『開通(オープン)』。これで繋がるわ。一度試してみる?」


レティンシアの提案で、俺とレティンシアでテストしてみることになった。


呼び出し(コール)


レティンシアが魔力を指輪に流しながら唱えると、俺がつけているイヤリングからリィ~ン、リィ~ンと音が聞こえた。受信すると音で知らせてくれるらしい。


開通(オープン)


教わった通り、イヤリングに魔力を流して唱える。


『ルカ、聞こえる?』


囁くような小さな声が聞こえてきたのでレティンシアを見て頷くとほっとしたようにレティンシアが笑った。


「凄いな、本当に聞こえた。でもこれって双方向で話したい時って俺もレティンシアに向かって『呼び出し(コール)』しないといけないんだよな?」

「ううん。繋がってるからお互いの声は届くよ。送信魔法具の役割は指定したモノに道を繋げる事。受信魔法具は出口を作る事なの。」

「へえ、すごいな。」


「師匠が緑色、先生が青色を持つのは決定ですね。あとはどうします?」


返事が無いと思って隣を見たら二人ともまだ固まっていた。どおりでさっきから一言も喋らないと思った。

もしかして今までの説明も聞いていなかったんだろうか?


「師匠、先生、聞いてますか?」


軽く揺さぶると二人とも現実に戻ってきた。レティンシアのすることに現実逃避をしていても仕方ないのだから諦めてほしい。

固まっている間の会話は聞いていなかったようなので、もう一度同じ説明をして、誰がどの指輪を持つのか決める。


「先生は俺の師でもありますけどレティの師でもあるんですし先生が白色、師匠が黄色でいいんじゃないですか。こっちはレティが青色、俺が緑色の送信魔法具を持ちます。」


2人ともショックが抜けきらないようなので、俺がサクサク決めて、それぞれ決めた魔法具を手に取る。

受信魔法具はデザインが違うのであまりお揃いと印象は受けないが少し複雑な気持ちだ。


この後、少し離れて練習兼テストをしてみたが問題なかった。レティンシアのスペックってどうなってるんだろう。謎は深まるばかりだ。



「この魔法具も問題はないようだし、そろそろクリュスタに出発しようか。」

「そうだな。そろそろいくか。」


なんだか嫌な胸騒ぎを感じる。本当に別行動をして大丈夫だろうか?

師匠が俺の顔を見て笑う。ムッとして見返すと乱暴に髪を掻き混ぜられた。


「そんな顔するな。」


そんな顔ってどんな顔してるんだ俺。先生も苦笑している。


「…気をつけてください。」

「分かっている。お前達も気を付けろよ。」

「レティンシアから目を離さない様にね。」

「はい。」


目を離すなと言われている本人はなんとか目を開けているが、会話は耳に入っていないらしい。


「レティンシア、ルカから離れないようにね。1人になっては駄目だよ。」

「はい………あっ念の為これも持って行ってください。」


先生からの忠告に素直に頷いたレティンシアが思い出したようにカバンから何かを取り出した。


「これは魔包石だね。それに魔力も込めてある。」


レティンシアが取り出したのは、転移魔法の時にも使っていた魔包石だった。

2つ取り出して1つは先生、もう1つは師匠に渡す。


「魔力が足りない時に使ってください。」

「ありがとう。」

「俺は魔力量も少ないからな。助かる。」


先生と師匠がお礼を言ってレティンシアの頭を撫でる。

準備も出来たので、国境に向かう。


「何か分かったら連絡する。」


そういって2人はドミニオン国を出国し、国境を越えてアーロゲント国のクリュスタに向かった。


10日後、俺は師匠達から信じられない知らせを受けた。

そして、その情報を調べるために王都に向かういう連絡を最後に師匠達からの連絡は途絶えた。

いつもありがとうございます。

次から第3章です。

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