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太陽の勇者と月の巫女  作者: 涙花
転移したら女の子を拾いました。
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お買い物に行こう。

男3人レティンシアに振り回される。

こちらが返事をする前に2人の師は情報収集という名の逃亡をした。次は絶対逃がさないようにしよう。

残された俺はレティンシアと約束した通り、街の中を案内をする。いろいろと見て回り、途中で見つけた布屋でレティンシアが初めての買い物を無事に終えるとその後は雑貨屋と本屋にも立ち寄った。

そして宿に戻る途中で服屋を見つけ、半ば引き摺られるように店に連れ込まれて俺は後悔した。

店は女性専門店で中には服の他に下着まであったのだ。


「レティ、俺は外で待ってるから…」

「1人になったら駄目なんでしょう?」


逃げようとしたが、口を酸っぱくして1人になるなと言い聞かせていた所為で逃げる事すら出来なかった。店員に生温かい目で見られながらなんとか服を数枚選んでこれで帰れると思ったら、今度は下着を選び始めてしまった。


「レティ、俺あっちに…」

「1人になってもいいの?」

「店の中にはいる。なにかあったら呼んでくれればいいから。」

「………分かった。」


ようやく手を離してもらえ下着や選んでいるレティンシアが見えない位置に移動する。俺が離れるとすぐに店員さんが声を掛けていたから大丈夫だろう。


しばらくするとレティンシアが会計を終え品物を持って歩いてきたので手を掴むと急いで店を出た。


「どうしたの?」


不思議そうにしているレティンシアになんでもないと言いながら次は絶対師匠達も連れて行こうとルーカスが決意しているとは思いもしないレティンシアだった。



~翌朝~


「随分と遅いお帰りでしたね。師匠、先生。」

「ちょっと話が弾んじまってな、なあギャレット。」

「そうだね、アンドリュー。すまなかったね、ルカ。」


にこやかに笑っているのに目が全く笑っていない愛弟子に若干引きながら昨日のいい訳をする。


「そうですか。楽しかったんですか。俺もすごく楽しかったですよ。次は師匠達も一緒に行きますよね?」

「いや、俺達は…」

「行きますよね?」

「「……はい。」」


「レティ、次は師匠達も一緒に買い物行くって。よかったな。」

「本当?実は昨日買い忘れた物があって、最後に寄ったお店に行きたかったの。」

「そっか。じゃあ行こうか。」

「「・・・・・・・」」



~洋服店前~


「レティ、俺少し買いたい物があるから行ってくる。すぐ戻るからここで師匠達と待っててくれ。じゃあ、師匠、先生、レティをお願いします。」


ダダダダダダダッ


いい終わるが早いか、全力疾走で走っていくルーカスを引きとめる事も出来ず仕方なくレティンシアと一緒に店に入って後悔したのはいうまでもない。

そしてにこやかに店員と会話をしていたレティンシアが向かった先にあるモノが何なのか、彼女が手に取るまで気付かなかった2人は逃げる事も出来ずにその場で硬直した。否応なしに聞こえてくる店員とレティンシアの会話は非常に居た堪れなかった。


「今日は昨日の男性は一緒じゃないんですか?」

「ルカは先生とアンドリューさんと一緒にいるように言って、他の物を買いに行きました。」

「(逃げたんですね)そうですか。ところで今日は何をお探しですか?」

「昨日買ったのが着け心地が良いので、もう何枚か買っておきたくて。」

「お気に召して頂けて良かったです。ではこちらの商品ですね。お客様にはこのデザインもお似合いかと思いますよ。」

「う~ん。もう少しシンプルなのがいいです。」

「では、こちらはいかがですか?シンプルですが、ワンポイント刺繍が入っていて可愛いですよ。」

「じゃあ1枚はそれにします。」

「少し華やかですけどこちらのデザインはいかがですか?1枚ぐらいこういうデザインのもいいと思いますよ。」

「そうですか?じゃあそれにします。」

「あとはそうですね、思い切ってこちらのデザインはいかがですか?セクシーですよ!」

「///それはちょっと恥ずかしいです。」

「でもピッタリとした服を着る時やズボンの時には、線がでないので持ってると便利ですよ。」

「……ズボンの時はみんな、そうなんですか?」

「お客様のような服の場合は昨日購入していただいたモノでもいいかと思います。でもお尻より丈が短い上着などでズボンの時は、こちらがいいですよ。」

「……………じゃあ、1枚だけ…。」

「ありがとうございます。」


一緒にいる付き添い(男)のことなど全く気にすることなく選んでいたレティンシアではあったが、途中でその存在を思い出しその存在を振り返ったが、微動だにせず立っているのを確認すると問題なしと判断してすぐに選ぶのに戻ってしまった。

結局レティンシアがいろいろと選び終わるまで2人の男はその場から動く事も出来なかった。


「先生、アンドリューさんお待たせしました。」


荷物を持って嬉しそうに寄って来たレティンシアと一緒に、店員の生温かい目に見送られて店を出た。


「レティ、気にいるのがあった?」


店を出ると壁に凭れて待っていたルーカスが笑みを浮かべてレティンシアに話しかけた。


「うん。ルカのお買い物も終わったの?」

「終わったよ。レティはまだ買いたい物あるの?」

「ううん。もう無いよ。」

「そっか、じゃあ宿に戻って今日はゆっくりしようか。」

「うん。」


アンドリューとギャレットは微笑ましい弟子2人の会話を疲れ切った表情で聞いていたが、今日こんな目に合わせた元凶に文句を言おうと口を開いた。


「ル…」

「師匠、先生俺達は宿に戻ります。お2人はゆっくり情報収集(・・・・)してきてください。」


笑っているのに目は全く笑っていない笑みで己の師2人を見据えてそう言い残すと、レティンシアを連れてさっさと宿に戻っていく弟子(ルーカス)の後ろ姿に昨日同じ体験を1人でしたのだと悟った師2人は、文句をいう事も出来ず、昼間から情報収集(・・・・)に行って真夜中まで帰ってこなかった。


この件以来3人は絶対にレティンシアが服を選ぶとき店の中に入る事は無く、どんな天気であろうと、レティンシアが店を出てくるまで断固として店の外で待つのだった。


ありがとうございました。

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